見出し画像

カルミネート

国内海外問わず、書籍やネットの情報を鵜呑みにして信じるのではなく、
自分で納得がいくまで確かめる必要があるのは、運命学の不文律と言える。

例えば、カルミネート。

カルミネートする天体が、無条件に職業のシグニフィケーターになる、

なんて事はない。

アスペクト占星術を基準とした例を示す。
古典占星術では、職業に矛盾がない出生図だからである。

私の身近に、海王星がMCと誤差 約6分という女性がいる。
この海王星、第2ハウス位置にある月と135度アスペクト。

他にアスペクトはない。

彼女は公認会計士である。

明らかに海王星は彼女の職業を表していない。

というか、関連すらしていない。

法律や高度な専門性を表す第9ハウス位置に土星がある。
サインは第9ハウスのコシグニフィケーターである "いて"。

この土星は、本人を表す第1ハウス位置にある木星と120度、
税金や取引先の所有を表す第8ハウス位置にある太陽と36度、
相手や取引先を表す第7ハウス位置にある水星と51・26度、
同じく第7ハウス位置にある火星と60度でアスペクトしている。

水星と火星は共に第1ハウスの木星と180度でアスペクトし、
水星と土星、火星と土星による鋭利な三角形の頂点に木星がある。

これに第9ハウス位置の天王星が木星に120度アスペクトで加わる。
天王星は水星と60度、土星との合はオーブ5度22分。採用しない。

コンジャンクションを採用しない理由は、遅い天体同士である事、また、
専門領域における変化や改革気質、独立志向が希薄という事実に基づく。

木星は、重要な公的場や法律を意味する。

自分、取引先、税金や取引先の所有、法律や高度な専門性、
アスペクトが各々の位置を結びつけながら幾何学相となる。

一瞬で特徴が浮かび上がるアスペクト図形が形成されている。

太陽と土星のアスペクトは堅実、慎重で忍耐強くストイックな傾向を持ち、
水星と土星は実用性のある知識を求め、専門知識や技能の習得に向く傾向、
水星と天王星はシャープな頭脳と行動力、先見性とユニークな発想を持ち、
火星と土星の60度は、体力や忍耐 根気を必要とする習得や持久戦に強い。

これらが 単独のアスペクトではない、というのがポイントである。

複合アスペクト。

いずれも木星に集約し、また、木星によって助長される。

木星は第1ハウス位置にあり サインは "おひつじ"。

自立に恩恵や保護を齎す。

木星を頂点とする鋭利な三角形は、その形の通り鋭利で深い専門知識、
頭脳と先見性、情熱と体力、忍耐力、恵まれた環境、非凡な幸運を表す。

会計士のシグニフィケーターは水星である。

水星と木星のアスペクトは、
法律や高度な専門性に関連する分野で特に才能が発揮される。

MCのサインは "やぎ" 。

社会性において "決まりを守る" のに相応しい。

上記を纏めると、"アスペクト図形を最重要視" する事によって、
彼女が公認会計士であるという事実を瞬時に描写する事ができる。

月と海王星以外で、唯一MCにアスペクトするのが、
税金や相手先の所有を表す第8ハウス位置にある太陽。

太陽はMCと51・26度。

オーブは1度を4分だけオーバーしているが、太陽である事、
また、彼女の実際の職業という事実に照らし合わせ採用する。

この太陽は第9ハウスの土星と36度、
冥王星と誤差3度でコンジャンクション。

忍耐と根気を要求される高度な専門領域に通じ、
第8ハウスに宿命的に関わる傾向、及び強靭な生命力を持つ。

太陽のサインは第8ハウスのコシグニフィケーターである "さそり" 。

職業や名声と関係する太陽とMCによる "セプタイル"を無効とすれば、
この出生図における "MC"と実際の職業との関連性は完全に失われる。

また、カルミネートと言えば、猫も杓子もゴークランを引き合いに出すが、
ゴークランに従うならば、太陽、水星、トランスサタニアンは無効である。

さて、彼女のMCと重なる海王星は、まったく機能せず無効なのだろうか。

この海王星がトランジットによって刺激された時、或は元々の傾向として、
それは影響していると言わざるを得ない事が、長年の観察から認められる。

彼女は、何人かの会計士が所属する会計事務所に所属していたが、
その事務所と代表は "粉飾決算" に関与し、解散を余儀なくされた。

彼女を含む、他の公認会計士は移籍を余儀なくされた。

職業ではなく、上司や社会的立場に、それは象徴的に影響を表した。
自分の知らないところで、詐欺的状況に巻き込まれ、職場が消えた。

これには海王星だけでなく、第9ハウス位置の天王星も絡んでいる。
この天王星は、第7ハウス位置の水星と60度。

専門領域と取引先における "突然のトラブル" として表れた。

だが、水星と天王星のアスペクトは木星に集約される。

彼女はそれ以上の実害は受けず、より良い環境に問題なく移籍した。
アスペクトが集中する第1ハウス位置の木星は彼女に保護を齎した。

また、彼女は公認会計士の1次試験に合格した後、2次試験を受けず、
拒食症と対人恐怖症で、何年かの間 自宅に引き籠っていた時期がある。

月は、対人を表す第7ハウス位置の火星と150度、第9ハウス位置の
土星とも150度、火星と土星は60度、ヨッドの頂点という事になる。

元々の傾向に加え、火星と土星がトランジットやディレクションにより
助長され、月が強く刺激されると専門領域と対人関係がストレスになる。

MCの海王星は第2ハウス位置の月に135度。
第2ハウス位置は飲食と関わるという見方もある。

彼女には拒食や過食の傾向があり、ストレスや環境の変化があると痩せる。
ただ、それでも体力を失わず元気にしているようで、職務をこなしている。

彼女の場合、カルミネート海王星が職業を表示するという事実はなく、
また、公私に亘って、海王星が良い作用をしているという事実もない。

トランスサタニアンのカルミネートには包括的な影響という特徴がある。
金星や火星のそれとは明らかに趣きが異なるし、アスペクトが鍵になる。

彼女の場合、カルミネートで職業を判断する事は、まず出来ない。
また、彼女は社会的到達点として海王星的理想を抱いてもいない。

彼女の海王星と月は、彼女に優れたファッションセンスを与えてはいる。
また、瞑想や宗教に関する問題を徹底的に調査し、幻滅する傾向もある。

だが、その素質や価値観に 海王星が示す職業や方向性は合致していない。
勧められて 本当にそのような方向へ進んだら心身に問題を来たすだろう。

また、同棲や結婚によって、
社会的地位や職業を犠牲にしたり放棄したりするだろう。

これが仮に "出生時刻不明" の出生図だったとしても、
この鋭利なアスペクト図形と天体の組み合わせにより、
彼女の素質と適正といった特徴は端的に浮かび上がる。

職業という事実を描写する上で心許ないのは、MCを絶対視する事である。
カルミネートは天体の影響力という一つの要素でしかなく、全てではない。

ある占星術の手法を用いて、実際に事実を立証できるかどうかは、
自分で確かめる必要があり、その中で、本に書いていないことや、
著者が説明し切れなかった事例を察し、鍛えの入った理解にする。

古典なら古典、インドならインド、アスペクトならアスペクトの手法で、
直面する出生図と力尽きるまで格闘してみると、各手法の掴み方ないし
事実描写の捉え方が体得され、素人が間違える問題の焦点が見えてくる。

ちなみに彼女の出生図は、プライマリーディレクション、プログレス、
ソーラーアーク、ムンドーパラレル、ソーラーリターン、トランジット、
D60分割図等を用いて時刻修正したが 母子手帳との誤差は僅かだった。

私は自分の計算能力を全く信用していないので 必ず占星術ソフトを用いる。
プラシーダス、ソーラーファイヤー、シュリ・ジョーティ・スター を使う。

部分的に捉えて判断するのも、記述するのも、素人の特徴である。

理論や想像を基準にしてはいけない。

必ず事実に照らし合わせて妥当性を見出すのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?