AnoMArts/アノマーツ(子どもの本、絵本、児童書)

児童書、絵本の出版社立ち上げを目指します!/困り事のある子ども達や家族に寄り添い応援す…

AnoMArts/アノマーツ(子どもの本、絵本、児童書)

児童書、絵本の出版社立ち上げを目指します!/困り事のある子ども達や家族に寄り添い応援する絵本を制作中/発達障害/不登校/児童文学作家さんのインタビューをnoteで掲載中/主催・水木志朗/雑誌・書籍のデザイナー/武蔵美/基礎デザイン/北海道/1976

マガジン

  • 児童文学作家インタビュー|児童書がおしえてくれたこと

    濱野京子さん、にしがきようこさん、高田由紀子さん、工藤純子さん、いとうみくさん、など第一線で活躍される児童文学作家の方々に創作の思いをお聞きしているインタビュー記事です。どの作品も面白いのはもちろんのこと、不登校や、障害、LGBTQ、いじめ、家庭問題、ヤングケアラー、など現代の子ども達の問題も描いています。作家のみなさんの真摯に子供たちに向き合う気持ちがストレートに伝わってくる作品ばかりです。 児童文学作家のみなさんが、何を考え、何を感じて作品を作っているのか、 その思いを少しもお伝えできればと思っています。

最近の記事

  • 固定された記事

『くんちゃんのだいりょこう』を読んで|できそうでできない!熊のお父さんとお母さんの見守り力

子どもは結果よりやっている時が一番楽しい みなさん買い物は好きですか? 買い物って、ネットショッピングでも街での買い物でも、探している時が一番楽しいってことないですか?たとえば洋服だったら、値段を比べたり、デザインの違いを見たり、着ていくシチュエーションを想像したり、いろいろ選んでいる時が最も楽しい。実際に買ってしまったら、ほとんど着ないでタンスの肥やしになっているなんてこと、ありますよね。学芸祭や旅行でもそうですよね。当日よりも準備の方が思い出に残っているという人も多い

    • 映画『サユリ』介護視点レビュー|ホラーの姿をしたファンキー認知症映画

      認知症や介護がサブカルチャーでどのように描かれてきたかということを考えるのがこのコラムなのですが、今回はまさに認知症のばあちゃんが主人公のホラー映画『サユリ』が題材です。  他のレビューではホラー的な切り口や、怖い場面、ばあちゃんの凄さについて語られていましたが、この映画はまさに認知症と介護を真正面から描いた作品と言えると思います。そしてこの作品はホラーの形を借りた「生」をまっとうするための映画なのです。そこに認知症と介護、そして不登校や引きこもりなどのテーマが重ねられてい

      • 自分の立ち位置を確認する感覚で作る|清田麻衣子/里山社【後編】

        実は清田さんにお話しを聞くのはこれが2回目なんです。 8年前に『日常と不在を見つめて〜ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学〜』を出版された時に一度お話しを聞いています。清田さんにインタビューをしたきっかけで、佐藤真監督が障害者アートをテーマにした『まひるのほし』のことを知ることができ、それを見たことでその後子どもが不登校から発達障害とわかった時にとても助けになる作品となりました。 あれからも変わらず里山社は問題意識を持った本を出版し続けています。これから私も一人出版社を始め

        • 社会の側に知ってほしいことを本にする|清田麻衣子/里山社【前編】

          一人出版社として10年以上も活動されていて心に残る本を作られている里山社。 その代表の清田麻衣子さんに今回はお話しをお聞きしました。 絵本や児童書など子どもの本の出版社を作ろうとしているのに、どうして大人向けの出版社に話を聞くのかと思うかもしれません。それは里山社の本の全てに流れている目線が僕が好きな児童文学作家の方と、通じるものがあると思うからです。  今までこのインタビューでお話しをお聞きしてきた児童文学作家さんは、障害や不登校やLGBTQやヤングケアラーや差別やジェンダ

        • 固定された記事

        『くんちゃんのだいりょこう』を読んで|できそうでできない!熊のお父さんとお母さんの見守り力

        マガジン

        • 児童文学作家インタビュー|児童書がおしえてくれたこと
          12本

        記事

          カールじいさんと空き家問題解決方法

          『カールじいさんの空飛ぶ家』老後になって、 過去にケリをつけるか、引きずるのか、それも問題だ実家の空き家問題との向き合い方  実家って誰にでも思い出がありますよね。柱の傷で身長を測ったり、誕生日やったな~とか、喧嘩して壁に穴開けたな~。とかそれぞれにいろんな思い出があると思います。でも親が歳をとって病気になったり、亡くなったり、住めなくなると発生するのが空き家問題です。空き家問題って最近よく聞きますよね?2018年時点で全国で349万戸あって、20年前の1998年の約2倍

          カールじいさんと空き家問題解決方法

          『おしゃべりな たまごやき』を読んで|笑って許せる王様が素敵すぎる

          大らかでゆるい。でもそこがいい  新学期が始まって少したちました。新学期といえばお弁当ですよね。小学校では給食が多いですが、中学や高校ではお弁当の学校もたくさんありますよね。僕も子どもが小さい頃は、お弁当は妻と分担してよく作っていたのですが、なにはともあれたまごやきですよね。唐揚げやしゅうまいなどのおかずは冷凍食品でごまかしても、卵焼きがうまくつくれるとそれなりにお弁当っぽくなります。自分の気持ちとしても冷凍食品だけだとちょっと罪悪感がありますが、卵焼きだけは手作りすると

          『おしゃべりな たまごやき』を読んで|笑って許せる王様が素敵すぎる

          介護視点から観る『アメリカンフィクション』  ~リアルな親の介護問題 VS フィクションとしての黒人像差別~

          連載:老いとサブカルと私とは  介護をしています。両親が二人とも認知症です。母はかなり認知症が進み介護施設に入っていて、父は現在進行形で認知症です。子育てをしながら、親のお世話もしていてるのですが、最近はそういうのをWケアというらしいです。認知症って本当に大変なんです。親の衰えを見ているのだけでも悲しい上に、着替えさせたり、食べさせたり、おしっこや、うんちのお世話まで、子育てとほぼ同じことを“親”にやらなければならないんです。  子育ての事はこんなに大事なことなのに学校で

          介護視点から観る『アメリカンフィクション』  ~リアルな親の介護問題 VS フィクションとしての黒人像差別~

          桜の下でピクニックをするたろうの姿に不登校経験者はきっと泣く|『たろうのひっこし』を読んで

          卒業シーズンはモヤモヤする  卒業シーズンですね。街ゆく学生が晴れやかな顔をして連れ立って歩いている光景が見られます。卒業ソングも流れてきます。ところで、『たろうのひっこし』(福音館書店)村山圭子・さく/堀内誠一・絵。という絵本を読んだことがありますか?堀内誠一さんの明るい色彩の絵で楽しい絵本なんですが、実は春の絵本です。ラストには桜の木の下で、桜吹雪の中みんなでお花見をするんですよね。まさに、この時期の絵本なんです。  でも、僕自身はこの時期は個人的には、ちょっとモヤモ

          桜の下でピクニックをするたろうの姿に不登校経験者はきっと泣く|『たろうのひっこし』を読んで

          本当は怖い?てぶくろのはなし 〜ウクライナ民話に込められた反戦の思い〜|『てぶくろ』を読んで

           ウクライナにロシアが侵攻して2年が経とうとしていますが、最近『てぶくろ』というこの絵本が再び注目を集めているのはご存知でしょうか?実はウクライナ民話がもとになっているからです。表紙にもタイトルの上にウクライナ民話とはっきり書いていますね。内容的にも楽しいユーモラスなお話しだと思っていましたが、実は平和への強いメッセージがあるとして時を超えて違う意味を持ってきている作品なのです。  表紙だけを見ると、てぶくろに動物達がパンパンに入っていてほのぼのとしたお話しに見えますが、実は

          本当は怖い?てぶくろのはなし 〜ウクライナ民話に込められた反戦の思い〜|『てぶくろ』を読んで

          児童書がいちばん自由にのびのびと、書きたいものが書ける|如月かずさ(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.6

          「給食アンサンブル」を読んで驚いたのは、主人公が一人ではないこと。正確に言うと、オムニバス形式でクラスの仲間それぞれが主人公になり、脇役になるのです。家族に守られて自分が中心の小学生時代から、中学生になると友達との複雑な人間関係を築くことになります。それは成長でもありますが、悩んだり葛藤したり、カーストなんてものに巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。  スポーツができる子や、勉強ができる子ばかりにスポットが当たりがちな現実もあります。でもそんな時でも、如月さんの目線は

          児童書がいちばん自由にのびのびと、書きたいものが書ける|如月かずさ(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.6

          「らしさ」から解放されて、 ハッピーで生きやすい社会に|如月かずさ(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.6

          今回の如月さんのインタビューの中で出てきた「あわい」という言葉がとても印象に残りました。 「あわい」とは物と物との間という意味。 如月さんの作品はこの「あわい」をいつも大切にされていると思いました。  私たちは、つい男らしさや女らしさだけを意識して生きていますが、その間にはさまざまなセクシャリティーがあり、そこで悩んでいる人もたくさんいると思います。たった2色しかなかったら世の中は味気ないものですが、さまざまな色があると気持ちも豊かになりますよね。  如月さんの作品を読んで感

          「らしさ」から解放されて、 ハッピーで生きやすい社会に|如月かずさ(児童文学作家)【前編】AnoMartsインタビューvol.6

          11ぴきのねこぜんぶ読む|『11ぴきのねこ』シリーズを読んで

          ユーモアに隠れた集団の暴走と手塚治虫と反戦と11ぴきのねこ』シリーズはかなり変なお話し 『池の水ぜんぶ抜く』というTV番組があります。池に溜まったゴミを掃除したり、外来種の駆除をしていました。しかし、生態系が崩れたり、そもそも外来種=悪では無いという意見など賛否両論あったようです。それぞれの土地で環境も違うので、半分抜くとかゴミだけ拾うとか臨機応変にやる必要もあったかもしれません。でも、町の人が総動員でうわーっと池の中を探していて、一視聴者としては何があるのか好奇心がくすぐ

          11ぴきのねこぜんぶ読む|『11ぴきのねこ』シリーズを読んで

          居場所をめぐる冒険|『ぐるんぱのようちえん』を読んで

          レゴとダイヤブロックははまらない  子供の頃レゴブロックで遊んでいるとたまにどうしてもハマらないパーツがありました。よく見るとそれは、レゴブロックとよく似たダイヤブロックだったのです。レゴブロックはデンマーク製なのに対してこちらは日本製。微妙にはめこむ凸凹の大きさが違うので、無理にグイグイおしてもくっつかない。なのでレゴブロックとダイヤブロックという、違う規格のものは一緒には遊べないんですよね。  このように合わない場所でいくらがんばっても、合わないものは合わないというの

          居場所をめぐる冒険|『ぐるんぱのようちえん』を読んで

          君たちはどこをみているか|『君たちはどう生きるか』を観て『どろんこハリー』を思い出したこと

          宮﨑駿作品で賛否両論は珍しい  先日宮崎駿の最新作『君たちはどういきるか』を見てなぜか絵本の『どろんこハリー』を連想しました。正確にいうと内容よりも、今回特殊な公開のやり方と繋がりがあると思ったのです。 『君たちはどういきるか』は賛否両論割れているそうです。  こんな事って今まで無かったですよね?宮崎駿やスタジオジブリの作品は今までほとんどが公開したら絶賛、絶賛の嵐でみんなが大好きみたいな評価のされ方だったと思います。でも、今回はつまらなかったと酷評する人も、宮崎駿の集大

          君たちはどこをみているか|『君たちはどう生きるか』を観て『どろんこハリー』を思い出したこと

          マイノリティか、マジョリティか?どっちなんだい!|『スイミー』レオ=レオーニ を読んで

          内側から見ている景色と、外側から見える景色  内側から見ている景色と、外側から見える景色って違いますよね。  先日用事で札幌に行ってきました。北海道のある世代は東京や本州を「内地」と言います。「それは内地のやり方でしょ」みたいな感じで。北海道人は本州とは海で隔たっているので、外側から内側を見ている感覚がどこかにあるんですよね、自分も含めて。  そしてこの外側にきた感じは、自分の子どもが発達障害と知った時にも感じました。不登校を経験して発達障害とわかった時、この先みんなと同じ

          マイノリティか、マジョリティか?どっちなんだい!|『スイミー』レオ=レオーニ を読んで

          多様な家族をひとつひとつ拾い上げる物語|いとうみく(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.5

          苦しい状況や、挫折を感じたことがある読者ほど、いとうさんの作品を読むと、 まるで自分の事を書いている物語だと感じるでしょう。 そして最後には人生捨てたもんじゃないとポジティブな気持ちになります。それだけ、いとうさんが主人公達の気持ちに寄り添って、応援しながら物語を書いているからだと思います。 たしかにお話を聞いていると、物語の登場人物がまるで実在の人物の事を話しているような時がありました。いとうさんの作品達は子ども達の人生のピンチの時に、きっと心の支えのような物語になると思い

          多様な家族をひとつひとつ拾い上げる物語|いとうみく(児童文学作家)【後編】AnoMartsインタビューvol.5