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(3)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を壊す編

これまで、1.空気を読む、2.空気を作るについて書いてきました。
そして今回は最終章、「空気を壊す」について書いていこうと思います。
まずは、なぜ空気を壊すスキルを覚えなければならないのかについて書いていきます。

コミニケーションの中には、気の合った仲間や同年代の友達ばかりではありません。
むしろ、そうでない場合のシチュエーションが多数存在します。

想像してみてください。
例えば、初対面の複数人が集う場所、合コン、異業種交流会、知らない人が主催するパーティー、習い事の教室、相席、面接会場、旅行先や海外旅行など、不覚的要素(災害時、事故や事故現場、犯行現場)のシチュエーションを考えればキリがありません。

誰もが空気を読み、萎縮してしまい、大人しくなってしまうシチュエーションが社会にはたくさん存在します。
2の空気を作るは、こうなると効力を失うことになります。そこで、空気を壊すスキルが問われるということになるのです。

さて、武道館などのコンサート会場で、アーティストが静かに語っている静寂のシチュエーションの中で、思いっきり叫んでいる人を一度は耳にしたことがあるかと思います。
簡単にいうと、これが「空気を壊す」ということです。

この行動には、熱狂的なファンがアーティストに対し、盲目的に好意を寄せている表れですし、集まっている会場の人々は、皆アーティストに会いに来ているのだから、反感を買ったりはしないという前提があります。
私は、この空気を壊すスキルを習得するためのメゾットの一環で、それほどファンでもないアーティストに叫んでみたことがあります。
これは、かなりの勇気と度胸が試されました。
いくら、周りの人たちがファンであることが判っていても、なかなか難しいのです。

ここで言いたいことは、

「空気を壊す」為には、勇気と度胸が必要である。

ということです。

私の話はこうだ。20年前、店をオープンして2年目の私は、ようやく休日を取れるようになっていた。
休みは木曜で、その日はスタッフに任せていた。有能と判断したスタッフに任せていたが、どうやらヤクザを店に入れてしまっていた。
スタッフの報告では、「男気のあるいい人」が、彼に会いに毎週木曜日だけ来店している、とだけ聞いていた。
私は、スタッフにもお客がついたことを内心喜んでいた。ある日、彼が休みの日、ヤクザが来店した。ヤクザは、ようやく会えた私に、所場代や正月のしめ縄などの契約を持ちかけてきた。もちろん、答えはノーだ。このやり取りは、スタッフを巻き込んで暫く続き、結果、スタッフには店をやめてもらうことになった。
だが、スタッフが辞めてもヤクザは半年間、店に嫌がらせをしたり、何度も脅された。
だが、どんなに怖くても、店には入れなかった。そんな中、開店早々にヤクザが6人で来店した。咄嗟に、「すみません!今から貸し切りですので、店には入れません!」と見え透いた嘘をついた。店の入口前で私を囲む6人のヤクザは圧巻の恐ろしさで、「まさか、出禁じゃねーだろうな?」と凄んできた。
だが私は笑顔でこう言った。
「めちゃめちゃ怖いですやん!今日は貸し切りですから、またお越し下さい!いつでも待ってますよ!!」
ヤクザは渋々と帰っていった。もちろん、もしも次に現れたとしても、何度でも同じことをするつもりだった。
結局、ヤクザは私の店を諦めた。
確かに運も良かったが、勇気と度胸がすべてを分けた。あの時、場の空気に支配されていたら、彼らの言いなりになっていただろう。

こんな極端な出来事ではないにせよ、場の空気を壊さなければならないシチュエーションはある。シラけてしまった合コン、上司のつまらないワンマントークショー、威圧的な面接官、生真面目な両家の結婚式のスピーチなど、まずは勇気と度胸で空気を壊さなければならない。

そして、すぐさま空気を読み、更に畳み込むように空気を新しく作っていくのです。を

その為には、常からの練習が必要です。
空気を壊すのは、読む、作る、の中で、最もハードルの高いスキルなのです。
それは、良識者であればある程、常識を重んじる人であればある程に、高い障壁となるはずです。
つまり「いい子ちゃん」には、辛い試練です。
ですが、「いい子ちゃん」にこそ、このスキルを習得していただきたいのです。

なぜなら、空気を壊すことの天才たちが存在するからです。この天才たちは、決して空気など読みません。事故中心で利己的、客観性に欠けます。コミニケーションの中では、きわめて有害な存在なのです。

まさに、憎まれっ子、世にはばかる、の根幹的な核心のメカニズムがこれなのだと思うのです。

私はこの存在との主導権争いに、この3つのスキルを駆使して闘ってきました。
ある意味で、本当の「空気清浄」をしてきたわけです。
このスキルを本当の良識ある人や、ハッピーに人生と向き合っている方々に使って欲しいと願うのです。

空気を読み、空気を作り、時には空気を壊し、更にまた新しく空気を作り直し、空気清浄を行う。
これが、わたしのコミニケーションスキルの種明かしであり、これからもこのスキルに磨きをかけていく。

人と人との間には、基本的に「恐れ」があります。それを理解した者から、心を開いていく必要があるのだと思います。
だが、空気を読んでから作る作業に行く私たちよりも、空気を読まない人たちの方が、一歩早いのです。なぜなら、空気読みの時間がいらないからである。
だから、はばかる。
だが、空気を壊せる人は空気を恐れない。
なぜならば、作れるからだ。
崩壊と再生、これは繋がっている。

憎まれっ子に対応できるのは、同じ憎まれっ子スキル、つまり壊すことができる者だけなのである。毒を持って毒を制す。
それが、無益な猛毒かワクチンか、まさに雲泥の差があるのだ。

勇気と度胸を鍛え、さまざまなシチュエーションで試していただきたい。
修羅場を経験した数だけ、人は優しくなれるし器を大きくすることができるのです。

どうか、このスキルが数多の善良なる人々のスタンダードスキルになりますように。合掌




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