記事一覧
村上春樹『街とその不確かな壁』感想
はじめに 今日は村上春樹さんの新作長編『街とその不確かな壁』(新潮社)の感想をつらつらと書いていこうと思います。
第一部から順に雑感を書いていく予定なのでネタバレがあることと、先の展開に触れていたり他作品の話題を出すこともあると思いますので、その辺りをご了承下さい。
第一部 さて、最初の数章を読んでの印象は、思っていた以上に『世界の終り』だなぁというものでした。だからこそ本作との違いが気になる
『俺ガイル結1』の映画館と比企谷家から本編と分岐を再考する。
はじめに 本稿では、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結1』(小学館ガガガ文庫、以下『俺ガイル結1』or『結1巻』)で描かれていた映画館と比企谷家の場面をそれぞれ取り上げて、考察を試みたいと思います。
先月発売された『結2巻』のネタバレはありませんので、その点はご安心を。
なお本編からの分岐については、以下の描写を切っ掛けに、Prelude最後の独白から少しずつずれて行ったという(お
『かぐや様』EDと、ジブリ短編『On Your Mark』考察
はじめに もう4年前のことになりますが、アニメ『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』のEDをニコニコ動画で観た時に、『On Your Mark』に言及するコメントがちらほらあったのを覚えています。
それ以来、いつかはちゃんと観たいなと思っていたのですが、来月中旬に調布で28年ぶりの上映があるというニュースに背中を押されて、ようやく観てみました。
本稿はジブリの短編作品『On You
俺ガイル各キャラの名前についての一考察
はじめに 本稿では、渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(小学館ガガガ文庫、以下『俺ガイル』)に登場する各キャラの名前について考えてみたいと思います。
具体的には、登場人物それぞれについて個別に語って行く形になりますが、その前におおまかな仮説をここで書かせて下さい(とはいえ、読み飛ばしても特に問題はありません)。
まず主要人物の名前については鎌倉時代、つまり「伊豆で挙兵した源頼朝
『ルックバック』とOasisとDavid Bowie
はじめに 本稿は、藤本タツキ『ルックバック』(集英社ジャンプコミックス)を3つのパートに分けて、それらをOasisとDavid Bowieの楽曲を手掛かりに読み解こうと試みるものです。
藤本タツキ作品と映画との関わりについては多くの方々が言及しておられる感がありますが、音楽との関わりは(特にDavid Bowieについては)あまり考察を見ない気がしたので、新作が発表されたこの機会に書いておこう
俺ガイル本編の最終盤における八幡の成長について
はじめに
本稿は、渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(小学館ガガガ文庫、以下『俺ガイル』)の14巻終盤における比企谷八幡と平塚静のやり取り(P.497-)を振り返って、その作中での意味合いを検証するものです。
より具体的には、以下で言及した二つの行為について考えて行きたいと思います。
以上、よろしくお願いします。
作品をどう読むか まずは大きな話から始めることにしましょう