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青森県陸奥湾のホタテ稚貝が、地球沸騰化の影響で52.5%がへい死。深刻な漁業被害。 

こんにちは、翼祈(たすき)です。
今振り返っても、2023年の夏は酷暑の夏でした。どんな格好をしていても暑くて、汗が止まらず、喉も乾くし、自宅の植物も立ち腐れになって枯れましたし、良いことはありませんでした。

私は基礎疾患があることで、暑い真夏もマスクをはめて過ごして、時々熱中症に近い状況になっていました。

自然災害も多い年でしたし、2024年の冬も暖冬で5月上旬の気温を2月に観測するなど、「あー、今年の夏もきっと暑いんだろうなぁ」とか考えると、またあの酷暑に耐える日々なのね、と今から夏が来るのが怖いです。

私はこのnoteで幾つか地球沸騰化による弊害を書いて来ました。この記事でもそのことについて触れたいと思います。

青森県は2023年12月21日、陸奥湾内の養殖ホタテに関して、2022年産、来年親の貝になる「新貝」のおよそ36%、2023年産稚貝のおよそ52%が死んだとする調査結果を明らかにしました。死んだ割合(へい死率)は、例年のおよそ2~4倍に達しました。2023年夏の猛暑で陸奥湾の海水温が上昇し、ホタテの大量死に直結したと考えられます。2010年に高水温が原因でホタテのおよそ7割がへい死した経験を踏まえ、漁業者が対策を取ってきましたが、それでも地球沸騰化でホタテを守り切れなかった形です。

今回は青森県で起きたホタテの地球沸騰化の弊害について説明します。

青森県陸奥湾のホタテが地球沸騰化で深刻な漁業被害に

202年12月21日、陸奥湾でホタテを生産する漁業協同組合が、青森市で開催された実態調査の報告会で発表しました。実態調査は2023年11月6日~11月15日に行いました。10の漁協に所属するホタテの養殖業者への聞き取りや現地調査を実施し、結果を総括しました。

青森県の宮下宗一郎知事は「陸奥湾が非常に危機的な状況に発生しているということが判明しました。まさに高温による水温上昇での災害が発生したという状況です」と危惧しました。青森県庁内に情報連絡会議を設けるなどして漁業者を支援する考えも現しました。

実態調査は、毎年春と秋に定期的に行っています。今回は陸奥湾内の漁協などと連携して、各漁協でサンプルを抽出しました。

ホタテの養殖が盛んな陸奥湾では、2023年、記録的な高い水温が続いたことなどから、ホタテが稚貝を中心に大量にへい死しているのが発見され、2024年以降の水揚げの減少など影響への長期化が指摘されています。

青森県平内町にある産業技術センター水産総合研究所によりますと、ホタテが一般的に生息できる水温は5~23度程度で、24度以上の高い水温は生息には適さないとされています。2023年夏の陸奥湾内の水温(水深15m付近)は2023年7月末に23度を超え、2023年9月2日には27度を記録しました。高水温が過去最長の71日間に渡って継続し、ホタテは体力を消耗してへい死したと考えられています。

実態調査の結果によりますと、へい死率は陸奥湾全体で生後1年に満たない稚貝で平年の11.5%に対し2023年は52.5%、生後1年4~9ヵ月程度の新貝からで平年は15.5%に対し、2023年は36.5%でした。

特に、湾内で水深が比較的浅い青森市漁協と平内町漁協でホタテのへい死率が高く、稚貝は青森市漁協の原別地区で100%、油川地区で99.8%、青森地区(本所)で92.7%まで及びました。平内町漁協では小湊支所で84.4%、土屋支所で78.8%、清水川支所で69.6%まで達しました。

新貝は、青森市漁協の造道地区で100%、奥内地区で88.9%、平内町漁協の小湊支所で82.5%というデータとなりました。

海水温の上昇によるホタテのへい死は2010年にも発生し、当時のへい死率は陸奥湾内の平均で稚貝で66.6%、新貝で66.7%に上っており、2023年の方がへい死率は低かったといいます。

その要因として県水産振興課の担当者は「2010年当時は、養殖用のカゴを引き揚げず、水温の低い場所にホタテを沈めたままにしておいたことが奏功しました」と説明しました。

また、稚貝を確保するために欠かせない新貝の不足も深刻な状況にあるとの説明がされました。安定的な稚貝の確保に最低限必要と言われている新貝の枚数は1億4千万枚ですが、2023年10月1日時点での保有枚数は7115万枚に留まっています。

水産資源学が専門の東京海洋大学の勝川俊雄准教授は「陸奥湾の高い水温は今後も継続すると考えていた方がいいです」とした上で、「現在から、水温上昇が継続した場合の対応を関係者が協議していくべきです」と警鐘を鳴らしました。

参考:青森産ホタテの稚貝、5割以上がへい死 猛暑による海水温上昇が影響 朝日新聞デジタル(2023年)

青森県漁業協同組合連合会の二木春美会長は「県漁連としても販売高や水揚げが無いのは大ダメージです。2024年は2023年の半分程度のホタテの販売になるのではないかと考えています。ホタテの被害が大きいと以前から想定はしていましたが、目の当たりにするとショックです。各漁協とも稚貝の数が少なく融通するのは困難な状況です。この深刻な状況を脱するには子どもを生む新貝を確保していかないといけません。水産総合研究所には高い水温に負けない稚貝の開発をお願いしています」と危機感を露わにしました。

漁業者などは、およそ64億円の被害が出た2010年の教訓から、水温が上昇する夏をやり過ごそうと、2023年も養殖かごなどの施設を、水温が比較的低い水深30m以下に沈めていましたが、それでもホタテの大量へい死という被害が出ました。

むつ湾漁業振興会の立石政男会長は、漁業者の取り組みに関して「2010年の時よりホタテのへい死の被害が一定程度抑えられましたが、それでもこんなにへい死するとは思いませんでした」と戸惑いました。

地球沸騰化の影響から2024年以降も高い水温が危惧されていて、陸奥湾の養殖ホタテ産業を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しています。

稚貝、新貝、共に大きな被害を被った青森市漁協の沢田繁悦組合長は「青森市は他の地域と異なり遠浅なので、いつもより深い場所でホタテを管理しましたが、壊滅状態になって陥り、非常に残念な想いです」と述べました。

沢田組合長によりますと、被害が大きかった原別や油川、造道などの沿岸は、陸奥湾の中でも特に水深が浅く、深い場所にホタテを下げられず壊滅状態になったのではないかと意見をまとめています。

また、陸奥湾内全体でホタテのへい死の被害が大きいことから、稚貝の融通を受けるのは困難だという認識を示した上で、「それ以外の地域の漁協とも話して水深が50mから60mあるところで、稚貝をかごに入れて預かって頂き、秋の水温が下がるまで預かって頂きたいと考えています」と、2024年以降も高水温が継続する可能性もあることから地球沸騰化の対策の検討を進める考えを示唆しました。

宮下知事はこの日、青森県庁で取材に応じ、「ホタテ産業は生産だけでなく、加工・流通と裾野が広い産業です。ホタテの生産量が少なくなると、連鎖的に青森県内経済を直撃することはあり得ます。漁業者の意見を聞き取りながら、対応を重ねていきたいです」と述べました。

後日談

この状況を踏まえ、政府系金融機関の日本政策金融公庫は2023年12月21日、融資などに関する相談窓口を青森市と弘前市、八戸市の3つの支店に設けました。

相談窓口は、高い水温によりホタテがへい死する被害を受けた事業者が対象で、対面や電話で相談者からの経営状況などを聞き取った上で、条件を満たせば融資や返済の面でサポートを行います。

また、青森市は同日、ホタテを養殖する市内の漁業者や漁協への緊急支援策として、6300万円余りを計上した新しい補正予算案をまとめました。

その反面、青森県は実態調査の結果の発表に先立つ形で、子どもを産む新貝の確保に向け、新貝の出荷を抑制した時の損失額を補填するためとして、ホタテの関係団体で構成された基金への補助費用などに2億3000万円余りを計上した補正予算案を県議会に提出していて、既に可決成立しています。

私は2024年在宅勤務で料理をしている時に、初めてクリームチャウダーというものを作り食べました。初めて食べましたが、ホタテのコクがあって、凄く美味しかったです。

私は白いシチューはホタテ入りが1番好きです。ホタテがあるだけで、より満足感が増します。

私自身はグルメではないので、オーソドックスな食べ方しか知りませんが、今後もこの貴重な海の資源を残していくためには、地球沸騰化にも屈することのない様な対策が、2024年以降もより一層求められていきますね。


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