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発達障害のアーティスト、おおはしみささんが、「パラアート」を紹介する特別授業を開講、in神奈川県。

こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは障害を抱える人が描く、「パラアート」をどう思いますか?

私が働いている会社、TANOSHIKAではライターさんの他に、デザイナーさんも在籍していて、実物を観ることはほとんどありませんが、会社の入り口に飾ってある展示物内の、ポストカードが季節ごとに変わったり、ハロウィンでのイラストを毎年皆さんで描き上げたりと、全貌は分からなくても、身近なところでデザイナーさんが描く「パラアート」を観ることができます。

そんな「パラアート」ですが、今回紹介をしたいのが、発達障害を抱えている、おおはしみささんというアーティストさんです。

今回はおおはしさんが行った、「パラアート」の特別授業について発信したいと思います。

2023年9月、おおはしみささんが「パラアート」の特別授業を開きました。



障害がある神奈川県相模原市緑区に住んでいるアーティスト、おおはしみささんが2023年9月11日、相模原市緑区内にある市立津久井中央小学校(神原由香里校長)で、アートで自分を体現し、自己肯定感を上げたいと図工の特別授業『命の授業 自分を見つめてみよう!』の講師を務め、自分のことをもっと好きになるための大切さを伝える特別授業を開きました。

おおはしさんは発達障害を抱えていて、同市立津久井中央小学校の神原由香里校長の教え子です。神原校長は授業でおおはしさんが児童たちと直接触れ合って、自画像を自分が思い描く自己表現で装飾する子ども達の様子を見つめていました。「絵は自分を映し出す鏡でもあります。自分のできないなと思うことも、嫌なところも描いて欲しいです」と子ども達に声をかけ、一緒に作品の創作に励みました。

おおはしさんが相模原市緑区にある別の小学校で2年生の時、神原校長が担任でした。当時のおおはしさんは九九が覚えられないといった、読み書きなどの勉強についていくのが難しかったといいますが、昔から絵を描くことが大好きで朗らかな子でした。

中学校から特別支援学級に通学し、高校は通信制へ進学しました。18歳で、自閉スペクトラム症(ASD)などと診断されましたが、絵の才能をぐんぐんと伸ばし、高校を卒業後横浜美術大学に入学しました。おおはしさんの当時から絵への才能を見いだし、サポートし続けたのが今回の特別授業『命の授業 自分を見つめてみよう!』を企画した神原校長でした。

おおはしさんは横浜美術大学に進学した後、教授から与えられた「永遠」という課題に「自分の障害と付き合っていくことだ」と気が付いて、良いこと、悪いこと、嫌なことも全てを絵で現す様になりました。

横浜美術大学に在学中の2020年、自分の経験をベースに発達障害を抱える子ども達が見ている世界を描き上げた文芸社刊の絵本[かなわね]を出版しました。2022年には一般社団法人障がい者自立推進機構パラリンアート運営事務局が主催する障害者アートのワールドカップ【パラリンアート世界大会】で準グランプリを受賞し、横浜美術大学を卒業した後の現在はホテルの室内をアート空間に創り上げるというプロジェクトにも参加するといった精力的に活躍の場を広げています。

市立津久井中央小学校で全児童対象に毎年行っているアンケート調査では、「自分が好きですか?」という質問に「とても好き」「好き」の回答が年々減少していて、神原校長も「自分に自信が持てない」という子ども達の声を耳にし、心を痛めてきました。

子ども達の自己肯定感を育もうと、市立津久井中央小学校内にはおおはしさんの作品およそ20点が飾られています。神原校長は「自分を体現し、自分自身と対話する」きっかけを持って欲しくて、おおはしさんを招待し、作品の「訴える力」を授業に活かす『命の授業 自分を見つめてみよう!』を企画しました。

自己肯定感が低い今の子ども達を励ましたいと開かれた特別授業には、小学3、4年生の子ども達が参加しました。2023年9月11日の授業で、子ども達は自画像の装飾で自分を体現するアートを描きました。

最初に、おおはしさんの作品をみんなで鑑賞しました。それから、子ども達は自身の顔写真をベースに事前に描いていた自画像に、色鉛筆、クレヨン、シール、毛糸、色紙などカラフルなアイテムを取り入れながら飾り付けをしました。これからの授業で完成させ、自己肯定感を育み「みんな違って、みんな良い」を心得て欲しいと自分のアートを発表し合う時間も設置していきます。

参考:自分のことをより好きに 障害あるアーティスト、おおはしみささん 相模原の小学校で特別授業 東京新聞(2023年)

おおはしさんはアートを制作中の子ども達を見つめながら「キラキラしていてオシャレだね」などと子ども達のアートを褒め、子ども達から「先生、どっちの色がいいと思う?」と質問されると「私ならこっちにするかな」などといったアドバイスもしました。

特別授業『命の授業 自分を見つめてみよう!』を受けた小学3年生の女の子は「とっても楽しかったです。また、みさ先生の授業を受けたいです」と満足そうな笑顔を見せてくれました。

2023年春、大学を卒業し、相模原、横浜両市や東京都町田市の絵画教室で講師として勤務するおおはしさんは、絵の描き方を聞く以外にも、自分の好きなものを絶え間なく話してくる子ども達を前に「凄く新鮮な気持ちになりました」と驚いた様子でした。おおはしさんも「本当にみんなキラキラしていていいなぁと感じるところが多くて、褒めてばかりという感じになりました。子ども達が授業を楽しそうに受けてくれました。私のこれからの創作活動の自信にも繋がりました」と嬉しそうな笑顔で語っていました。

平面だけに囚われることなく、「『自分の鼻を作っていたら、それが飛行機になった』なんて男の子もいました。私にはない発想を学ぶことができました」と弾ける笑顔を見せました。特別授業『命の授業 自分を見つめてみよう!』が終わった後には、「絵は私の人生のパートナーです。目に見えないものをアートで体現することで、現実化されて輪郭がすっきりしてきます。アートを描いてこなかったら今の私はいなかっただろうな」と当時を振り返りました。

参考サイト



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