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自作【毎週ショートショートnote】まとめ

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途中参加している毎週ショートショートnoteの記事だけをまとめたマガジンです。
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2023年5月の記事一覧

【毎週ショートショートnote】心お弁当

林檎ちゃんと最近、お昼ごはんを食べていない。
お弁当もひとりで食べている。
さみしいけど、なんでこうなったのかは、わからない。
きっと、林檎ちゃんは僕と友達でいるのが嫌になったのだろう。
それならしょうがない。

でも、林檎ちゃんがいないと、さびしいなんて、まるで。
いや、林檎ちゃんは友達だ。

僕は二つ目のお弁当を食べようと手をのばした。

お弁当はなかった。
林檎ちゃんがいて、お弁当を食べてた

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【毎週ショートショートnote】どこもお遍路

うっかり風邪をひいた。
布団をかぶり、うんうんうなりながら、考えるのは鎌犬のことだった。

あいつ、弁当二つ、つくってるだろうな。
だれかに告白したのかな。
告白したとして、受け入れられたとしたら、私は喜ぶべきだろうか。

喜ぶべきだろうな。
あいつに彼女ができたのなら。
でも、もし、私のことを待っていたとしたら。

「ここどこだ?」
長い長い階段の上に私はいた。
「夢の中だよ」
私のさらに上の階

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【毎週ショートショートnote】伝書鳩パーティー

伝書鳩好きが一堂に会する伝書鳩パーティーに、なぜかバディがいた。
「ボディビルも来るなんて、どうしたの?」
「仕事よ。あんたはなんでここにいるの」
「幸次さんのおじいさんが主催のパーティーだから来たの」
「さらわれないようにしなさいよ」
「事件が起きなければね~」
「大変だ! 伝書鳩が盗まれた!」
早速、事件だ。

「首謀者はあなたですね!」
「くっそっ!」
首謀者は近くにいた女性に手をのばした。

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【毎週ショートショートnote】風見鶏ローディー

「その笛があれば、盗まれていた伝書鳩もすぐに帰ってきたんじゃないの?」
「下手に笛を吹いたら、暴れた伝書鳩が怪我をするかもしれないでしょ」
「さすが、ボディビルさん。その通りです」
伝書鳩盗難事件も解決し、首謀者は連行された。
パーティーのつづきを楽しむことになったけど、私がいてもいいのかしら?
恋人と二人きりの方がいいんじゃ?

私の心配も知らずに、尾出幸次さんは伝書鳩パーティーの由来をはなしは

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【毎週ショートショートnote】半分ろうそく

誕生日には嫌な思い出しかない。
ケーキを買って、ろうそくをたてたことがない。
もう高校生だから、こだわらなくていいのかもしれないけれど。
あこがれるのは、あこがれる。

「林檎ちゃん。お誕生日おめでとー」
「知ってたんだ。ありがとう」

クラスメートの女の子たちから、プレゼントをいっぱいもらう。
友達にはめぐまれているので、プレゼントへのあこがれはない。
ケーキがほしいけど、そこまで望むのは贅沢だ

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【毎週ショートショートnote】三分豚足

家庭科室にて、僕は調理し終わった豚足をあたためていた。
いや、なんで?
いや、なんでかは、わかっている。
誕生日プレゼントのケーキを食べていたら、林檎ちゃんが豚足を食べたいといったからだ。
豚足はすぐに手に入らないし、処理だって時間がかかるかもしれないと言ったら、いくらでも待つと林檎ちゃんが答えたから、僕は一週間で豚足の煮込みが入ったタッパーを学校にたずさえてきた。
林檎ちゃんは、そろそろ家庭科室

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【毎週ショートショートnote】火星の別件逮捕

高嶺さんにプラネタリウムに行かないかとさそわれ、わたしは二つ返事で応じたのが昨日のことである。
なんでも、プラネタリウムの会員のみのプレミアム上映なのだとか。
期待に胸をふくらませ、待ちあわせにもなっているプラネタリウムへ行く。

『火星、なぜ、こんなことを』
『わからないのか地球よ』

わたしはなにを見せられているのだろうか。
隣に座る高嶺さんをチラ見すると、暗闇でもわかるほどに目をらんらんと輝

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【毎週ショートショートnote】惰性のエッヘン開放

プラネタリウムの上映がおわり、わたしと高嶺さんは常設されている喫茶店でお茶をしていた。
惑星パフェをつつきながら、プラネタリウムの感想を言う。

「わたしには、ちょっと難しかったです」
「あら、そうなの」
「頭だけが惑星になっている人たちも、かなりシュールで」
「ふんふん」
「星座にはくわしくなった気がしますけど、プラネタリウムに来たのなら、星空をもっとみたかったなと」
「なるほど。今後の参考にさ

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【毎週ショートショートnote】メガネ朝帰り

「ああ、いいメガネだった…!」
「馬鹿が」

俺は相方と眼鏡屋をあとにした。
なんとまあ、徹夜明けだ。
トランプのページワンだけで、ここまで遊べるのは俺と相方ぐらいだろう。

「今日は、その眼鏡を一日かけたままな」

俺は舌打ちする。
あんだけ俺でメガネファッションショーをしたというのに、まだメガネを見足りないというのか。

「生粋のメガネ狂いだよな、てめえは」
「まあね。俺は視力がいいから、見る

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【毎週ショートショートnote】鋼こむらがえり

「いたたた…」
「少しは反省したか?」

相棒は、かなり怒っていた。
たかが、ティッシュやタオルを持って帰っただけなのに、なぜ、そんなに怒るのか俺には理解できない。
おかげで、相棒の蹴りを避けたときに、足をつってしまった。
痛くて痛くてしょうがない。

「あそこの公園まで歩けるか?」
「無理、痛い」
「ったく、しょうがねえな」

相棒は俺を背負って、公園のベンチまで運んでくれた。
こういう世話焼き

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