【堺のニッチトップ企業】株式会社シマノ
今回は「シマノ」をリサーチしました。
ロードバイクや釣り好きな人によく知られたニッチトップ企業（限られた市場で大きなシェアを持つ企業）です。また、日本国内よりも圧倒的に海外の売上が大きい企業です。
それでは、さっそく見ていきましょう〜
①概要
基本データ
企業理念：もっと自然へ、もっと人へ
事業内容：自転車部品、釣具、ロウイング関連用品等の開発・製造・販売
設立：1940年
上場市場：東京プライム市場
時価総額：2兆500億円
従業員数：連結11364名 単体1620名（平均年齢40.6歳）※
平均年収：872万円※
※会社四季報 2023年4集 秋号より
事業内容
大阪・堺市に本社を置くシマノ。堺といえば商人の町であり、鉄砲の製造や茶道が有名ですが、その技術力が今日の刃物や金属加工に受け継がれる地でもあります。
シマノは1921年に創業された鉄工所が前身となり、自転車部品の製造を祖業として1940年に創業されました。その後欧米に展開を進めながら、1970年には「レジャーを通して人々の健康に寄与する 」という企業哲学と合致したため釣具事業に参入しています。
今日では、海外売上高比率が90％のグローバル企業に成長しています。
②業績
直近の決算
営業利益：本業で稼いだ利益
経常利益：営業利益＋本業以外の損益の合計
純利益：税金などを引いたあとの最終的な利益
2023年の決算は芳しく無く、特に純利益が前年比46％減と苦戦を強いられています。これは、コロナ禍において密を避ける移動手段として自転車が普及した2020〜2022年の反動と見られます。コロナ禍が明けて、特需が落ち着いてきたようです。
貸借対照表（B/S）
続いて貸借対照表を見てみましょう。
貸借対照表（バランスシート=B/S）は、その会社が持つ資産を可視化したものです。
流動資産：現金にしやすい資産（現金・受取手形など）
固定資産：現金にしにくい資産（土地・建物など）
流動負債：1年以内に返済が必要な負債（短期借入金・引当金など）
固定負債：1年以内に返さなくても良い負債（長期借入金・社債など）
自己資本比率：総資本のうち自己資本が占める割合。高いほど健全。
財務状況は極めて健全です。
負債がわずかで、純資産が多く、自己資本比率は90％超えとなっています。純資産の内訳は利益剰余金が大きく、業績は低迷していますが企業体力は十二分にあると言えそうです。
損益計算書（P/L）
続いて損益計算書です。
損益計算書（P/L）は、その会社がどう稼いで、何にお金を使ったのかを可視化したものになります。
売上高：本業で稼いだ収益
売上原価：売上を上げるために直接かかった費用
販管費：商品の販売や管理にかかった費用（広告費や賃料など）
営業利益/損失：本業で出た利益/損失
営業利益率：売上高のうち営業利益が占める割合。高いほど効率よく稼いでいる。営業損失の場合は算出できない。
製造業ですので売上原価が大きな割合を占めます。
また、営業利益率が19％と優秀です。製造業の目安として5％を超えたら優良と言われますが、それを遥かに凌ぐ利益率です。限られた市場において勝負していることで、経営資源を集中させ、効率的な経営ができるのが強みだと思います。
株価の動向
次に、直近5年間の株価推移です。
業績の低迷が株価にも現れている形です。
コロナ禍での自転車ブーム時には最高で35000円まで上昇した株価は、現在2万円前後を推移しています。
また、PER（株価収益率）は30倍となっており、15倍が基準とされる中にあっては割高感もあります。
③社員の口コミ
最後に、社員クチコミサイト「openwork」より、シマノの社員評価を見てみましょう。回答者数が少ない場合がありますので、あくまで参考としてご覧ください。
シマノは待遇が非常に良く、平均年収は800万円を超えています。「待遇面の満足度」も高く現れていますね。
一方、「人材の長期育成」や「20代成長環境」、「人事評価の適正感」については低い評価になっています。日本の大企業特有の人事制度や慣行が根強く、保守的な社風なのかもしれません。
④まとめ
以上、「シマノ」についてリサーチした結果、
・大阪・堺の海外売上高比率9割超えグローバル企業
・自転車部品と釣具の二本柱
・財務は極めて健全
・コロナ禍の自転車ブームが落ち着き業績と株価は下降
・社員の待遇満足度は高く、人事面での評価は低め
でした。
今後も個人的に気になった企業についてどんどんリサーチしていこうと思います。
参考資料
シマノ公式サイト
openwork
https://www.openwork.jp/company.php?m_id=a0910000000FrWj
東洋経済
日経新聞
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