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水と怪物 第三部・後
そうだ、まだ二日しか経っていないのだ。それなのにどこか冷静にはなっていて、少し不気味にすら感じる。これも、二日とはいえ時間が経ったからなのか。
三宅さんは新しく届いた生春巻きに箸を伸ばした。それを、僕の小皿に乗せる。
「彼氏? は、どんな男なんよ。会ったことは?」
「無いです。写真は見た事あるんですけど、結構若そうな……多分僕の方が歳は近いんじゃないかなって」
二つ目の生春巻きを僕の皿によそ
水と怪物 第三部・前
第三部
暗闇の中で、音が鳴り響いている。大きなその音は、どこか懐かしい気すらした。嫌な響きのはずなのに、鼓膜からそこへと引き込まれるようだった。引き込まれる、というより音に呑まれる、という方が正しいか、
「胎内記憶の一種やろね、それ」
僕の感傷じみてすらいた吐露に、彼女は応えるかのように呟いた。その声はどこか掠れているけれど、比較的高めな……どこか、金属音のような印象だった。
「どういう事で