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長編自己啓発ギャグ小説

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#ギャグ

夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】10

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

少しずつ少しずつ現実の世界に意識が傾く。
やがて眠りから目覚めた茂太は目の前のオカマの霊にハッと気づいた。

『おはよう、茂太』
『お、おはよう。今日は何故、たっくんの姿が見えるんだ』
『それなら気にする必要なんてないわ』

久々にその姿を見せたたっくんは、やけに清々しく妙に寂しげだった。

あまりにもこの前とは違った覇気のなさに・・・

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】9

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

『茂太くん、君が現役で活躍していたことは、当たり前のように知っている。そしてフライパンズという中堅のお笑い芸人だったことも』

茂太はけして交わることなどない関係が、実現として目の前で起きていることに感謝して一礼した。

『光栄に御座います。これからはピン芸人として一躍スターダムに登り詰めてみせます』

豪快に笑う松木をよそにいつまでも

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】8

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

柴田は一枚の企画書を取り出して茂太に手渡した。
眼を通すと思わず仰天するほどの衝撃を受けた。

企画書の内容は以下だった。
お笑いライブ【レッツ!美銀2】

前回のライブで高視聴率をマークした為、本年度に限り第2弾を開催します。
出場者六組名簿

1.コンコンどなた様

2.フライパン(熊谷弘樹)

3.人間交差点

4.お宝発掘

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】7

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

ここで食事をしよう。茂太くん、好きなものを注文しなさい。まゆ、君もいつものように』

テーブルを囲み、三人で食事をする。
煌びやかな店内の装飾品の数々、豪勢なメニュー、茂太はすべてが初めてでこのような贅沢な時間は過去にはありえなかった。

少し損をしていた自分自身に心を痛めた。
『茂太さん、やってみせてよ』
『何をですか?』
『決まって

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】5

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

一時間ばかり経過し、皆が酔い店主まで酔い、今ではグラスや焼き鳥の空中浮遊を見ても誰も驚かなくなった。

そんな時だった。
がらがらと入り口の扉が開いた。

暖簾をくぐる黒一色のスーツに身を纏うひとりの長身のイケメン男が、長い黒髪をたなびかせて店内に入ってきた。

時間が停止したかのようにピタリとすべて止まっているようだ。
やがて、ざわめ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】2

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

司会の紹介で挨拶が館内に響き渡る。
『続いてはフライパンズのお二人です。盛大な拍手でお迎え下さい』

一斉に館内に拍手の音がこだまし、颯爽とそれに乗って二人が勢いよく姿を見せる。

威勢のいい出だし、爽快なボケとツッコミ。
いつもと変わらぬ出だしに壇上の二人はひとまずの安堵感を覚える。

今回は新ネタではあったが、これまでのネタ同様、客

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】11

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

ごもく旅館二日目の朝を迎えた。

啓太は朝食を済ませて温泉に足を運ばせた。
啓太はようやく疲れを癒すことが出来た。

全身が温まり、血行が良くなっていくのを強く感じる。
啓太は今回の旅行ほど心労を強く感じたことはなかった。

そしてそれは出会った当初の京子を思い出させるものでもあった。

随分と見違えるほどに成長を遂げたものだなと温泉に

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】9

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

混浴でも男女、人のいりは絶えない。

それはひとえにごもく旅館の実績はもちろん、広告手段に能力が長けていたし、何よりも顧客のニーズを汲み取っていたからでもあった。

そのもっともに口コミ効果やメディアの活用だった。

最近の若者は大胆なのか、モラルに欠けているのか、ごもく旅館の混浴温泉の効能も後押しして利用客は後を絶たない。

ふと声の

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】2

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

翌朝になり、外は快晴。
まだ眠っている啓太を起こさずにひとり、寝室を出る。

庭の観葉植物に如雨露を使って水を撒く。
今年の夏もまた温暖化の影響で、例年にも増してうだる暑さだった。

一通り、花の水撒きを終えると、額の汗を拭ってキッチンへと移動した。

サンドイッチと卵焼きをこしらえる。
サンドに挟む食材は、ハムとレタスとシーチキンだっ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】10

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

チューナーを取り出して六本の弦の音合わせを始める。

ギターの音色が美しく公園内に響く。
ピックを持つ指先がいつもより熱い。

『柴田さん、俺、俺、肝心なことを教えられたよ』
その言葉を聴いて二人は吃驚した。

思わず顔を見合わせた。
じっと見つめ合った。

『由里・・・』
『サマンサちゃん』

雄平はいきり立った。
『待て待ておまえら

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】8

過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

店内ではまもなく後半組、三人による演奏が始まろうとしている。

15分の小休止を挟んでの開始だ。
トップを切るのは高枝切子と万田小百合のコラボレーションだ。

これまでの三人とは何かが違う。
諦めていた心が期待に変わる。

雄平は身体を乗り出して食い入るように二人を眺めた。

イントロのメロディが流れ出す。
高枝と万田が流暢に踊り出す。

これ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】7

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

センチュリー吉田の歌が終わるまで柴田は、マシンガントークを浴びせる雄平の気持ちを強く受け止めていた。

由里の叫び声が聞こえる。
舞台でセンチュリー吉田と何か言い争っている。

雄平は急いで舞台まで走りだし、由里のシャツの袖口をつまんで引き寄せた。

『こんな奴にかまうなよ。どうしたんだよ、いったい』
『身体を武器にして音楽と男心を弄ぶ

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】6

この作品は過去に書き上げた成功自己啓発ギャグ長編小説です。

手枕昌平
彼は三歳からピアノを習い、音楽を学び、小学生の頃に父親の影響を受けて、演歌を口ずさむようになった。

学生時代はそのためか、友人たちからオッサンと呼ばれていた。
現在はニートらしく、歌は下手くそだが心に響くらしい。

手枕に与えられたのは二曲。
Aメロを歌い出す。
下手だ。
とてつもなく下手だ。
音痴もいいとこだ。

だが、ど

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夢を叶えた五人のサムライ成功小説【川端雄平編】5

この作品は過去に書き上げた長編成功自己啓発ギャグ小説です。

数日が経過した。
今日は柴田の提案で雄平は彼女の由里と一緒に駅近郊のバーでディナーを楽しんでいた。

店内はシックな装いで洒落た外観が心を落ち着かせ、しんみりと夜を感じさせてくれる。

この日、初めて柴田は自身の身分を明かした。
名刺を受け取った雄平は、彼の肩書きを眼にして驚愕した。

そこにはこう記載されていて、雄平は()内の言葉が妙

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