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『生きるとは、自分の物語をつくること』(本のはなし8)
臨床心理学者の河合隼雄さんと、小説家の小川洋子さんの対談集。小川さんの本のことや河合さんの臨床心理の話、箱庭や人生観などを話されている。
あぁ、そうだなぁと改めて心に響いた小川さんの言葉。
人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくというような作業を、必ずやっていると思うんです。(小川洋子)
人はそうやって、生きていけるんだろうな。辛いことを変換して、自分が納得できるようにして生きていく。
就職活動で希望した幼稚園に入れなかった時は、ここは私の行く場所じゃなかったんだとか、失恋した時はこの人とは一緒にいる人じゃなかったんだとか、その時その時で自分が納得するように物語にしてるんだろうな、と。ネガティブでいると悔しいし前に進んでいけない。ポジティブに変換して意味を見出して進んでいるんだ、と。
そういえば最近、穴あけパンチを使った時になぜか小指の外側を切った。そばにあったのはブックエンドやホワイトボード。ん?どこで切ったのか?どちらも角は丸くなってる。穴あけパンチの押す部分の裏がちょっと変形して触ったら痛かったけど、そこ??でもわからない。ちょっと血がにじんでて、地味にイタかった・・・。しばらくして、指の痛さがぶり返したので想像してみた。こびとがやってきて、えい!って切られたのかもしれない。その小人は黒いこびと。そして夜、寝ている間に赤いこびとがやってきて、私の指をなでなでして直してくれるに違いない。イヤなこともこうやって楽しいことに変換すれば気持ちをポジティブにできるのだ。なーんて。
以前、テレビで就職活動の学生さんの話をやっていた。コロナの影響で小さい頃から夢だった旅行会社に就職できなかった、ホテルに就職できなかったという話。ずっと夢見ていたことが叶わないってなんて悲しいんだろう、と胸が痛んだ。その話を大学の先生をしている友だちに話したら、友だちは「仕方ないよ」と。シビアだなぁと思ったけど、「そういう状態になった時、乗り越えていける力をつけて欲しいんだよね」と言っていた。人生、どうしようもないこともある。悲しんでるだけじゃ、悔やんでるだけじゃどうにもならない。友だちはちゃんと子どもたちの先を見てあげてるんだな、と更に尊敬が増した。
河合隼雄さんがこんなことを言っている。
臨床心理のお仕事は、自分なりの物語を作れない人を、作れるように手助けすることだというふうに私は思っています。
乗り越える力をつけられたらいいけど、いじめとか場合によっては逃げるのもありだと思う。それと専門家に助けてもらうのも一つ。自分の人生は自分のもの。これからどんなことがあっても、ちゃんと再生できる力はある。そう自分を信じて、イヤなことがあると思うけど楽しくハッピーな自分の物語を作っていこう。そんなことを考えていたら、ミスチルの曲を思い出した。ステキな歌詞だなぁ。
人生をフルコースで深く味わうための幾つもの スパイスが誰もに用意されていて 時には苦かったり渋く思うこともあるだろう そして最後のデザートを笑って食べる君のそばに僕は居たい(Mr.Children 『Hero』)
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