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【自己紹介】俺の名は
おう、俺の名は脱臼。山奥の田舎町で暮らす普通の女子高生だったが、ある朝目覚めると30代独身の男性会社員と体が入れ替わっていた。
としか思えないくらい日々の活力がない。たしかに昨日まで赤の他人のものだったのなら、この自分の人生への解像度の低さも頷ける。
少し傾いた姿勢でふらふらとさまよい歩き、慢性的なもやの向こうにうすぼんやりと見える現実を見つめながら、困ったときはデカい声で嘘をつくことで乗
涙の別れ!夕焼けの決闘、ラブフィジカルVSラブストレングス!
ごつ。
右拳が、あっさりと南雲の顔面を捉えた。8オンスの魔力塊が、美しい顔を歪める。
私は馬乗りになって、何度も級友に拳を振り下ろした。
「かるま、お願い、やめて」
哀れっぽい喘ぎ声。ひどい演技だ。それでも慈悲を乞う彼女の声に、一瞬、動きが鈍る。
「あっ」
脇腹に激痛が走った。南雲の親指が、肋骨の間に突き刺さっている。直後、信じがたい腕力で、体ごと跳ねのけられた。
南雲が地面に、わずか
【小説】シカでした。
ここに来る途中、祠みたいのがあったでしょう。あ、見てない? バス亭の近くの、竹藪の中に道があって、その奥にね。
……焦げた木材が積んであっただけ? そうですか……。
……。
それって、近くにお地蔵様とか、ありませんでした?
いや、それもね。地蔵堂ってほど立派なのじゃない。ほんと、祠ってのがしっくりくるんですけど。小さな木の屋根だけあって、その下にお地蔵様が置かれてるような。そういうのがあ
なぜクトーニアンを殺さなかったのか
リングの中央で、半裸の男が2人、がっちりと組み合っている。
したたる汗と血が、マットの上に、大きな血だまりを作っている。
観客はいない。
否、いなくなっている。
打ち捨てられた鞄、片方だけの靴、踏みつけにされた新聞……それらの痕跡が、ここに超満員の観客がいたことを物語っている。
今は、誰もいない。
がらんとした会場に、男たちの荒い息遣いと、リングの軋む音が、惨憺として響いている。
【小説】8.26 / Dream Match (4)【イーロン・マスクvsマーク・ザッカーバーグ】
4. 暗い。と思った。明かりが消えている。しばらくして、それが照明の暗さによるものではないことに気づいた。視界全体がぼやけ、揺れている。
ひどく眠い。だが、起きねば。立ち上がろうとして、ふらふらとよろめいた。膝に力が入らない。
音も聞こえづらい。雑音がうなり、耳の奥で響いている。
「エェーーーーーッックス!!!」
己を呼ぶ声だ。それに気づくと同時に、音が戻ってきた。地鳴りのような声援が聞
【小説】8.26 / Dream Match (3)【イーロン・マスクvsマーク・ザッカーバーグ】
3. 2004年の夏、起業家ピーター・ティールに招かれ、シリコンバレーを訪れたザッカーバーグは、突如として武装した集団の襲撃に遭った。
銃声。爆発。パロアルトの高級住宅街が、一瞬にして血だまりと化した。だが、2人の血によるものではない。
ピーターによって引き裂かれた、襲撃者たちの血であった。
ペイパル・マフィアがなぜマフィアと呼ばれるか、それは敵対する別のマフィアたちを、力によって粉砕して
【小説】8.26 / Dream Match (2)【イーロン・マスクvsマーク・ザッカーバーグ】
2.(どッ……)
青年はリングサイドの最前列で、身を縮めるようにして座っていた。目線を左右にせわしなく動かしながら、額にびっしりと浮いた汗をシャツの袖でぬぐう。
彼の勇気ある一言が稼いだ数秒の時間が、ネットの大海に起こったわずかなゆらぎを、目ざとい巨人たちに発見させた。その手によって、一滴の波紋は津波ほどの大きさへと変わり、情報の潮流は瞬く間に世界中を駆け巡った。
数分前まで無人だった東
【小説】8.26 / Dream Match (1)【イーロン・マスクvsマーク・ザッカーバーグ】
1.
2023年8月26日、日本、東京ドーム。
男が2人、誰もいない廊下を歩いている。
誰であろう、Meta会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグと、Xの執行会長兼CTOのイーロン・マスクその人である。
この大SNS時代の寵児にして、世界有数の資産家である2人が、肩を並べて闊歩している。
異様な光景であった。
男たちは、いずれも上半身裸である。鍛えられた肉体を晒し、誰もいない東京
【雑記】カイリューとかいう古参上司許せねぇ
「スカーレット・バイオレット」のカイリュー、いくらなんでもデカい顔しすぎ。
お情けでもらった神速とマルスケを振りかざして、生まれたときからダイジェットやテラスタルでブイブイ言わせてましたみたいな雰囲気を出してる。
入社したての頃の、電磁波を撒いてまきつくしてた泥臭い自分のことはすっかり忘れ、頭にキラキラの宝石を載せて、昔は気まずそうにしてたガブリアスやドラパルトとつるんでる。
この間なんてボーマ
【感想】本当の旅にタケシはいない
2022年11月18日、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」が発売した。
派生タイトルを除けば19年の「ソード・シールド」から3年ぶり、96年の「赤・緑」から26年続くシリーズの最新作だ。
こいつ25年前の話ばっかしてんな。
さて、すでに発売から2か月近くが経ち、語り尽くされてる感もあるが、みなさんはパルデア地方の旅を楽しんでいるだろうか。
俺は楽しんでいる。このゲーム超
【感想】自分を三井寿だと思いこんでる男たち
※若干映画の内容に触れてるほか、山王戦の試合結果のネタバレを含みます。
漫画「SLAM DUNK」連載終了から26年、2022年12月3日に、映画「THE FIRST SLAM DANK」が公開されました。
かなりいまさら感のある話題ですが、まだやってる映画館が多いみたいなので。まだ観てないけどいつか観る予定って人は映画館で観た方がいいですよ。
なぜならデカい画面といい音響の方がいいもの
【小説】ばくぜんとした不安デモ
将来のこととかについて考えているうち、あまりにも不安な気持ちが大きくなったので、できるだけ大きく「不安」と書いたプラカードを掲げて「不安だなぁ、不安だなぁ」とつぶやきながら、通りを練り歩く奇行に及んでしまった。
しばらくすると、後ろから「不安だなぁ、不安だなぁ」とつぶやく別の声がする。
振り返れば、僕と同い年くらいの男が、僕と同じように不安を口にしながらついてきていた。
正直怖くてギョッ
【小説】バ美肉を買いに
『今日の晩御飯はバ美肉なので、帰りにお肉屋さんで買ってきてください』
17時30分、妻からのラインにはそうあった。
直後、僕は残っていた仕事を敏速に片づけ、終業時間ちょうどに会社を出て肉屋へと向かった。
帰宅までに時間をかければ、それだけお腹をすかせた彼女を待たせることになる。
それはあまりに罪深く、想像するだけで胸が痛む。
愛する家族のため、一刻も早くこのミッションをこなさなけれ