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Vol.62 撮ることで起きること、生まれるもの 菅原康太さん(写真家)
——菅原さんは、広告などのクライアントワークとご自身の作家活動を併行されていますが、どういった経緯で今の活動スタイルになったか教えていただけますか。
学生時代から、写真教室に通ったり、写真家の事務所でアルバイトしながら、写真を撮り始めました。最初はジャーナリズム志向もあって、新聞社や出版社、テレビ局を進路に考えていたんですが、面接を重ねていくうちに、自分は記事を書くことより写真に興味があると気
Vol.61 オペラ歌手になるという夢をかなえる方法 藤井麻美さん(オペラ歌手)
——藤井さんのオペラとの出会いを教えてください。
小学生の時に学校で合唱をやっていたんです。4年生から始めてコンクールに出場したりしていました。そして中学生になる時に新しい土地に引っ越すことになり、入学してすぐにあった音楽の時間で、自分の小学校の校歌を歌うという機会がありました。他所の土地から来た私は一人で校歌を歌いました。そうしたら音楽の先生が「合唱コンクールでソロを歌いませんか?」と言って
Vol.60 作曲家の使命は、聴き手のための橋を架けること 夏田昌和さん(作曲家)
——夏田さんは非常に専門的なバックグラウンドを持ち、今では後進を育成する立場です。一方で、アマチュアオーケストラやシニア・コーラスを指揮されるなど、幅広く音楽に携わられています。聴衆との関係性をどのように考えてらっしゃるのか、まずお聞きかせください。
クラシックだと作品と聴衆の間に、だいたいの共通理解があるわけですよね。現代音楽の場合にはそういう前提がないのが大変なところでもあり、面白いところで
Vol.57 経験をつくりだし、記憶を遺すインスタレーション 井口雄介さん(美術家)
——井口さんは大学で建築を学ばれた後に、大学院の博士課程で彫刻を専攻されました。そうした背景も踏まえて、ご自身の作品づくりについてご紹介いただけますか。
ざっくりと同じ立体ということで、建築を学んだ後に彫刻に取り組むようになってみたものの、僕の作品は「建築」とも呼ばれないし、「彫刻」でもないんです。「インスタレーション」というのがいちばん近いんですが、一口にインスタレーションと言っても、たとえ
File.55 映像を通して人と、社会と向き合う 飯塚 聡さん(TV ディレクター/映像作家)
——映像の仕事を始められたきっかけからお聞かせくださいますか。
いま現在の実家は父の故郷である島根県の出雲ですが、小学生の途中まで奈良県奈良市で生活していたので、原体験は関西にあります。その後、出雲で高校まで過ごしました。出雲では近所にメジャー系の映画館しかなくて、たまに『エイリアン2』(86)などを興奮して観ていましたが、大学に入ってから東京のミニシアターに足繁く通うようになり、当時評価が高か
File.53 大変で、面倒で、美味しい「テノール」 渡辺大さん(テノール歌手)
オペラはさまざまな楽しみ方ができる芸術だが、その根幹は「歌う芝居」である。したがって、最も重要な要素のひとつは「オペラ歌手」の存在だ。なかでも一番の花形は輝かしい高音を持つテノール。だが、テノール歌手にはほかの歌手たちにはない苦労があるともいわれている。渡辺大さんは「真正テノール」と呼びたくなるような純粋な美声の持ち主だ。もともとは一般の大学に通うジャーナリスト志望の学生だった渡辺さんが、なぜテノ
もっとみるFile.52 原因不明の「音が出ない」からの復活、ジストニアとの闘いで見つけたPDCA 沼田司さん(バストロンボーン奏者)
オーケストラや吹奏楽、ビッグバンドなどで幅広く演奏するほか、編曲家やコンクール審査員としても活躍してきたバストロンボーン奏者の沼田司さん。45歳頃からジストニアを患い、一時は演奏できない状態になりながら奇跡的な復活を遂げ、現在は再び演奏と指導に活躍している。闘病を通じて、楽器演奏・指導全般に通じる発見もあったという。まだまだ情報が少ない難病との闘いをどのように乗り越えたのか、その始まりから現在まで
もっとみるFile.49 ミュージカルもアイドル・ユニットも前進あるのみ 酒井紫音さん(俳優)
『リトルプリンス』『泣かないで』『21C:マドモアゼル モーツァルト』などクオリティの高いオリジナル・ミュージカルを創造してきた音楽座ミュージカル。拠点とする東京都町田市出身で、音楽座ミュージカルを盛り上げようと立ち上がった3人の女優さんがいる。その一人が、酒井紫音さん。コロナ禍ではアイドル・ユニットとして独自の活動を展開し、音楽座ミュージカルのPRを展開している。入団前は音楽座ミュージカルのファ
もっとみるFile.47 誠実に、貪欲に、「演劇」で勝負する 淺場万矢さん(俳優/演出家/プロデューサー)
淺場万矢さんは羽目も外せる華のある役者さんだ。それでいて、時折ただよわせるアングラな匂いや和の香りが、華やかさの下に隠れている侮れなさを感じさせる。所属する劇団柿喰う客の公演はもちろん、多彩な演出家の舞台で活躍している淺場さん。それらが稼働できなくなったコロナ禍だったが、自身が率いる演劇ユニット「時速8次元」(2015年旗揚げ)で新たな表現の可能性を見出しているようだ。
取材・文=今井浩一(ライタ