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ギリシャ

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ギリシャについての旅行記を集めました。
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記事一覧

オデュッセウスを追いかけて(4)

オデュッセウスを追いかけて(4)

 神話の世界に憧れて旅したギリシャ。2004年夏、英雄オデュッセウスの故郷とされるイタキ島を訪ねた時の思い出です。

名もなき島を巡る旅 イタキ島4日目。アルバトロスという船での1日ツアーに参加した。アルバトロスはアホウドリのこと。
 ツアーの名称は、「Unknown Island」。未知の島、名もなき島、というところだろうか。「サンドイッチと赤ワイン付き」と書かれていたのにも惹かれた。

 小さ

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オデュッセウスを追いかけて(3)

オデュッセウスを追いかけて(3)

 神話の世界に憧れて旅したギリシャ。2004年夏、英雄オデュッセウスの故郷といわれるイタキ島を訪ねた時の思い出です。

オデュッセウスの面影 イタキ島3日目。早起きして、6時15分のバスでスタブロスという町へ向かう。あまりバスの本数がなく、朝に弱い2人なのによく起きれたものだ。朝から開いているカフェでフルーツヨーグルトを食べ、目的地の美術館へ向かう。

 白い門の横に「MUSEUM」と書かれたこじ

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オデュッセウスを追いかけて(1)

オデュッセウスを追いかけて(1)

 神話の世界に憧れて旅したギリシャ。「アテネ・オリンピック」が行われた2004年夏の思い出です。

憧れの島 船上から港の灯が見える。夜の闇の中で、島の姿はよく分からない。ギリシャ西部、イオニア海に浮かぶイオニア諸島の1中の一つ、イタキ。いつか行ってみたいと思い続けた場所に、ついに来ることができた。
 港に降り立ち、しばらく感慨に浸りたいところだけれど、まずは宿探し。エーゲ海の有名な観光地、ミコノ

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向こう側の世界へ

向こう側の世界へ

 何かの向こうに見える風景を、写真に納めるのが好きだった。向こう側に見える世界は、見慣れた景色とちょっと違って見えて。向こう側を眺めていたくて、向こう側に行ってみたくて。そんな写真を集めはじめた。

額縁の中の絵のように 向こう側の風景を写真に撮るようになったのは、いつからなのかはっきり覚えていない。アルバムに貼った写真を見返すと、スコットランドで撮った写真があるから、その頃からなのかもしれない。

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旅で知ったビールの美味しさ/旅とビール(2)

旅で知ったビールの美味しさ/旅とビール(2)

 旅とビールの思い出第二弾。今回は、旅先で出会ったビールの味を振り返ります。noteを一緒に作っているMihokoとNorikoと一緒に飲んだビールの思い出も。(by Shoko)

ビールに目覚めた夏のギリシャ 子どもの頃、親戚のおじさんたちが美味しそうに飲んでいた瓶ビール。キラキラした黄金色の液体はさぞ美味しいのだろうと思っていたが、大学生になって初めて飲んだビールは、ちっとも美味しくなかった

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黄色い花の島、キティラ

黄色い花の島、キティラ

 今まで旅をしてきて、大変な思いをしたことはいろいろあるけれど、忘れられないのは、ギリシャのキティラという島を訪れた時のこと。当時は一人、途方に暮れていたのだが、いま振り返るとちょっと面白くて、懐かしい出来事だ。

キティラ島で野宿の危機 キティラ島は、ギリシャ南部、ペロポネソス半島の南側にある島だ。女神アフロディーテ(ヴィーナス)が生まれた地ともいわれている。調べてみると、「シテール島」の名でフ

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繰り返し味わう旅の思い出~吉本ばなな「私と街たち」

繰り返し味わう旅の思い出~吉本ばなな「私と街たち」

吉本ばななさんの最新エッセイを読んだ。
ばななさんは、エッセイの数が多いと思う。
あちこちの媒体に書き、自身のnoteにも書いてある。かつては日記をまとめたものも、毎年出版していた。なので、長年ファンをやっていると、知ってるエピソードが非常に多い。
今回の「私と街たち」も、吉本家の墓地、小学校時代の初恋、トータス松本さんが上の階に住んでたアパート、など、「ああ、あの頃のあの話題ね」とわかる。そして

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残念なホテル、至福のホテル 2

残念なホテル、至福のホテル 2

 旅に出たら、泊まらなければならない。今までいろいろな宿に出合ったけれど、良くも悪くも忘れられない体験や思い出がある。私たちの、ちょっと「残念なホテル」と、もう一度訪ねたい「至福のホテル」について。note2周年を機に、同じテーマでそれぞれに記事を書きました。

~Shokoの場合~

ロンドンの残念なホテル お湯が出なくて水シャワー。トイレの水が流れにくくてその水シャワーで流したパロス島のホテル

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絵の中へ、旅をした。

絵の中へ、旅をした。

 旅した場所が描かれた絵を見て、不思議な気持ちになったことがある。あの絵の中の世界に、私はいたんだと、感慨深く眺めた。今回は、旅と絵の話。

絵の中のロンドン 大学の卒業旅行で初めてイギリスを訪れた。その数年後、今度はイギリスに住むようになっていたMihoko(このnoteのメンバー)を訪ねて、二度目のイギリス旅行を体験した。季節は春。4月のイースター休暇の時期だった。
 1日だけロンドンの街を歩

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旅でなくしたものたち

旅でなくしたものたち

 旅先で、なくしたものがある。あの辺りで落とした、と分かる場合もあれば、一体どこに行ってしまったのか全く見当がつかないこともある。ちょっと奇妙な体験も。今回は、そそっかしい私が旅でなくしたものについて。

鎌倉で消えた写真 現在NHKで放映中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見ていて、鎌倉に出かけた時のことを思い出した。東京に住んでいた学生時代も含め、鎌倉には何度か行ったことがあるけれど、奇妙ななく

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ふしぎなメテオラ

ふしぎなメテオラ

 桜の花びらが風に舞い、葉桜になったと思ったら、藤やつつじの花が開きはじめ、道端や空き地にも赤や青の小さな草花が揺れる。「萌え出づる春になりにけるかも」という感じだ。ピンクの花びらが幾重にも重なった椿の花も残っていて、花盛りだと見とれて歩いていたら、久しぶりに転んでしまった。

 次々に花が咲く春。イースターの時期にギリシャを訪れた時のことを思い出す。ガイドブックを見ていつか行きたいと思っていたメ

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春のエーゲ海

春のエーゲ海

 ギリシャの空はどこまでも青く、海の色は深い紺色。そんなイメージが強く残っているけれど、初めて行った春のギリシャの写真を見返すと、空の色はもう少し淡い。まだ少し肌寒かった春のギリシャを思い出す。今から20年以上も前の話だ。

エーゲ海の島へ 子どもの頃に読んだギリシャ神話が好きで、いつかギリシャへ行ってみたいと思いながら、とても遠い所のような気がしていた。ところがこのnoteを一緒に作っているMI

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ちゃんと距離を感じる旅

ちゃんと距離を感じる旅

 久しぶりに映画館で観た映画は、『ドライブ・マイ・カー』だった。村上春樹さんの小説が原作と知り、気になっていた映画だ。約3時間もあると聞いて少し心配したが、時間の長さを感じさせない映画だった。車で移動する主人公と一緒に、私もさまざまな景色を目にした。

『ドライブ・マイ・カー』で遠くまで 映画『ドライブ・マイ・カー』の原作となった村上春樹さんの小説は読んだことがあったが、すっかり内容を忘れてしまっ

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物語を旅しよう。「村上春樹ライブラリー」

物語を旅しよう。「村上春樹ライブラリー」

 なかなか遠くへ出かけることが難しくなった時期、本棚から取り出してきたのが、村上春樹さんの紀行文を集めた本だった。読みかけだったもの、ずっと昔に読んだもの。本で旅の気分を味わった。
 2021年10月1日、村上さんの母校である早稲田大学に、「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」が開館した。開館前から気になっていた場所を、昨年訪れることができた。

小さな奇跡

 昨年末、所用のため東京方

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