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思考整理の文章置き場

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日記ではない長文のエッセイや、もぐら会「書くことコース」の原稿などをまとめています。
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気づかずに通り過ぎることだけは避けたい愛を書き連ねる

気づかずに通り過ぎることだけは避けたい愛を書き連ねる

・夏の早朝の透き通った空気

夏の朝はやく、5時でも6時でもいい。
まだ暑くなる前の透き通った空気、騒音のない静かな雰囲気、誰にも汚されていない時間帯。まだ鳥も人間も目が覚めていないような、世界中がまだ眠っているような、そんなぽっかり穴があいたような空間にただひとり、起きる。この世界をはじめるのはわたしだ、と高らかに宣言しても誰も聞いていないような、そんな見放された時間がとにかく好きだ。

・ヨー

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近くにいれば漠然、離れれば輪郭が浮かび上がる。印象派の魔法、モリゾの絵。

近くにいれば漠然、離れれば輪郭が浮かび上がる。印象派の魔法、モリゾの絵。

フランスに来てから「いろんなことがありすぎて」と各方面に言っている。例えば詐欺まがいのトラブルに巻き込まれたり、コロナウィルスの感染者は1日5万人を超えたり、人生で初めて経験する出来事があったり、外出制限が発令されたり、3年前の思い出の延長線をなぞったり。具体的に「いろんなこと」とは一体何なのか、noteでも日記でもいいからどこかできちんと整理をしたい。いったい何に悩んで何に困って、何に苦しんでい

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巡礼路、大地を踏みしめて歩いたことの確かな記憶。

巡礼路、大地を踏みしめて歩いたことの確かな記憶。

今日、NHK BSプレミアムで「聖なる巡礼路を行く 〜カミーノ・デ・サンティアゴ 1500km〜」という番組が放送されていた。

全三回放送のこのシリーズは、1ヶ月ほど前すでにBS8Kの高画質でヨーロッパの大地、青空、草花、石垣、教会、巡礼路を美しい色合いそのままに視聴者に届けていたらしい。反響があったことからBSプレミアムで放送、初回が本日だった。フランス国内のLe Puy-en-Velay(ル

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振り返ることは、うしろ向きではない。

振り返ることは、うしろ向きではない。

気分が落ちているときはじっとその波が通り過ぎるのを待つのだけれど、波があまりにも激しいときはそのいきおいで全てを手放したくなる。あれもやめ、これもやめ。ぜーんぶいちからやり直し。だれにも文句はいわせない、だってこれまで社会は散々わたしに面倒を押し付けてきたじゃないか、一度くらい投げ出してもいいんじゃないのって、いま動かなくていつ終わりにできるのかって。

前にむかって進むことだけを考え、成長、進歩

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