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読書について

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読書の記録や本にまつわる話
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#読書記録

『私の生活改善運動』その3(犬と冷静な目)

『私の生活改善運動』その3(犬と冷静な目)

安達茉莉子さんの文章には、なんとも言えないユーモアのセンスを感じてしまいます。なにげないシーンの裏側で考えていることに、クククッて笑いたくなるような。

たとえば安達さんの文章に登場する「犬」。実在はしていない犬なんですが…。
妙蓮寺(後でこのまちへ引っ越すことになる)の本屋さん、「生活綴方」でお店のひとたちと初めてご飯を食べることになった場面でこの犬は登場します。

びくびくした野良犬の顔が作者

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『私の生活改善運動』その2(体感)

『私の生活改善運動』その2(体感)

作者の安達さんが家探しをしていたときの一文。
「アプリのチェックボックスには絶対ないもの。」わかるなぁ。

ネットで色々見つかる便利な世の中だけど、本当に心から欲しいものって、案外見てるだけでは探せなかったりします。検索しすぎてグッタリ疲れたり。

そんなときは、やっぱり五感を使って、身体丸ごとで感じるのがいいんだなと。百聞は一見にしかずじゃないけど、100件サイトを覗くより1回現地に行くほうが、

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読み終わって

読み終わって

恩田陸さんの『spring』を読み終わりました。
最後の方は読み終わるのが惜しくて、ちょっとずつ、ちょっとずつ読みました。

主人公「春」のことを、複数の視点から描いているこの作品。
次の章は誰が語るんだろう?というワクワクしながら読みました。

面白かったところ。
魅力的なキャラクターたち。この人がミューズだったのか〰、とか、初恋はこのシーンだったの!?などネタバレしそうで言えないけど心の中で叫

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『spring』恩田陸

『spring』恩田陸

買ってしまいました。
読み始めたら止まらない…。
一気に半分読んで、あーもう寝なきゃとなりギブアップ。

ほぼ日WEEKLYで紹介してくれて、ありがとうございます!感謝です。

『蜜蜂と遠雷』も面白かったけど、今度はさらに難易度が高い(?)、バレエを題材にした小説です。音楽を文章で表現するのも難しいのに、さらに動きまで加わってしまって。

ちょっと意外だったのが、コンテンポラリーダンスについても沢

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『都市の問診』饗庭伸

『都市の問診』饗庭伸

積ん読の中から、『都市の問診』を読み始めています。何となく面白そうだな〜と思って図書館で予約したんだったかな…。だれかの文章の引用で見たのかもしれません。
問診という言葉は普通人に使うけれど、都市の問診ってどういう意味だろうと感じました。

冒頭で、フムッと思った箇所。

駅前に住む農民ってちょっとユーモラスな書き方ですよね。鍬を持った江戸時代の農民が駅ビルにいる姿を想像してしまいました。

改め

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エフェクチュエーション②

エフェクチュエーション②

『エフェクチュエーション』引き続き読んでいます。やっと第4章を読み終わりました。
最初の感想はこちらから。

ここでは、この本の粋ともいえる原則が5つ紹介されています。

「手中の鳥」の原則

「許容可能な損失」の原則

「クレイジーキルト」の原則

「レモネード」の原則

「飛行機の中のパイロット」の原則

各原則は、わたしなりの理解だとこんな感じです。

手持ちの手段を使ってどんな結果が出せる

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「分人」について考え中

「分人」について考え中

た平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』を読んでいます。ずっと読みたいと思っていて、メルカリで買いました。

ズバリ一言、面白い!

何よりまず、「分人」というアイデアが魅力的です。素晴らしい発明だよなぁ、と思います。

「個人」ではなく「分人」、たった一人の自分・本当の自分が存在するのではなく、相手によって様々な「分人」があり、その総体が自分だと考えるのが自然と説く平野さん(個人

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『キャリアづくりの教科書』

『キャリアづくりの教科書』

いま読んでいる本です。例によって図書館で借りました。選んだ理由は、よく聴いているポッドキャスト「経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独〜」でパーソナリティーをつとめる徳谷智史さんの著書だからです。

思ったより分厚い本で「鈍器本?」と焦りました(笑)。でも読み始めて、この分厚さは徳谷さんの熱量のあらわれだなと感じます。

まださわりしか読んでいませんが、気になった箇所。

その後に続く文章で、この

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デザインは、世界をちょっと良くすること

デザインは、世界をちょっと良くすること

昔から絵を描いたり見たりが好きだったけれど、いつからか工芸品やプロダクトデザインに関心が広がっていました。
雑に言うとアートよりデザイン寄りに心が惹かれていったというのでしょうか。

「デザイン」ってわかっているようで意味が捉えきれないところがあり、最近はなんでも「◯◯デザイン」とついているから余計に「そもそもデザインってなんだ?」と思うことが多かったのですが、ある本でそんな問いにフィットする答え

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