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ニンジン落ちて花になる



素肌をさらされて
並べられた

親指で押し潰したら
じわりと畔ができそうな
美しいつやめき

それ程に切れ味の良くない刃が
その身を押し削って

薄くなった表面は
パタパタと板の上に
落ちてゆく

ブブ、ブブ、、

可愛くない音
響くたびに
敷きつめられてゆく

ふたつを切ってしまったら


オレンジ色のマリーゴールド畑か


はたまた


貼り付けられた昨日の花火か


なんだかもったいなくて

なんて

今は仕事中なんだから
手を動かしなって
わたしが言ってる

そうだエッセイにして
残してあげよう

お家に帰るまで
鮮明に覚えていますようにって
わたしに釘をさしながら

ひとつに集められた
ゴミ袋の落ち葉になった


茶埜子尋子

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