茶埜子尋子

表現者

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ニンジン落ちて花になる

素肌をさらされて 並べられた 親指で押し潰したら じわりと畔ができそうな 美しいつやめき それ程に切れ味の良くない刃が その身を押し削って 薄くなった表面は パタパ…

茶埜子尋子
1時間前

シリウスの詩

人魚が歌う海へ 時をかけて クジラがつくる音楽を 聞きにいこうかな 銀色で縁どられた 触れられないものばかりの星 スー…せらせラセラ スー…せらせラセラ 逆再…

3

宇宙考察記録

宇宙には前からすごく興味があって でも科学的な興味ではなく、 スピリチュアル的なもの わたしは小さいころは 『 宇宙とは、神様がつくった宝石箱』 だと思っていた 小…

茶埜子尋子
10日前
4

丘の向こうの診療所

生きているのは自分のためだよ 最初はそうやって産まれてきたのさ そのうち大切なもので溢れていくから 誰かのために生きたくなるの 遠くにみえる白い花 丘の向こうの…

茶埜子尋子
12日前
3

ビロードの風

ガラクタみたいな ときめいた石ばかりあるの 乾いた土は きょうも乾いて 星は眩しく瞬いている 薄っぺらい服 きみとぼくを遮って そんなことだけで 夢をみれる …

茶埜子尋子
2週間前
2

亡命の詩

いつから永遠を望むようになったのだろう 流れゆく歪な人影を 拒んで見えないようにして ぼくらも当然 大きな塊の一部で 望むことすら許されないのに きみがぼくの手…

茶埜子尋子
2週間前
10

彗星ロケット

星になる ぼくはここから 0になる ぽうっと光った魂は やさしい強さで昇ってく せらせら せらせら 美しく歌う野原には 幾千の蛍たちが 集まって ぼくへ光を託し…

茶埜子尋子
2週間前
2

トキメキの詩

雨雲を引きちぎって 地肌をさらけ出して 裂け目から きらきら やさしい光に包まれたら 大切ななにかが きゅっと摘まれたみたいに わたしのトキメキを 探し当ててし…

茶埜子尋子
3週間前
2

空蝉の詩

すきま風を拾っては 洗濯して 生きるのに必死な 蝉を見てた 後どのくらい生きるのだろうか ぼくみたいな生き物と 同じにしてごめん 解は見つからないのに そよ風を…

茶埜子尋子
3週間前
11

ocean

小さな星を 満たしている たいせつなものを 見失わないように 永遠と呼んでいいのは きみとぼくの間の 触れられない艶めきだけ 透明ななにかが ぼくのこめかみで爆…

茶埜子尋子
3週間前
7

潜水艇の詩

きみが知りたい あたかも入水するように 薄い紙が尊い気もちを知ったかのように 変わることのない気持ちは 深いところへおちてゆく 息苦しさを知らずに この海の暗…

茶埜子尋子
1か月前
4

浜辺の合唱団

息を呑む わたしたちのメモリーズ 見えないものへ きらめいて 口笛も 飛べない鳥のメモリーズ 足首のきず 庇って 白鳥を抱いた人 木陰で捕まった人 窓辺で飛びだ…

茶埜子尋子
1か月前
4

月のおもかげ

月のおもかげひろがって あなたの肩へとどいたら ねむれない夜も あたためてゆく ギターはひかないよ きみがいるから きみがいるから 茶埜子尋子

茶埜子尋子
1か月前
6

銀色の詩

高い音がする方へ トキメキが足りない方へ 変わって 変わって 花のいのちも 奪ったら 明日への切符が 届くから 土星のまわりで 引き裂かれて きみのそばで 詩…

茶埜子尋子
1か月前
2

銀河のかげろう

きみのなみだが 言霊のように 降り注いで どうすれば生きれるかなんて 分からなくなってしまった 見たこともない 宇宙の意味を考えて 裸足のまま飛び降りる 蜃気楼…

茶埜子尋子
2か月前
3

草創の詩

青く燃える きみの瞳のように 時代が輝きはじめている ざわざわと震える あの山々の連なり 時代は君を待っていた 花びらの先のように 細やかな潤いは いずれ黒曜石…

茶埜子尋子
2か月前
1
ニンジン落ちて花になる

ニンジン落ちて花になる

素肌をさらされて
並べられた

親指で押し潰したら
じわりと畔ができそうな
美しいつやめき

それ程に切れ味の良くない刃が
その身を押し削って

薄くなった表面は
パタパタと板の上に
落ちてゆく

ブブ、ブブ、、

可愛くない音
響くたびに
敷きつめられてゆく

ふたつを切ってしまったら

オレンジ色のマリーゴールド畑か

はたまた

貼り付けられた昨日の花火か

なんだかもったいなくて

なん

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シリウスの詩

シリウスの詩

人魚が歌う海へ

時をかけて

クジラがつくる音楽を

聞きにいこうかな

銀色で縁どられた

触れられないものばかりの星

スー…せらせラセラ

スー…せらせラセラ

逆再生しているような音の中で

シリウス的営みが拡げられている

整頓された美しい模様

わたしたちのこころも

同じ形

昔なじみのガイドは

青色の未来世へ

導いてくれるの

海底の下の朽ちた文明

わたしたちだけじゃ生き

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宇宙考察記録

宇宙考察記録

宇宙には前からすごく興味があって
でも科学的な興味ではなく、
スピリチュアル的なもの

わたしは小さいころは

『 宇宙とは、神様がつくった宝石箱』

だと思っていた
小さな小箱の中に何億光年の宇宙が広がってて、
水金地火木土天海冥の大きな宝石
それを眺める神様
そんな感じ

近ごろは変わってきたことを
書きとめておこうと思う

それが、今は

『自分たちが思っている宇宙をひとつの星と考える』

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丘の向こうの診療所

丘の向こうの診療所

生きているのは自分のためだよ

最初はそうやって産まれてきたのさ

そのうち大切なもので溢れていくから

誰かのために生きたくなるの

遠くにみえる白い花

丘の向こうの診療所

生きていることを投げ出すくらい

疲れきったあとに見る

この丘から見る海は

おそろしく綺麗で

今まで募らせていた暗いものも

すべて美しい絵画に

されてしまう

ねえわたしは自分のために生きているよ

傷つけられ

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ビロードの風

ビロードの風

ガラクタみたいな

ときめいた石ばかりあるの

乾いた土は

きょうも乾いて

星は眩しく瞬いている

薄っぺらい服

きみとぼくを遮って

そんなことだけで

夢をみれる

路地裏のねこが

ぼくらを巻きこもうと

しゃしゃり出て

鄙びた町を

輝かせる

ぼくより先に

虫に噛まれた足首

赤く脹れて

きみは知らずに

ねこを見てる

楽しそうだねって

言ったら怒る?

括りあげた

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亡命の詩

亡命の詩

いつから永遠を望むようになったのだろう

流れゆく歪な人影を

拒んで見えないようにして

ぼくらも当然

大きな塊の一部で

望むことすら許されないのに

きみがぼくの手を離さないのは

どうしてだろう

理由なんてどうでもいいさ

ぼくはきみが好きだから

この命がおそろしいと思うのは

きみがいるから

死へ向かうことも

きっと悪くないものだと信じていた

ぼくの中の美しいものは

生まれ

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彗星ロケット

彗星ロケット

星になる

ぼくはここから

0になる

ぽうっと光った魂は

やさしい強さで昇ってく

せらせら

せらせら

美しく歌う野原には

幾千の蛍たちが

集まって

ぼくへ光を託してゆく

響きわたる

循環の音

眠たくなるような

高い音

呼ばれた少女は

呼ばれた方へ

だれも触れない

星のもとへ

美しいまま

夜の谷間へ

茶埜子尋子

トキメキの詩

トキメキの詩

雨雲を引きちぎって

地肌をさらけ出して

裂け目から

きらきら

やさしい光に包まれたら

大切ななにかが

きゅっと摘まれたみたいに

わたしのトキメキを

探し当ててしまう

白いもやで覆われた世界は

どこか遠くのしあわせを見つめてる

だれにも追われたくなくて

ひっそりと生きつづけている

砂のように軽い足どりで

目の前に現れないで

わたしのトキメキに

手を差し伸べたら

きっ

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空蝉の詩

空蝉の詩

すきま風を拾っては

洗濯して

生きるのに必死な

蝉を見てた

後どのくらい生きるのだろうか

ぼくみたいな生き物と

同じにしてごめん

解は見つからないのに

そよ風を束ねて

きみにあげたい

そこらじゅうのひかりの欠片は

檸檬ソーダの氷にすれば

なかなかいい気持ち

手に届くから悲しくて

見ているだけじゃ

どんな形かも分からない

受け入れるしかないのなら

受け入れてしまおう

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ocean

ocean

小さな星を

満たしている

たいせつなものを

見失わないように

永遠と呼んでいいのは

きみとぼくの間の

触れられない艶めきだけ

透明ななにかが

ぼくのこめかみで爆ぜたら

一目散に駆けてきて

地球の粒を

舌に置いてあげるから

くたびれるほど

美しく輝くひかり

へばりついた膜を貫いて

飴玉のように

転がして

溶かしてあげたい

最後のほうで砕いてあげたい

ぼくのことを

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潜水艇の詩

潜水艇の詩

きみが知りたい

あたかも入水するように

薄い紙が尊い気もちを知ったかのように

変わることのない気持ちは

深いところへおちてゆく

息苦しさを知らずに

この海の暗さを知らずに

きみが知りたい

まるで底を探していつまでも着かない錨のように

ぼくはそれでも

きみが知りたい

もしも暗やみの中

ぼくの息の根が止まってしまって

ようやく底に辿りついても

そこにきみがいなくても

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浜辺の合唱団

浜辺の合唱団

息を呑む

わたしたちのメモリーズ

見えないものへ

きらめいて

口笛も

飛べない鳥のメモリーズ

足首のきず

庇って

白鳥を抱いた人

木陰で捕まった人

窓辺で飛びだった人

かなしみは

おそれを知らない

危険な露

泣きそうなほどの

やさしさを

知ることはなかった

悔やんでできた

ハーモニー

夕焼けに染まる

海に似ている

茶埜子尋子

月のおもかげ

月のおもかげ

月のおもかげひろがって

あなたの肩へとどいたら

ねむれない夜も

あたためてゆく

ギターはひかないよ

きみがいるから

きみがいるから

茶埜子尋子

銀色の詩

銀色の詩

高い音がする方へ

トキメキが足りない方へ

変わって

変わって

花のいのちも

奪ったら

明日への切符が

届くから

土星のまわりで

引き裂かれて

きみのそばで

詩を書くよ

窓のかぜを

つまみだして

茶埜子尋子

銀河のかげろう

銀河のかげろう

きみのなみだが

言霊のように

降り注いで

どうすれば生きれるかなんて

分からなくなってしまった

見たこともない

宇宙の意味を考えて

裸足のまま飛び降りる

蜃気楼はただ

美しいだけ

遠くを見つめて

傷になる

夜の星は

ぼくのものではない

そして

だれのものでも

なにも知らないのは

穢れた少女が抱えた

深い傷のような

凄惨なこと

美しさのなかで

化石になった

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草創の詩

草創の詩

青く燃える

きみの瞳のように

時代が輝きはじめている

ざわざわと震える

あの山々の連なり

時代は君を待っていた

花びらの先のように

細やかな潤いは

いずれ黒曜石の刃のような

鋭い孤独になるのだろう

時代に生きることなく

時代を攫っていけ

茶埜子尋子