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#読書

研ぎすました短刀のような12編 『刑罰』

研ぎすました短刀のような12編 『刑罰』

各国で絶賛され、日本でも2012年の本屋大賞・翻訳小説部門トップに輝いた『犯罪』の筆者の最新作は、期待を裏切らない珠玉の短編集だ。
『犯罪』と『罪悪』の2作を何度も再読してきたシーラッハファンの私にとっては、文字通り、待望の1冊。6月に入手して以来、お気に入りの収録作はすでに3~4回読み返している。

『刑罰』東京創元社
フェルディナント・フォン・シーラッハ

ドイツで刑事事件専門の弁護士として活

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大学受験のための読書案内・1

大学受験のための読書案内・1

 大学受験の現代文や小論文では、哲学や思想などをテーマとする、場合によっては相当に難解な文章も出題されます。ではどうすれば、そういった文章を自力で読み解けるようになるのでしょうか? その答えにはいろいろあるのですが、やはり、継続的な読書によってそうしたテーマやそこに出てくる言葉の意味を一つでも多く知り、それについて自分なりに考えてゆくことが大切になります。この「大学受験のための読書案内」シリーズで

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動物は互いをどう呼び合っている? 人が付けた名前への反応は? ドイツで27万部のベストセラー『動物たちの内なる生活』(早川書房)から特別抜粋

動物は互いをどう呼び合っている? 人が付けた名前への反応は? ドイツで27万部のベストセラー『動物たちの内なる生活』(早川書房)から特別抜粋



(書影をクリックするとAmazonページにジャンプ)

『動物たちの内なる生活 森林管理官が聴いた野生の声』
ペーター・ヴォールレーベン/本田雅也訳 早川書房

「命 名」

私たちには当たりまえなことだけれど、コミュニケーションをとるとき、私たちはおたがいを名前で呼び合える。大きな社会のなかで誰かとつつがなく接触を持つためには個人の名前が必要であり、その名前を口にすることで、人は相手の注意を

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賢者が説く、しなやかな生存戦略 『反脆弱性』

賢者が説く、しなやかな生存戦略 『反脆弱性』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に7月29日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。

著者ナシーム・ニコラス・タレブは、ユニークな実践知を提唱する当代の賢者の一人といって良いだろう。

ベストセラー「まぐれ」では、生物としての人間が進化の過程で獲得した「世界の切り取り方」が、現代社会、特に経済・金融分野では有害なバイアスとなり、意思決定やリスク管理などで重大な誤りを

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再読必至!文系向けオススメ理系本10選

再読必至!文系向けオススメ理系本10選

こちらの投稿はツイッターのアンケートでご要望が多かったテーマです。今後も企画募集をやるのでこちらからぜひフォローを。

理系になれなかった文系君

「文系・理系という分類は日本独特のおかしなモノだ」なんて説があるが、現実には、この仕分けはある程度ワークしていると思う。
私は文系だ。残念ながら。
なぜ残念かというと、正確には「理系に憧れたけどセンスが無かったのであきらめた文系」だからである。

理系

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