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亡命の詩



いつから永遠を望むようになったのだろう


流れゆく歪な人影を

拒んで見えないようにして

ぼくらも当然

大きな塊の一部で

望むことすら許されないのに


きみがぼくの手を離さないのは

どうしてだろう

理由なんてどうでもいいさ

ぼくはきみが好きだから


この命がおそろしいと思うのは

きみがいるから

死へ向かうことも

きっと悪くないものだと信じていた

ぼくの中の美しいものは

生まれ変わる瞬間だと

決して疑わなかった

だけど

きみがぼくの手を握ったら

きみがぼくの名前を呼んだら

きみがぼくを好きだと言ったら

容易く壊れてしまった


美しかったものは

すべて醜いものへと

くすんでいった


ぼくはきみと生きたい

永遠を手にいれたい

ぼくのことを見つめてほしい


ここで飛び降りたら

遠い国へ流れ着くから

ぼくの手を離さないで

これからはきっと

きみはぼくだけが頼りだ


ぼくと生きて



茶埜子尋子


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