きみが知りたい
あたかも入水するように
薄い紙が尊い気もちを知ったかのように
変わることのない気持ちは
深いところへおちてゆく
息苦しさを知らずに
この海の暗さを知らずに
きみが知りたい
まるで底を探していつまでも着かない錨のように
ぼくはそれでも
きみが知りたい
もしも暗やみの中
ぼくの息の根が止まってしまって
ようやく底に辿りついても
そこにきみがいなくても
この暗やみは星降る夜より
気高い宇宙より
ぼくにとって美しいものだったと
そう言える
燃料は行く分だけ
元よりそのつもりだった
目の前は鉄くずの絵画
これを美しくできるのはぼくだけ
音もなき海の一部
茶埜子尋子