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知りたいことを知りたい
知的好奇心を思いきり刺激された本だった。
ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、英国で暮らす著者の生活と子どもの学校でのお話。差別や貧困、宗教、犯罪、アイデンティティーなど、問題提起が盛りだくさんだった。
私は保育園で働いている。最近は様々な国の人が保育園に来ていて、キリスト教でない宗教の子もいるからという理由で、クリスマスをやらなくなった。でも様々な人たちが増えてきて価値観を認めるにはあったほうが良いのでは?と思ったりする。
私は日本人の両親から生まれたから、日本人だ、と思っているけど、両親が違う国の人たちだったら自分は何人だ?と悩んだりするのだ、と。宇多田ヒカルも日本人だけど外国で育ったから、自分はどこの人なのかと思ってたとインタビューで聞いたことがある。そうした悩みは私にはなかったから、色々な立場で色々な悩みがあるものだと考える機会になった。
貧困についても思い出したことがある。保育園で、いつも上の子のお下がりを着ている子がいた。背が高くなって、シャツやズボンがつんつるてんになっていた。風が冷たくなってきた季節。ある先生が寒そうだから服のサイズを確認してもらおうと、保護者に声を掛けたところ、「うちの家庭の事情を分かってるんですか」と怒られた。その後、その子は誕生日にディズニーランドに行くと喜んでいた。様々な家庭の事情があり、お金をかけるところも違う。価値観も様々だな、と感じた出来事だった。
私がこの本の中で一番引っかかったのが、父親がDVで逮捕された2歳児のリアーナという女の子の話だった。
「他の子どもが持っている玩具や絵本に興味を持てば、相手をグーで殴り飛ばしたり脇腹に蹴りを入れたいして必ず手に入れ、保育士が自分より小さな赤ん坊にばかりかまっていると、やっと立てるようになった1歳児の頭をざぶんと水槽に沈めたり、もみじのような赤ん坊の手の甲に鉛筆をぶち立ててヤキを入れようとしたりする、大変に凶暴な女児だった」 ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社
私は幼稚園、保育園で働いてきて、もう20年を過ぎた。様々な問題を抱えている家はあり、警察や児相などが関わっているケースもあった。でも2歳児で、グーで人を殴ったり脇腹に蹴りを入れたりするほどの子に会ったことがない。それだけのことをするって、やはり何かあるものだ・・・。
食べるものにも困っている家庭や問題を起こしてしまう子どものことなど、まだまだ知らないことがたくさんある。自分の中ではあまり触れてこなかった、こどもの貧困について勉強しようと思った。知的好奇心と書くと良い感じがしないけど、知らないことを知りたい、という感情をくすぐられ、学びたいという思いを沸き立たせてくれた本だ。
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