来住千保美 Chihomi Kishi

1991年からドイツ在住です。クラシック音楽を中心に様々なテーマでお伝えしたいと思いま…

来住千保美 Chihomi Kishi

1991年からドイツ在住です。クラシック音楽を中心に様々なテーマでお伝えしたいと思います。(音楽学/音楽ジャーナリスト。音楽専門誌など執筆多数。早稲田大学第一文学部ドイツ文学科卒業、ドイツ・ケルン大学法学部を経て音楽学・ドイツ文学・日本学で修士号取得。同大学音楽学博士課程中退)

最近の記事

コンサート:サイモン・ラトル指揮バイエルン放送響(BRSO)19.04.24 創立75周年ガラ・コンサート(4月19日、ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

ミュンヘンに本拠を置くバイエルン放送協会が持つオーケストラ、バイエルン放送響は今年、創立75年を迎えます。 これを記念して、4月19日、ミュンヘンのイザールフィルハルモニーでガラ・コンサートがありました。コンサートは20日もありましたが、19日に出かけました。 19日はガラで、賓客や関係者の顔が多く見えました。 75年記念のパンフレットは無料でした。 このパンフレットの内容の一部です。 バイエルン放送協会のインテンダントの挨拶が寄せられています。 75年にわたる代々の首

    • オペラ:ワーグナー《パルジファル》 Staatstheater Nürnberg ニュルンベルク・オペラ(4月14日)

      4月14日、ニュルンベルク・オペラでワーグナー《パルジファル》新制作を観ました。新制作初日は3月31日でした。 今年の復活祭は3月29日が聖金曜日で、4月1日で終わりました。 ちなみに聖金曜日はイエス・キリストが十字架にかけられた日で、歌舞音曲の類いを慎みます。 この前後には上演する作品も限られており、その筆頭は《パルジファル》です。 ニュルンベルクの劇場。住所は「Richard-Wagner-Platz」です。 劇場建物の向かい側にはワーグナーの頭像があります。 ニュ

      • 情報:『音楽の友』5月号

        『音楽の友』5月号(4月18日発売)の私の記事は以下のとおりです。 ●海外レポートの扉ページ(127ページ) ・「OPER! AWARDS 2024」授賞式 ●海外レポート・ドイツ(133ページ) ・ニュルンベルク州立劇場の《ドン・ジョヴァンニ》新制作 ・バイエルン放送響のコンサート(ラトル指揮) ・ミュンヘン・フィルのコンサート(ジャコ、ガッティ指揮) ・ゲルトナープラッツ劇場インテンダントの契約更新 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ インスタグラム @chihom

        • ミュージカル:《魔笛》世界初演 Das Musical Zauberflöte, Deutsches Theater 12.04.24

          4月12日、ミュンヘンのドイチェス・テアターでミュージカル《魔笛》世界初演を観ました。モーツァルトとシカネーダーの《魔笛》をミュージカル化したものです。 ミュージカルにはオペラ作品をもとにしたものがあります。たとえば、 《レント》← 《ラ・ボエーム》 《ミス・サイゴン》← 《蝶々夫人》 もっとも有名なのは《ウエスト・サイド・ストーリー》← 《ロメオとジュリエット》ですが、これはもとはシェークスピア原作の演劇だということは言うまでもありません。 《魔笛》は1791年の世界初

        コンサート:サイモン・ラトル指揮バイエルン放送響(BRSO)19.04.24 創立75周年ガラ・コンサート(4月19日、ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

          シーズン・プログラム 24/25 ② ハンブルク・オペラ Staatsoper Hamburg

          ハンブルク・オペラ https://www.staatsoper-hamburg.de (全7856字) 【写真はハンブルク・オペラ近くの桜並木です。】 ハンブルク・オペラは1678年創設、古い歴史のみならず、今日も実力を備えた名門オペラです。 土地柄もあるのでしょうか、スタイリッシュでスマートなオペラです。 観客のファッションも、ミュンヘンのプレミエはデコラティヴなドレスを着た人が多い傾向がある一方で、ハンブルクのプレミエは『シンプルだけどよく見るとプラダの服だわ!

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          シーズン・プログラム 24/25 ② ハンブルク・オペラ Staat…

          コンサート:Münchner Philharmoniker 10.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮イザールフィルハルモニー)

          4月10日、先週に続きダニエル・ハーディング指揮ミュンヘン・フィルのコンサートに出かけました(イザールフィルハルモニー)。 プログラム。 短期間に同じ指揮者でこんなにタフなプログラムを組んだ理由は、この後に続くツアーのためだと思います。 ツアーは4月13〜19日、ウィーン(2回)、ハンブルク(2回)、パリ(1回)です。 この夜はエスケシュ作曲《ヴァイオリン協奏曲第2番》の世界初演だったので、エスケシュもステージに上がり満場の拍手を受けました。 ブルックナーの後、ハー

          コンサート:Münchner Philharmoniker 10.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮イザールフィルハルモニー)

          情報:ホールや劇場での費用について。ミュンヘン・イザールフィルハルモニーの場合

          【上記はミュンヘン・イザールフィルハルモニーのステージ後部から撮った写真です】 昨晩もミュンヘン・フィルのコンサートに行きました。そのレポートは別に書きますが、ここでは、ホールの中での費用について書きたいと思います。 まずコンサートを聴くには、チケットを買う必要があります。それには以下の方法があります。 ・シーズン中の定期会員になると割安 ・インターネットや窓口などで事前に購入 ・当日券 これは各コンサートで違いますし、定期会員も含め、割引も数多くあり複雑なので、詳細

          情報:ホールや劇場での費用について。ミュンヘン・イザールフィルハルモニーの場合

          オペラ:Bayerische Staatsoper 08.04.24 バイエルン州立オペラ、プッチーニ作曲《三部作》

          4月8日はミュンヘンのバイエルン州立オペラでプッチーニ作曲《三部作》を観ました。 《三部作》というのは《外套》、《修道女アンゲリカ》、《ジャンニ・スキッキ》という3つの1幕作品をまとめた言い方で、一夜に三作上演します。 最近ではエッセン・アールトムジークテアターの制作がとても良かった。→ 昨夏はヴェルニゲローデで《ジャンニ・スキッキ》のみの上演を観ました。→ なんといっても、この三作の中で《ジャンニ・スキッキ》が最も有名、というより《ジャンニ・スキッキ》の中の〈私のお父

          オペラ:Bayerische Staatsoper 08.04.24 バイエルン州立オペラ、プッチーニ作曲《三部作》

          シーズン・プログラム 24/25 ① ミュンヘン・フィル Münchner Philharmoniker

          ミュンヘン・フィル https://www.mphil.de ミュンヘン・フィルは1893年にドイツ・バイエルンのミュンヘンに創立された名門オーケストラです。現在の経営母体はミュンヘン市です。 歴代の首席指揮者にはチェリビダケ、レヴァイン、ティーレマン、マゼール、ゲルフギエフが名をつらね、あのギュンター・ヴァントがその最晩年に指揮した3つしかないオーケストラのひとつです(ミュンヘン・フィルの他はベルリン・フィルと自身が首席をつとめたNDR響)。 コンサートの本拠地はミュ

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          シーズン・プログラム 24/25 ① ミュンヘン・フィル Mü…

          ミュージカル :Gärtnerplatztheater 06.04.24 《夏の夜は三たび微笑む》

          4月6日、お天気も良く、気温がぐんぐん上がって、まるで夏のようでした。 そんな土曜日、ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアターでミュージカル《夏の夜は三たび微笑む》を観ました。 プログラム。 プログラムに英語のプロットがありましたので、掲載します。 作品のタイトルですが、英語のオリジナルは《A Little Night Music》、ドイツ語では《Das Lächeln einer Sommernacht》(夏の夜の微笑)と言い、邦訳にある『三たび』という言葉は出てきませ

          ミュージカル :Gärtnerplatztheater 06.04.24 《夏の夜は三たび微笑む》

          コンサート:Münchner Philharmoniker 05.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮、イザールフィルハルモニー)

          夏時間になった影響もあるのですが、ずいぶん昼が長くなりました。 4月5日は、ミュンヘン・イザールフィルハルモニーでダニエル・ハーディング指揮ミュンヘン・フィルのコンサートを聴きました。 プログラム。 マーラーの《交響曲第5番》は彼の交響曲の中では最も有名かもしれません。正確に言うと、ヴィスコンティが映画《ヴェニスに死す》に使った第4楽章が有名。 これまでいろいろなオーケストラと指揮者でたくさん聴いてきました。 そして実を言うと「はずれ」のことも多く、コンサート前にあまり

          コンサート:Münchner Philharmoniker 05.04.24 ミュンヘン・フィル(ダニエル・ハーディング指揮、イザールフィルハルモニー)

          Osterfestspiele Salzburg 01.04.24 オペラの記録:ザルツブルク復活祭フェスティヴァル、ポンキエッリ作曲《ラ・ジョコンダ》(4月1日、ザルツブルク・グローセス・フェストシュピールハウス)

          今年のザルツブルク復活祭フェスティヴァルの目玉はポンキエッリ作曲《ラ・ジョコンダ》。 タイトルロールにアンナ・ネトレプコ、そしてジョコンダが愛するエンツォ役にヨナス・カウフマンが登場しました。 公演は3月23、27、4月1日の3回、このうち最終日の4月1日の公演を観ました。 プログラム。 オーケストラはローマを本拠とするサンタ・チェチーリア国立アカデミー管です。 指揮は2005年から同管の音楽監督を務めるアントニオ・パッパーノ。 なお音楽監督は今年10からダニエル・ハーデ

          Osterfestspiele Salzburg 01.04.24 オペラの記録:ザルツブルク復活祭フェスティヴァル、ポンキエッリ作曲《ラ・ジョコンダ》(4月1日、ザルツブルク・グローセス・フェストシュピールハウス)

          Osterfestspiele Baden-Baden 26.03.24 オペラの記録:バーデン=バーデン復活祭フェスティヴァル、ペトレンコ指揮ベルリン・フィルの《エレクトラ》(3月26日、バーデン=バーデン・フェストシュピールハウス)

          3月26日、バーデン=バーデン復活祭フェスティヴァルでのR.シュトラウス作曲《エレクトラ》を観ました。 今年の同フェスティヴァルは3月23日から4月1日まで開催されています。 期間中はベルリン・フィルがオペラ、シンフォニー・コンサート、室内楽などを演奏する、事実上、ベルリン・フィルのフェスティヴァルです。 通常はピットに入ることのないベルリン・フィルがオペラを演奏する、他に例をみないフェスティヴァルで、したがって目玉はオペラ公演です。 今年はR.シュトラウス作曲《エレクトラ

          Osterfestspiele Baden-Baden 26.03.24 オペラの記録:バーデン=バーデン復活祭フェスティヴァル、ペトレンコ指揮ベルリン・フィルの《エレクトラ》(3月26日、バーデン=バーデン・フェストシュピールハウス)

          記事のお知らせ:『音楽の友』4月号

          『音楽の友』4月号(3月18日発売)の私の記事は以下のとおりです。 ●海外レポート・ドイツ(149ページ) ・バイエルン州立歌劇場の《スペードの女王》新制作 ・バイエルン放送響のブラームス・チクルス ・ミュンヘン・フィルのブラームス・チクルス 2月末から日本滞在しており、この間の記録はインスタグラムにアップしています。 @chihomi_kishi_kcmc_music 来週にはドイツでの音楽リポートを再開する予定です。 引き続きどうぞよろしくお願いします!

          記事のお知らせ:『音楽の友』4月号

          Münchner Philharmoniker 24.02.24 コンサートの記録:ダニエレ・ガッティ指揮ミュンヘン・フィル(ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

          2年前の2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。 今年のこの日、ミュンヘン・フィルがガッティ指揮で演奏したのはヴェルディ作曲《レクイエム》でした。 2年前、ミュンヘン・フィルの首席指揮者はゲルギエフでした。 プーチン大統領と近いゲルギエフに対し、ミュンヘン市長は態度を明確にするよう、ゲルギエフに求めましたが、ゲルギエフは返答をしないまま同ポストを解任されました。 当時の投稿です。→ プログラム。 ヴェルディ作曲《レクイエム》。知らないと思う人も多いかもしれま

          Münchner Philharmoniker 24.02.24 コンサートの記録:ダニエレ・ガッティ指揮ミュンヘン・フィル(ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

          Gärtnerplatztheater 22.02.24 バレエの記録:《ジゼル》(ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアター)

          2月22日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターでバレエ《ジゼル》を観ました。 プログラム。 このプロダクションの初日は先シーズン2022年11月17日でした。 私が初めて世界一流の《ジゼル》を生の舞台で観たのは1980年代、アメリカン・バレー・シアターの東京公演でした。 この時のアルブレヒト役はバリシニコフでした。 その後、生で観る機会がなく、10年ほど前にシュトゥットガルト・バレエで観たのですが、その時のジゼル役が韓国出身のヒョ=ユン・カン。 まさしく『スター誕

          Gärtnerplatztheater 22.02.24 バレエの記録:《ジゼル》(ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアター)