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児童文学作家インタビュー|児童書がおしえてくれたこと

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濱野京子さん、にしがきようこさん、高田由紀子さん、工藤純子さん、いとうみくさん、など第一線で活躍される児童文学作家の方々に創作の思いをお聞きしているインタビュー記事です。どの作品…
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児童書がいちばん自由にのびのびと、書きたいものが書ける|如月かずさ(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.6

児童書がいちばん自由にのびのびと、書きたいものが書ける|如月かずさ(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.6

「給食アンサンブル」を読んで驚いたのは、主人公が一人ではないこと。正確に言うと、オムニバス形式でクラスの仲間それぞれが主人公になり、脇役になるのです。家族に守られて自分が中心の小学生時代から、中学生になると友達との複雑な人間関係を築くことになります。それは成長でもありますが、悩んだり葛藤したり、カーストなんてものに巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。
 スポーツができる子や、勉強ができる子

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「らしさ」から解放されて、 ハッピーで生きやすい社会に|如月かずさ(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.6

「らしさ」から解放されて、 ハッピーで生きやすい社会に|如月かずさ(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.6

今回の如月さんのインタビューの中で出てきた「あわい」という言葉がとても印象に残りました。
「あわい」とは物と物との間という意味。
如月さんの作品はこの「あわい」をいつも大切にされていると思いました。
 私たちは、つい男らしさや女らしさだけを意識して生きていますが、その間にはさまざまなセクシャリティーがあり、そこで悩んでいる人もたくさんいると思います。たった2色しかなかったら世の中は味気ないものです

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多様な家族をひとつひとつ拾い上げる物語|いとうみく(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.5

多様な家族をひとつひとつ拾い上げる物語|いとうみく(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.5

苦しい状況や、挫折を感じたことがある読者ほど、いとうさんの作品を読むと、
まるで自分の事を書いている物語だと感じるでしょう。
そして最後には人生捨てたもんじゃないとポジティブな気持ちになります。それだけ、いとうさんが主人公達の気持ちに寄り添って、応援しながら物語を書いているからだと思います。
たしかにお話を聞いていると、物語の登場人物がまるで実在の人物の事を話しているような時がありました。いとうさ

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主人公が顔を上げるまで、人物を掘り下げる|いとうみく(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.5

主人公が顔を上げるまで、人物を掘り下げる|いとうみく(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.5

いとうさんの作品には様々な形の家族が登場します。
ご本人も読者から、家族のお話が多いですねと度々言われるそう。
その家族の形は、両親が亡くなっていたり、離婚していたり、決して幸せとは言えない家族も多い。だけど、登場人物達はそれに負けず前を向こうとする。
それはきっといとうさんが子ども達の力を心底信じているからなのでしょう。
だから読者は主人公と一緒に、いとうさんと一緒に物語の中を走って頑張れ!

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いろいろな子に届く物語を|工藤純子(児童文学作家)【後編】子どもの本のインタビューvol.4

いろいろな子に届く物語を|工藤純子(児童文学作家)【後編】子どもの本のインタビューvol.4

子供の本に関わる人々のインタビュー第4回目は
児童文学作家の工藤純子さん【後編】です。
後編では引き続き学校が舞台の『あした、また学校で』だけでなく、
戦争文学にあたる『てのひらに未来』についてや、作家になるきっかけなどもお聞きしました。
子ども達を見るやさしいまなざしには、どんなことを感じているのでしょうか?(前編はこちら)

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困っている子も、そうじゃない子も
お互いの歩みよりが大切|工藤純子(児童文学作家)【前編】子どもの本のインタビューvol.4

困っている子も、そうじゃない子も お互いの歩みよりが大切|工藤純子(児童文学作家)【前編】子どもの本のインタビューvol.4

子供の本に関わる人々のインタビュー第4回目は児童文学作家の工藤純子さんです。
バレリーナやパテシエに憧れる女の子達が成長していく姿を魅力的に描くお話をたくさん書かれてきました。
最近では学校を舞台にした作品にも意欲的に取り組んでいます。
私達がなんとなくおかしいよね?と思っているルールや、どういうこと?と思っている暗黙の了解などにユニークな視点で向き合っています。
そこにはいつも、困っている子ども

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キラキラじゃなくてもいい、
いろんな価値観があっていい|高田由紀子(児童文学作家) 【後編】子どもの本インタビューvol.3

キラキラじゃなくてもいい、 いろんな価値観があっていい|高田由紀子(児童文学作家) 【後編】子どもの本インタビューvol.3

オチャノマート(OCHANOMART)
「子どもの本のインタビュー」vol.3

子どもの本に関わる方々のインタビュー第3回目、
児童文学作家の高田由紀子さん【後編】です。
後編では『君だけのシネマ』や作家になるまでの道のり、
子ども達に伝えたいことなど、
児童文学作家としての信念についてお聞きしました。
迷ったり悩んだりしている子ども達の背中を押してくれるような
言葉にあふれています。
【前編は

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友達の目に見えない面に
気づいてほしい|高田由紀子(児童文学作家) 【前編】子どもの本インタビューvol.3

友達の目に見えない面に 気づいてほしい|高田由紀子(児童文学作家) 【前編】子どもの本インタビューvol.3

オチャノマート(OCHANOMART)
「子どもの本のインタビュー」vol.3

子どもの本に関わる方々のインタビュー第3回目は
児童文学作家の高田由紀子さんです。
佐渡島が舞台の作品が多い高田さんの作品は、モチーフが多彩です。
競泳や遠泳などのスポーツ、介護、ミニシアターなど様々。
その中で、友情を育んだり、挫折したり、不登校だったり、
子ども達の心の動きを繊細に見つめています。
どのような思い

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学校だけが全てじゃないと、
言いたいのかもしれない|にしがきようこ(児童文学作家)【前編】子どもの本インタビューvol.2

学校だけが全てじゃないと、 言いたいのかもしれない|にしがきようこ(児童文学作家)【前編】子どもの本インタビューvol.2

オチャノマート(OCHANOMART)
「子どもの本のインタビュー」vol.2

子供の本に関わる方々のインタビュー第2回目は
児童文学作家のにしがきようこさんです。
にしがきさんの作品は、子ども達の普遍的な悩みや苦しさに
寄り添いながらも、とてもさわやかに少年少女が描かれています。
自粛中の大変な時期にオンラインで、
貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。

【後編はこちら】

休校中の子

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苦しいよねって
共感の言葉を
言ってあげるのが一番|にしがきようこ(児童文学作家)【後編】子どもの本インタビューvol.2

苦しいよねって 共感の言葉を 言ってあげるのが一番|にしがきようこ(児童文学作家)【後編】子どもの本インタビューvol.2

児童文学作家のにしがきようこさんインタビューの後編では、
ご自身の子ども時代のことや、創作への姿勢、
読者の子ども達に対する思いなどをお聞きしました。
友達や学校のことで悩む10代の子ども達だけでなく、
子育てに迷う親世代もうなずいてしまうエピソードを
たくさんお聞きしました。

【前編】はこちら

自分を責めないで、そこから少しはずしてあげたかった
『おれのミューズ!』(小学館)について
●小学

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人生の多様性を示すのも子どもの本の役割|濱野京子(児童文学作家)さん【前編】子どもの本のインタビューvol.1

人生の多様性を示すのも子どもの本の役割|濱野京子(児童文学作家)さん【前編】子どもの本のインタビューvol.1

オチャノマート(OCHANOMART)インタビュー
「子どもの本のインタビュー」vol.1

この度こちらの記事では、子どもの本に関わる様々な方のインタビューを紹介していきたいと思っています。
第一回目は児童文学作家の濱野京子さんです。
濱野さんは、数多くのメッセージ性のある児童書を書かれています。
クラウドファウンディングやボート、ビブリオバトル、ファンタジーから東日本大震災まで、様々なモチーフ

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児童文学は「希望を語る」という事|濱野京子(児童文学作家)さん【後編】子どもの本のインタビューvol.1

児童文学は「希望を語る」という事|濱野京子(児童文学作家)さん【後編】子どもの本のインタビューvol.1

オチャノマート(OCHANOMART)インタビュー
「子どもの本のインタビュー」vol.1

この度こちらの記事では、子どもの本に関わる様々な方のインタビューを紹介していきたいと思っています。2020年の始まりは、児童文学作家の濱野京子さんの後編です。児童文学を志したきっかけや、影響を受けた本、児童書への向き合い方、子供たちに伝えたい思いなど貴重なお話を聞かせていただきました。
【前編はこちら】

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