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やさしい医療情報

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#やさしい医療情報

「楽をしたい」心理と医療情報発信との戦い

「楽をしたい」心理と医療情報発信との戦い

「楽をしたい」というのは人の根本的な心理であって、自然に起こる感情で、この心理に人の行動は影響を受けていきます。

最近、医療情報発信をしていて気が付いたことがあります。

情報発信は「楽をしたい」という人の心理との戦いなのだと

今回はそんなことについて書きたいと思います。これはおそらく医療情報発信に限らずに、どの領域での情報発信でもそうなのではと思います。

絶対の解答を求めている医療情報発信

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「最高のがん治療」となぜつけたのか?

「最高のがん治療」となぜつけたのか?

がん治療について解説した初の著書を4月2日に出版します。この本は、勝俣範之先生と津川友介先生と3人で執筆した共著となります。

『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』

実は、この本を作る中で、3人の執筆者と編集者のみんなで協議した中で、ものすごく意見が分かれて、揉めに揉めたところがありました。

それはタイトルでした。

この「最高のがん治療」というタイトルをどう思われたで

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虫下しはがんに効くのか?

虫下しはがんに効くのか?

フェンベンダゾールという虫下し(駆虫薬)が癌に効果を示すという噂がネットで広まっていて、がん患者さんから「本当ですか?」とよく質問を受けます。今回は、この質問について専門家の見地から答えたいと思います。

フェンベンダゾール(Fenbendazole)は人に使われる薬ではなく、犬や豚に対して使われている寄生虫を殺すための薬です。がんへの適応はなく、がんに対してはいわゆる未承認薬(効果が不明な薬)と

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すごい本を読んだ話

すごい本を読んだ話

すごい本に出会った。大塚篤司先生が書かれた「世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方」という本だ。

この本は、皮膚科医の大塚先生が一般の方向けに、アトピーの治療方法を丁寧に解説した医療本です。

私は今までたくさんの医療本を読んできましたが、ここまでハイレベルの本に出会ったことは今までなかったです。ぜひ、多くの方に読んでもらいたいと思ったので、ここで少し紹介し

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発信への矜持

【ペンの持つ力】日付が変わったころ、年末に受けた取材の原稿確認依頼のメールが届きました。
8,000字に及ぶ原稿の一文字も、訂正が必要な個所はありませんでした。

2年前にも同じ記者に取材を受けたことがあります。
公開されたその記事は、年間で一番多く読まれた記事となり、今も多くのアクセスをいただいているそうです。

私の娘は、フリーライターという発信の立場にいますが、家族のことを明らかにすることを

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#やさしい医療情報 SNSの外にも広げていく1年に

#やさしい医療情報 SNSの外にも広げていく1年に

2019年を振り返って、最もハードだったけど挑戦してよかったと思っていることのひとつが、「#やさしい医療情報」のイベント開催だった。至らない点も多々あったかと思いますが、登壇くださった先生方、お越し下さった皆さま、本当にありがとうございました。

9月29日、SNSで医療情報を発信したり拡散したりしている医師たち(ヤンデル先生・大須賀先生・けいゆう先生・ほむほむ先生とそうそうたるメンバー)と編集者

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すわん君ってゆるキャラやったんか…フェスやイベントでの医療情報発信、どう?

すわん君ってゆるキャラやったんか…フェスやイベントでの医療情報発信、どう?

2019年11月23日、「世界キャラクターさみっとin羽生」というイベント…いやむしろフェスに行きました。ゆるキャラ好きな友人と計3人でピクニック気分で。私はゆるキャラは好きだけれど、熱狂的に愛すほどではないので単純に屋外イベントを楽しむぐらいの気分で。しかし、当日は雨。野外フェスなのに雨!.

「世界キャラクターさみっと」雨天の悲劇

私は長年ハードロック・ヘヴィメタル(HR/HM)ファンをやっ

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優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?⑥ ほむほむ先生編・ナラティブと出典明記

優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?⑥ ほむほむ先生編・ナラティブと出典明記

2019年9月29日、東京・渋谷で「SNS発信の医師4人集結のトークイベント 知って、届けて、思い合う~やさしい医療がひらく未来~」レポート、ラストです!

Twitterで5万人を超えるフォロワーを誇るアレルギー専門医のほむほむ先生。ブログ「小児アレルギー科医の備忘録」や、Yahoo個人、雑誌連載も多数のまぎれもなく「医療情報発信者」のキーパーソンだ。私はイベント前までRTされてくるものを見たこ

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優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?⑤ 大須賀覚先生・お金の流れ編

優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?⑤ 大須賀覚先生・お金の流れ編

大須賀先生のお話でもう一つ、衝撃だったのがトンデモ医療やイカサマがん療法による経済的な損失の話だ。自由診療や民間療法、代替医療、サプリメント…多種多様な「すがりたい藁」が存在していて、たいていそれらは高額だ。患者やその周囲の人たちである当事者が、すがる。

「経済的な余裕があるから、やってみよう」だけでなく、借金をしてでもそれらに懸ける人たちも多いし、彼らが効果の見込めない治療に貴重な時間と財産を

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優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?④ 大須賀覚先生・情報編

優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?④ 大須賀覚先生・情報編

大須賀覚先生はアメリカのエモリー大学ウィンシップ癌研究所に所属するがん研究者だ。わざわざこのイベントのために来日された…のではなく、第78回日本癌学会の総会に出席された。

私は、お名前とTwitterでRTされて表示されるものを目にするぐらいで、フォローもしていなかった。が、今回のイベントの中でも直球にがんについての医療者だ。がぜん当事者として聞く態度も聞こえる言葉も変わる。いちいち目から鱗が落

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拝啓 ヤンデル先生 そして 医療者のみなさま。ご要望はどんな授業ですか?

拝啓 ヤンデル先生 そして 医療者のみなさま。ご要望はどんな授業ですか?

ヤンデル先生が書かれた佐渡島さんとの書簡を読み、痛烈に自分の問題意識と重なることがあった。

非常に良い文章だった。医療者として、現時点でのある種の負けを認めた上での決意が書かれている。僕はヤンデル先生のこういう姿勢が大好きだ。素直に足りていない部分を吐き出し、その上で無理なことや、解決策を考えることができる人は立派だ。うわべで綺麗な言葉ばかり並べる人よりも、こういう人こそ信頼することができる。

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『選べるなら、今、死にたい』~血液クレンジングが蘇らせること~

数日前から、血液クレンジングの記事が、あちらこちらであがっています。

血液クレンジングというのは、血を採り、そこになんらか

(オゾンとか)を入れて、再び体内に戻すというものです。

私は、よく、夫を助けたい一心で『ニンジンジュース』を狂ったように作った話をしていますが、実は、それは氷山の一角であり、この血液クレンジングをはじめとして、高濃度ビタミンC点滴、フコイダン、しいたけ由来のサプリ、温熱

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情報は切り取られているという話

今回の台風19号の被害
次々と明らかになる被害に、心が痛みます

二子玉川の浸水地域は、私の実家があったあたりです

そして、武蔵小杉のあたりの丸子橋は、夫が最初に

就職した会社があり、よく車で迎えに行きました

多摩川というと、狛江付近の家が流される映像をよく見ますが

実は大雨の時、二子玉川や丸子橋付近は、何回も溢れています。

それは、私が住んでいたから知っていることです。

今回、私は、

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優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?③ けいゆう先生編

優しく易しい医療情報は、どうやってつくる?届ける?③ けいゆう先生編

消化管外科医のけいゆう先生。ヤンデル先生の紹介では「京大卒イケメン外科医学術業績豊富若手研究者のホープイクメンSNS医療のカタチの大エース」!! Twitterの外科医けいゆう @keiyou30 として4万超フォロワー、Yahoo!ニュース個人オーサー、医療情報サイト「外科医の視点」で活躍しておられます。

YouTubeでも医療情報が検索される
かなり早い段階で医療者から情報発信が重要だと認識

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