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読書感想

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読書記録や、大好きな一冊について 書いています。
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#小説

本はできれば手元に

小さい頃から本を読むのが好きです。
沢山は読めないけれど、これからも読書を楽しみながら、自分の世界を拡げていきたいと思ってます。

そんな私の本棚には、母の影響で好きになった田辺聖子の小説、モンゴメリの赤毛のアンシリーズ、上橋菜穂子の守り人シリーズがあります。
成人してから、少しずつ買い足していきました。

仕事中にお客さんに薦めてもらった小説も増えてきました。佐伯泰英や葉室麟などの時代小説は、自

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「源氏物語」を再び

今、NHKの大河ドラマ「光る君へ」を毎週楽しみにしています。平安時代に生きた紫式部の人生を描いた物語ということで、平安貴族文化が好きな自分としてはこれは観るしかない!と心待ちにしていました。

私は実家に居た頃、母の本棚から面白そうな本を物色して読んでいました。その中に田辺聖子の「むかし・あけぼの」(清少納言が主人公の小説)や、与謝野晶子が現代語訳した「源氏物語」がありました。

小さい頃から思春

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「鏡をみてはいけません」感想文〜※ネタバレあります。

美味しいご飯の出てくる小説が好きだ。
田辺聖子さんの小説
「鏡をみてはいけません」は、主人公・中川野百合(のゆり)が朝食を作っているシーンから始まる。
野百合は、小鳥の啼(な)き声の入ったテープをキッチンに流しながら、口笛を吹きつつトマトをむいてる。テレビのニュースはつけているけど、音声をほとんど絞っている。
そこへ十歳の男の子・宵太(しょうた)が降りてきて、まだよく知らない同士の二人は、礼儀正し

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「金閣寺」を読み、混乱する。

自分の生きている限り付いてまわり、
切り離すことのできない性質がある。

それを呪い、疎ましく思い
取返しのつかない引け目だと考えて
苦しみながら抱えているうちに、
その特質を持つ自分こそが
世界から切り離された、特別な存在だと
考えるようになる。

その性質こそが自分だと
自分には特別な役が与えられているのだと
それが唯一の存在証明だとでもいうように。

アイデンティティーといっても、
これは他

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あなたに向けて。〜「むかし・あけぼの」感想文〜

小さい頃から何度も読んだ本がある。
田辺聖子さんの「むかし・あけぼの」。

平安時代に生きた清少納言の人生を、
歴史を紐解き、田辺さん独自の解釈を加え
生き生きと蘇らせた長編だ。

田辺聖子さんといえば、
関西弁の軽妙なやり取り、
大阪の食や笑い、少し癖のある文体、
そういったイメージが先行するかもしれない。

けれど「むかし・あけぼの」は
田辺さんのエッセンスが盛り込まれつつも、清少納言という女

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サラバ!を読んで。

西加奈子さんの「サラバ!」。
タクシーのお客さんに薦めてもらい、
手に取りました。

西加奈子さんはテレビで拝見して
知っていましたが、彼女の本を読むのは始めてでした。

すごく面白かったです。

「サラバ!」は、ざっくり言うと
一人の男性が、自分自身として生き始めるまでの半生を描いた物語です。

主人公の男性がイランで産まれた瞬間から大阪・エジプトで育ち大人になっていくまでの過程を丁寧に描いてい

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