来住千保美 Chihomi Kishi

1991年からドイツ在住です。クラシック音楽を中心に様々なテーマでお伝えしたいと思いま…

来住千保美 Chihomi Kishi

1991年からドイツ在住です。クラシック音楽を中心に様々なテーマでお伝えしたいと思います。(音楽学/音楽ジャーナリスト。音楽専門誌など執筆多数。早稲田大学第一文学部ドイツ文学科卒業、ドイツ・ケルン大学法学部を経て音楽学・ドイツ文学・日本学で修士号取得。同大学音楽学博士課程中退)

記事一覧

コンサート:パーヴォ・ヤルヴィ指揮ミュンヘン・フィル Münchner Philharmoniker 05.05.24 (Isarphilharmonie)

5月5日、ミュンヘンのイザールフィルハルモニーでパーヴォ・ヤルヴィ指揮ミュンヘン・フィルのコンサートを聴きました。 この日はマチネー、11時からでした。 ドイツは…

ミュージカル:《レ・ミゼラブル》Gärtnerplatztheater 03.05.24

5月3日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターでミュージカル《レ・ミゼラブル》を観ました。これはスイスのザンクト・ガレン劇場との共同制作で、プレミエは今年3月22…

バレエ:オッテン作曲《ピーター・パン》、ゲルトナープラッツテアター Gärtnerplatztheater、02.05.24

5月2日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターでバレエ《ピーター・パン》を観ました。 大人になりたくない少年、ピーター・パンを知らない人はいないでしょう。 映…

オペラ:ワーグナー《タンホイザー》プレミエ、フランクフルト・オペラ Oper Frankfurt 28.04.24

4月28日にはフランクフルト・オペラの新制作、ワーグナー《タンホイザー》のプレミエを観ました。今回はウィーン版でした(前回の制作はドレスデン版)。 フランクフルト…

オペラ:モーツァルト《フィガロの結婚》プレミエ、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、Komische Oper Berlin 27.04.24(シラー…

4月27日はベルリン・コーミッシェ・オーパー(KOB)の新制作、モーツァルト《フィガロの結婚》プレミエを観ました。 ミッテ地区にあるKOBの劇場は改修中のため、この日の…

オペラ:レスピーギ《ルクレツィア》/オルフ《月》のプレミエ、バイエルン州立オペラ (研修生)Bayerische Staatsoper (Studio…

4月24日、ミュンヘンのクヴィリエ・テアターでレスピーギ作曲《ルクレツィア》とオルフ作曲《月》のプレミエを観ました。 これはバイエルン州立オペラのシュトゥーディオ…

コンサート:ヨアナ・マルヴィッツ指揮バイエルン州立管 Bayerisches Staatsorchester 22.04.24 (ミュンヘン・ナツィオナール…

4月22日はヨアナ・マルヴィッツ指揮バイエルン州立管のコンサートを聴きました。 バイエルン州立管はバイエルン州立オペラのオーケストラで、オペラ公演の時はピットに入り…

オペラ:ヴェルディ《アイーダ》、バイエルン州立オペラ Bayerische Staatsoper 21.04.24

4月21日、バイエルン州立オペラのヴェルディ《アイーダ》を観ました。 このプロダクション、昨年のプレミエを観たのですが、→ 今回はラダメス役にヨナス・カウフマンが登…

コンサート:サイモン・ラトル指揮バイエルン放送響(BRSO)19.04.24 創立75周年ガラ・コンサート(4月19日、ミュンヘン・イザ…

ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送協会が持つオーケストラ、バイエルン放送響は今年、創立75年を迎えます。 これを記念して、4月19日、ミュンヘンのイザールフィルハ…

オペラ:ワーグナー《パルジファル》 Staatstheater Nürnberg ニュルンベルク・オペラ(4月14日)

4月14日、ニュルンベルク・オペラでワーグナー《パルジファル》新制作を観ました。新制作初日は3月31日でした。 今年の復活祭は3月29日が聖金曜日で、4月1日で終わり…

情報:『音楽の友』5月号

『音楽の友』5月号(4月18日発売)の私の記事は以下のとおりです。 ●海外レポートの扉ページ(127ページ) ・「OPER! AWARDS 2024」授賞式 ●海外レポート・ドイツ(…

ミュージカル:《魔笛》世界初演 Das Musical Zauberflöte, Deutsches Theater 12.04.24

4月12日、ミュンヘンのドイチェス・テアターでミュージカル《魔笛》世界初演を観ました。モーツァルトとシカネーダーの《魔笛》をミュージカル化したものです。 ミュージ…

シーズン・プログラム 24/25 ② ハンブルク・オペラ Staatsoper Hamburg

ハンブルク・オペラ https://www.staatsoper-hamburg.de (全7856字) 【写真はハンブルク・オペラ近くの桜並木です。】 ハンブルク・オペラは1678年創設、古い歴史のみ…

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コンサート:Münchner Philharmoniker 10.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮イザールフィルハルモニー)

4月10日、先週に続きダニエル・ハーディング指揮ミュンヘン・フィルのコンサートに出かけました(イザールフィルハルモニー)。 プログラム。 短期間に同じ指揮者でこん…

情報:ホールや劇場での費用について。ミュンヘン・イザールフィルハルモニーの場合

【上記はミュンヘン・イザールフィルハルモニーのステージ後部から撮った写真です】 昨晩もミュンヘン・フィルのコンサートに行きました。そのレポートは別に書きますが、…

オペラ:Bayerische Staatsoper 08.04.24 バイエルン州立オペラ、プッチーニ作曲《三部作》

4月8日はミュンヘンのバイエルン州立オペラでプッチーニ作曲《三部作》を観ました。 《三部作》というのは《外套》、《修道女アンゲリカ》、《ジャンニ・スキッキ》とい…

コンサート:パーヴォ・ヤルヴィ指揮ミュンヘン・フィル Münchner Philharmoniker 05.05.24 (Isarphilharmonie)

コンサート:パーヴォ・ヤルヴィ指揮ミュンヘン・フィル Münchner Philharmoniker 05.05.24 (Isarphilharmonie)

5月5日、ミュンヘンのイザールフィルハルモニーでパーヴォ・ヤルヴィ指揮ミュンヘン・フィルのコンサートを聴きました。
この日はマチネー、11時からでした。

ドイツは4月後半、雪が降ったら真夏日になったり、落ち着かない天気が続いています。『美わしき5月』になってもまだコートが離せません。

とはいえ、木々は緑になっています。
タイトルの写真もイザールフィルハルモニーのすぐ横を流れるグローサー・シュタ

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ミュージカル:《レ・ミゼラブル》Gärtnerplatztheater 03.05.24

ミュージカル:《レ・ミゼラブル》Gärtnerplatztheater 03.05.24

5月3日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターでミュージカル《レ・ミゼラブル》を観ました。これはスイスのザンクト・ガレン劇場との共同制作で、プレミエは今年3月22日、観た日は11回目の公演でしたが、満員売り切れ。

今回が《レ・ミゼラブル》のミュンヘン初演でした。
ゲルトナープラッツテアターの現インテンダント、ケプリンガーが2010年、インテンダントとしての契約を結んだ時に《レ・ミゼラブル》を上

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バレエ:オッテン作曲《ピーター・パン》、ゲルトナープラッツテアター Gärtnerplatztheater、02.05.24

バレエ:オッテン作曲《ピーター・パン》、ゲルトナープラッツテアター Gärtnerplatztheater、02.05.24

5月2日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターでバレエ《ピーター・パン》を観ました。

大人になりたくない少年、ピーター・パンを知らない人はいないでしょう。

映画やミュージカルは有名ですが、これはバレエ。
2016年5月3日、ミュンヘンのクヴィリエ・テアターで世界初演されました。ゲルトナープラッツテアターの委嘱作品です。
当時、劇場が改修に入っていたため、代替劇場のクヴィリエ・テアターでの世界

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オペラ:ワーグナー《タンホイザー》プレミエ、フランクフルト・オペラ Oper Frankfurt 28.04.24

オペラ:ワーグナー《タンホイザー》プレミエ、フランクフルト・オペラ Oper Frankfurt 28.04.24

4月28日にはフランクフルト・オペラの新制作、ワーグナー《タンホイザー》のプレミエを観ました。今回はウィーン版でした(前回の制作はドレスデン版)。

フランクフルト・オペラは23年秋、〈最優秀オペラハウス〉に選ばれています。
1993年、インターナショナルなオペラ専門誌『オーパンヴェルト』がその年鑑で選ぶ賞ですが、これで6回目の受賞です。

公演前に開かれる説明会は用意した椅子が足りず、立っている

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オペラ:モーツァルト《フィガロの結婚》プレミエ、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、Komische Oper Berlin 27.04.24(シラーテアター)

オペラ:モーツァルト《フィガロの結婚》プレミエ、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、Komische Oper Berlin 27.04.24(シラーテアター)

4月27日はベルリン・コーミッシェ・オーパー(KOB)の新制作、モーツァルト《フィガロの結婚》プレミエを観ました。
ミッテ地区にあるKOBの劇場は改修中のため、この日の上演は旧西側にあるシラーテアターで行われました。

シラーテアター。

プログラム。

演出と美術と衣裳はキリル・セレブレンニコフ。映画ファンはよく知っていると思います。私の以前の投稿は→

この後、2022年初め、なぜか自宅軟禁を

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オペラ:レスピーギ《ルクレツィア》/オルフ《月》のプレミエ、バイエルン州立オペラ (研修生)Bayerische Staatsoper (Studio)(4月24日、ミュンヘン・クヴィリエ・テアター)

オペラ:レスピーギ《ルクレツィア》/オルフ《月》のプレミエ、バイエルン州立オペラ (研修生)Bayerische Staatsoper (Studio)(4月24日、ミュンヘン・クヴィリエ・テアター)

4月24日、ミュンヘンのクヴィリエ・テアターでレスピーギ作曲《ルクレツィア》とオルフ作曲《月》のプレミエを観ました。
これはバイエルン州立オペラのシュトゥーディオ(研修生)による公演でした。

クヴィリエ・テアターはミュンヘン市の中心部レジデンツの中にある王宮劇場です。
Residenzstrasse から見た入口。

敷地内に入っていくと・・・

劇場の廊下とフォワイエ。

モーツァルトの傑作《

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コンサート:ヨアナ・マルヴィッツ指揮バイエルン州立管 Bayerisches Staatsorchester 22.04.24 (ミュンヘン・ナツィオナールテアター)

コンサート:ヨアナ・マルヴィッツ指揮バイエルン州立管 Bayerisches Staatsorchester 22.04.24 (ミュンヘン・ナツィオナールテアター)

4月22日はヨアナ・マルヴィッツ指揮バイエルン州立管のコンサートを聴きました。
バイエルン州立管はバイエルン州立オペラのオーケストラで、オペラ公演の時はピットに入りますが、アカデミーコンサートとしてコンサートもします。

この夜はスター女性指揮者マルヴィッツの同管指揮デビューでした。
マルヴィッツは先シーズンまでニュルンベルク・オペラの音楽総監督でしたが、今シーズンからはベルリン・コンツェルトハウ

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オペラ:ヴェルディ《アイーダ》、バイエルン州立オペラ Bayerische Staatsoper 21.04.24

オペラ:ヴェルディ《アイーダ》、バイエルン州立オペラ Bayerische Staatsoper 21.04.24

4月21日、バイエルン州立オペラのヴェルディ《アイーダ》を観ました。
このプロダクション、昨年のプレミエを観たのですが、→

今回はラダメス役にヨナス・カウフマンが登場するので、それが目当てでした。
高額チケットにもかかわらず、売り切れ、大喝采でした。

ヨナス・カウフマンは現在、オペラ界の大スター・テノールです。
私が初めて彼を観たのは四半世紀前、シュトゥットガルト・オペラの《ラ・トラヴィアータ

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コンサート:サイモン・ラトル指揮バイエルン放送響(BRSO)19.04.24 創立75周年ガラ・コンサート(4月19日、ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

コンサート:サイモン・ラトル指揮バイエルン放送響(BRSO)19.04.24 創立75周年ガラ・コンサート(4月19日、ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送協会が持つオーケストラ、バイエルン放送響は今年、創立75年を迎えます。
これを記念して、4月19日、ミュンヘンのイザールフィルハルモニーでガラ・コンサートがありました。コンサートは20日もありましたが、19日に出かけました。
19日はガラで、賓客や関係者の顔が多く見えました。

75年記念のパンフレットは無料でした。

このパンフレットの内容の一部です。
バイエ

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オペラ:ワーグナー《パルジファル》 Staatstheater Nürnberg ニュルンベルク・オペラ(4月14日)

オペラ:ワーグナー《パルジファル》 Staatstheater Nürnberg ニュルンベルク・オペラ(4月14日)

4月14日、ニュルンベルク・オペラでワーグナー《パルジファル》新制作を観ました。新制作初日は3月31日でした。
今年の復活祭は3月29日が聖金曜日で、4月1日で終わりました。
ちなみに聖金曜日はイエス・キリストが十字架にかけられた日で、歌舞音曲の類いを慎みます。
この前後には上演する作品も限られており、その筆頭は《パルジファル》です。

ニュルンベルクの劇場。住所は「Richard-Wagner-

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情報:『音楽の友』5月号

『音楽の友』5月号(4月18日発売)の私の記事は以下のとおりです。

●海外レポートの扉ページ(127ページ)

・「OPER! AWARDS 2024」授賞式

●海外レポート・ドイツ(133ページ)

・ニュルンベルク州立劇場の《ドン・ジョヴァンニ》新制作

・バイエルン放送響のコンサート(ラトル指揮)

・ミュンヘン・フィルのコンサート(ジャコ、ガッティ指揮)

・ゲルトナープラッツ劇場イン

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ミュージカル:《魔笛》世界初演 Das Musical Zauberflöte, Deutsches Theater 12.04.24

ミュージカル:《魔笛》世界初演 Das Musical Zauberflöte, Deutsches Theater 12.04.24

4月12日、ミュンヘンのドイチェス・テアターでミュージカル《魔笛》世界初演を観ました。モーツァルトとシカネーダーの《魔笛》をミュージカル化したものです。

ミュージカルにはオペラ作品をもとにしたものがあります。たとえば、
《レント》← 《ラ・ボエーム》
《ミス・サイゴン》← 《蝶々夫人》
もっとも有名なのは《ウエスト・サイド・ストーリー》← 《ロメオとジュリエット》ですが、これはもとはシェークスピ

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シーズン・プログラム 24/25 ② ハンブルク・オペラ Staatsoper Hamburg

シーズン・プログラム 24/25 ② ハンブルク・オペラ Staatsoper Hamburg

ハンブルク・オペラ https://www.staatsoper-hamburg.de

(全7856字)
【写真はハンブルク・オペラ近くの桜並木です。】

ハンブルク・オペラは1678年創設、古い歴史のみならず、今日も実力を備えた名門オペラです。

土地柄もあるのでしょうか、スタイリッシュでスマートなオペラです。

観客のファッションも、ミュンヘンのプレミエはデコラティヴなドレスを着た人が多い傾

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コンサート:Münchner Philharmoniker 10.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮イザールフィルハルモニー)

コンサート:Münchner Philharmoniker 10.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮イザールフィルハルモニー)

4月10日、先週に続きダニエル・ハーディング指揮ミュンヘン・フィルのコンサートに出かけました(イザールフィルハルモニー)。

プログラム。

短期間に同じ指揮者でこんなにタフなプログラムを組んだ理由は、この後に続くツアーのためだと思います。

ツアーは4月13〜19日、ウィーン(2回)、ハンブルク(2回)、パリ(1回)です。

この夜はエスケシュ作曲《ヴァイオリン協奏曲第2番》の世界初演だったので

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情報:ホールや劇場での費用について。ミュンヘン・イザールフィルハルモニーの場合

情報:ホールや劇場での費用について。ミュンヘン・イザールフィルハルモニーの場合

【上記はミュンヘン・イザールフィルハルモニーのステージ後部から撮った写真です】

昨晩もミュンヘン・フィルのコンサートに行きました。そのレポートは別に書きますが、ここでは、ホールの中での費用について書きたいと思います。

まずコンサートを聴くには、チケットを買う必要があります。それには以下の方法があります。

・シーズン中の定期会員になると割安
・インターネットや窓口などで事前に購入
・当日券

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オペラ:Bayerische Staatsoper 08.04.24 バイエルン州立オペラ、プッチーニ作曲《三部作》

オペラ:Bayerische Staatsoper 08.04.24 バイエルン州立オペラ、プッチーニ作曲《三部作》

4月8日はミュンヘンのバイエルン州立オペラでプッチーニ作曲《三部作》を観ました。
《三部作》というのは《外套》、《修道女アンゲリカ》、《ジャンニ・スキッキ》という3つの1幕作品をまとめた言い方で、一夜に三作上演します。

最近ではエッセン・アールトムジークテアターの制作がとても良かった。→

昨夏はヴェルニゲローデで《ジャンニ・スキッキ》のみの上演を観ました。→

なんといっても、この三作の中で《

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