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【雑記】2013年、酒と記憶の旅

まったく人間の写真を撮らない。どこか旅行に行って、帰ってきたときに、道中で撮影した写真を見返したとする。すると、映っているのは風景、食事、そして酒ばかりだ。
むしろお酒の写真だけは、撮るのが習慣みたいになっている。
人間の写った記録が残っていない上に、現実に関する記憶力に乏しいこともあって、振り返ってみると酒しか飲んでこなかった人間ができあがる。しかも酔ってるのでだいたいピンボケ。おいおい、俺の人生か? お前の人生だぞ。
当然、自分自身の写真も残ってないので、もし急死したら遺影にはギロチンの写真を使ってもらおうと思う。好きだから。

Googleフォトには検索ボックスに、例えば「酒」と入力すると、人工知能のなんやかやで被写体がお酒っぽい写真を抽出してくれる機能がある。
それを使って10年前のお酒の写真と、その位置情報を見ながら、「ああ、あの頃あんなことがあったなぁ」と思い返すという、長期的な視点で言うと老いて死ぬための準備をしていた。
実際には、人に贈るためのお酒を探して、記憶をさかのぼっていたのだが。

2013年1月、俺はエフェス・ダークビールを飲んでいた。日暮里でトルコビールを飲んでることから店はザクロと思われる。
リンクを貼ろうとして知ったのだが、ダークビールは2016年に生産終了しているらしい。

2月、333(ベトナム)とコナビール・ファイアロック(ハワイ)を飲んでいた。位置情報はいずれも柏、しかし店に関してはまったく記憶がない。

3月、入社3日目くらい。浅草であった新人研修が午前中で終わったので、昼から1人で電気ブランを飲んでいた。だいぶ世の中を舐め腐った新入社員だと思う。

4月、酒を飲んでいた。

5月、代々木公園のタイ・フェスティバルで真昼間からビールを飲んでいた。1人で。これも仕事(日曜)で東京に行ったついでだと思う。いや、この頃にはもうビールのついでに仕事に行ってたかもしれない。

6月、酒スイーツでも知られる日光今市の片山酒造さんを見学させてもらい、非常に丁寧に案内していただいて、試飲もしていた。超うまかった記憶しかないが、超うまかった。

そのまま鬼怒川温泉に一泊し、ビールを飲んでいた。1人で。
10年前の自分が活動的で驚いている、すごく見習いたい。

7月、酒を飲んでいた。

8月、また鬼怒川にやってきてビールを飲んでいた。多分キャニオニングに行っているのだが、その記録は一切ない。

9月、地元に帰って、外房の人間なら誰もが知ってる寒菊銘醸の九十九里オーシャンビール・ペールエールを飲んでいた。

10月、酒を飲んでいた。

11月、渋谷でウクライナビールのオボロンを飲んでいた。例外的に後ろに人が映っていたのだが、俺の側が酒に集中しているので信じられないくらいブレていて個人が識別できなかった。誰なんだろう。ピースとかしてくれてるのに。

自宅でベルギービールのステーンブルージュ・ブラウンを飲んでいた。これはどういう経緯だっただろうか。この時期くらいから、会社で「あいつは酒が好きだ」という誤解を受けており、お土産や贈り物にアルコールをいただくことが増えたので、その流れかもしれない。

会社で大量にもらったレモンを使って果実酒をつけたりもしていた。失敗してあまりおいしくなかったような記憶がおぼろげにある。

12月、クリスマスパーティでワインとか飲んでてびっくりして泣いちゃった。お前友達いたのかよ。

日本全国酒飲み音頭』かなってくらい飲んでる。10年後に今のことなんか覚えてるわけないが、お酒の写真だけは撮る習慣のおかげで、人の顔は忘れても、いっしょに飲んだ酒のことは覚えていられそうだ。

贈り物は、片山酒造の『生原酒 素顔』にする。


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