【毎週ショートショートnote】三分豚足


家庭科室にて、僕は調理し終わった豚足をあたためていた。
いや、なんで?
いや、なんでかは、わかっている。
誕生日プレゼントのケーキを食べていたら、林檎ちゃんが豚足を食べたいといったからだ。
豚足はすぐに手に入らないし、処理だって時間がかかるかもしれないと言ったら、いくらでも待つと林檎ちゃんが答えたから、僕は一週間で豚足の煮込みが入ったタッパーを学校にたずさえてきた。
林檎ちゃんは、そろそろ家庭科室に来るはずだけど、まだ来ない。

「あのお…」
「遅いよ、林檎ちゃん…」

家庭科室に入って来たのは、林檎ちゃんじゃなかった。
一年下のリボンタイをつけた女の子だった。


「鎌犬ー! 遅れてごめん、…だれ?」
「あっ、林檎さん」


女の子は林檎ちゃんにかけよる。

「好きです! つきあってください!」
「私、女だけど」
「知ってます。でも、好きです」
「好きなやついるから、ごめんね」
「愛人でいいです! 二番目の彼女にしてください」

すごい押しの強い女の子だ…。