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管理人の抽斗

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#小説

閃光

閃光

「本日のお天気は〝閃光〟。本日は閃光です。ため込んだお洗濯物を干すチャンスです。また、海水浴などにお出かけするのもいいかもしれませんね」
 閃光の予報を聞いてマナミは小さくガッツポーズをした。今日はミッチと海に行く約束をしていたからだ。
 先週ショッピングモールで買った新しい水着が着られる。フリルがついたかわいい水着だ。

 駅でミッチと待ち合わせして、モノレールで海へ向かう。終点の二駅手前で景色

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ファンタジー小説「W.I.A.」1-5

ファンタジー小説「W.I.A.」1-5

第1章 第5話

御者台に立ち上がったアルルが、警戒の声を上げた。エルフは精霊の力を借りて、ある程度の遠隔視が可能だった。カイルとガルダンが反応し、武器を手に馬車を飛び降りると、北へ向かって走り出す。アルルも手綱をエアリアに渡し、軽やかに地面に降り立つと、風のように走り去った。マールはどうしたらいいのかわからず、馬車の中でオロオロする他ない。

 「このまま私たちも向かいますが、戦闘場所とは

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落とし穴(第1話)

落とし穴(第1話)


あらすじ

昨日、姉が自殺した。
いつも家の中で明るく振舞っていた姉。彼女の心の奥ではどのような闇が広がっていたのか。
姉は一通の遺書を残していた。そこに書かれていたこととは……。

 昨日、姉が自殺した。

 その日、私は起きると、小学三年生の時から私の仕事になっている新聞取りに外に出た。二月の初旬の朝は、まだ色濃く冬の匂いを残していた。
 確実に冬は遠ざかっているのだけれど、まだまだ春も遠い

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小説:河川敷と、タバコと、瑠璃色と。第1話| [創作大賞2024] | 恋愛小説

小説:河川敷と、タバコと、瑠璃色と。第1話| [創作大賞2024] | 恋愛小説

あらすじプロローグ 夜の帳が降りたある夏の日。

 鶴見川を一望できるJR綱島駅近くの河川敷には青々とした草原がまんべんなく茂っている。左手側に、車専用の往路復路と頑強な歩行者用通路が特徴的な大綱橋が対岸まで伸びていて、さらにその奥に、東急電鉄東横線が通るこぢんまりとした橋が並行してかかっている。しかし奥の橋には名前がない。その名もなき橋まで全部含めて「大綱橋」とされているかもしれないが、詳しいこ

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《note小説案内所 1》皆さんの短編をご紹介します

《note小説案内所 1》皆さんの短編をご紹介します

≪note小説案内所≫へようこそ♪

noteに投稿された完結済みの短編小説をご紹介します。

「もっと小説を宣伝する場所が欲しい」という作家の思いと、「もっと自分に合った小説を探しやすい場所が欲しい」という読者の思いを叶えるための企画です。

自分で探すだけではなかなかわかりづらい「文字数」や「ジャンル」などを明記した上でまとめています。

今回ご紹介する作品は5つです。
僕のものも1つあります

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宣伝したい小説を募集します! 自主企画[note小説案内所]

宣伝したい小説を募集します! 自主企画[note小説案内所]

「もっと小説を宣伝する場所が欲しい」という作家の思いと、「もっと自分に合った小説を探しやすい場所が欲しい」という読者の思いを叶える企画を行いたいと思います!

宣伝したい自作小説をいくつか募集して、1つの記事にまとめ、文字数やジャンル、あらすじなどを記載して投稿する企画です。

小説を書いている身からすると、もっと小説を宣伝する場所が欲しいと思うのです。

noteでは「#小説」などのハッシュタグ

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自分が童話になった男 -太宰治の不思議さ【エッセイ#53】

自分が童話になった男 -太宰治の不思議さ【エッセイ#53】

太宰治は、現在、日本の文学史上最も人気のある作家の一人ですが、改めて読むと、意外と複雑というか、捉えどころのない作家だと思っています。

太宰の作品の特徴は、一言で言うと、「どんな題材でも童話になってしまう」ことです。

ここで言う童話とは、子供向けの教訓話という意味ではありません(流石に子供に読ませるのを躊躇う内容でしょう)。リアルからほんのちょっと浮いた、自分を投影できる世界のフォーマット

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