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#エッセイ

温泉に行きたーい(本のはなし12)

温泉に行きたーい(本のはなし12)

本屋をフラフラ歩いていて目に留まったのは、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』。そして帯には「訪れた温泉は約500湯」と書いてあった。こんな数の温泉に入った人なら、私の行きたい温泉が見つけられるかも!と手に取ってレジへ。

旅行に行くときは、必ず温泉にも入れる宿を選ぶ。家より大きな湯船に入ると体がふわ~っと開放され、お湯の熱さがじわ~っと沁みてくる。この感じが好き。熱めのお湯だった時は、肌が

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『生きるとは、自分の物語をつくること』(本のはなし8)

『生きるとは、自分の物語をつくること』(本のはなし8)

臨床心理学者の河合隼雄さんと、小説家の小川洋子さんの対談集。小川さんの本のことや河合さんの臨床心理の話、箱庭や人生観などを話されている。

あぁ、そうだなぁと改めて心に響いた小川さんの言葉。

人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくとい

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自分の今をしっかり見つめる(本のはなし6)

自分の今をしっかり見つめる(本のはなし6)

久しぶりにファンタジーを読みたいな、と思って手に取ったのは上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』。前に『獣の奏者』を読み、不思議なお話の世界に連れて行かれた。そして今回もまた、どこかの国の不思議なお話の中に引きずり込まれた。

本の中に天狗や狐が出てくる。人に化けた狐や天狗はどんな風貌をしているのか?と想像したり、「若芽をはらんだ枝先がうっすらと赤みを帯び、あわい靄のように山肌をおおっていた。花が咲いた

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仕事の何がイヤなんだろう(本のはなし4)

仕事の何がイヤなんだろう(本のはなし4)

「私の仕事と人生、これでいいの?」という帯に目がいき、読んでみた。『店長がバカすぎて』(早見和真)

本屋さんで働く契約社員の谷原京子さんは、毎日イラついている。「もう辞める」といつも思っている。けど……というお話。

私は仕事の何がイヤなんだろう……。

そうそう、通勤がイヤだ。人の多い電車に乗り、ぐらぐら揺られ、隣に座った人のゲームを動かす手や、ながらスマホでたらりんたらりん歩いている人にイラ

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違う視点でものを見る(本のはなし5)

違う視点でものを見る(本のはなし5)

『明日は、いずこの空の下』(上橋菜穂子)は旅のエッセイ。スコットランド、オーストラリア、ポーランド、イランなどを旅されている。著者のお人柄だろう、優しい文章で、豊かな経験を味わうことができる。

オーストラリアでは羊のしっぽをおいしい!と食べたり、イランの印象が全然違ったこと、お城の階段がぐるぐるで奥行きが狭めてあるのは、鎧を着た人が歩きにくいようにしてあるなど、私の知らないことをたくさん教えても

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知りたいことを知りたい

知りたいことを知りたい

知的好奇心を思いきり刺激された本だった。

ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、英国で暮らす著者の生活と子どもの学校でのお話。差別や貧困、宗教、犯罪、アイデンティティーなど、問題提起が盛りだくさんだった。

私は保育園で働いている。最近は様々な国の人が保育園に来ていて、キリスト教でない宗教の子もいるからという理由で、クリスマスをやらなくなった。でも様々な人たちが

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