相地

あいじ。もしくは、八ヶ崎 薫。コーヒーを淹れるもの書き。OFUSE( https://…

相地

あいじ。もしくは、八ヶ崎 薫。コーヒーを淹れるもの書き。OFUSE( https://ofuse.me/aizi8gasaki

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「cider.」もしくは、その泡たち。(538字)

・僕相地。 もちろん、本名ではない。 「cider.」の語り手。 性別は、どっちつかず。 自称ライター。お仕事ください。 本と音楽が好き。 吉田篤弘さん、haruka nakamura…

相地
4年前
64

年中、「絶望と一緒にねている」けど、

森茉莉は、この後、「夏の間は」と語っているのだけど、ぼくは、「夏の間」に限らないので、よくない。 でも、夏になると、絶望が一等深まる気がする。 ぼくは、8月が嫌…

相地
10時間前
3

目尻の小川と、ぼんやりする珈琲屋

目尻が汚れていた。 頬を伝ったような跡、ではなく。 眠っていたから、まるで、メガネのつるに沿うように。 もちろん、メガネはかけていなかったけど。 あくびの涙にし…

相地
1日前
2

雨の檻の中の、数刻

玄関の、外の方のドアノブには、虫除けがかかっている。 ので、よく、カタカタ鳴る。 風が強いと。 が、それがかき消されるほど、昨日は、雨音が強かった。 雨粒が、窓…

相地
2日前
4

健康になろうとしているぼくの、そこそこ健康な一日

二度寝しないコツは、パートナーを玄関先で見送ることなのだ。 たぶん。 よほど、具合を悪くしていなければ。 仕事へ出かけるパートナーに手をふって、それから、鉄瓶で…

相地
3日前
5

ぼんやり、しすぎる朝は(今朝は、白湯)

ぼんやりしていた。 ぼんやりするのは、いつものことのはずだけど。 寝不足だったのは、昨日だったはずだけど。 夜ふかしをしたのは、一昨日だったはずだけど。 ぼくは…

相地
4日前
5

サヴァラン、あと、自分について

『貧乏サヴァラン』の「サヴァラン」は、あの、洋酒を染み込ませたケーキのことだと思っていた。 いや、書き出しが、「マリアは貧乏な、ブリア・サヴァランである。」なの…

相地
5日前
7

常に、ぼくの中は、渦巻いている

ピッ、ピッ、ピッ。 「今、行くよ」 思わず、返事をした。 満水になった除湿機に。 洗濯物を片付けている最中だった。 ちゃんと早起きできた日だった。 朝食も食べた…

相地
6日前
2

企んだり、苛まれたりする日

どれが梅雨なのか、わからなくなってきた。 あれも梅雨だし、これも梅雨。 あのときの梅雨は取り下げて、今が梅雨です、とかならないんだろうか。 低気圧による頭痛は、…

相地
7日前
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ひさしぶりに、めずらしく、の話

昨日のボランティアは、ぼくだけだった。 自由参加のゆるいボランティアではあるけど、3回か4回は行けていなかったので(週末は、体調を崩しやすい。)ばつが悪かった。 …

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8日前
2

頭が錆びついた感覚が、離れない

引っ越しして、3ヶ月。 手持ちの診察券が、増えた。 主に、この1ヶ月で。 先月は、火傷したり、手首をひねったり、深夜に背中に激痛が走ったり。 で、今度は、一昨日に…

相地
9日前
1

夜の味がする朝に(今朝は、ホットコーヒー)

ようやく、雨が止んだ。 と思う。 わからない。 この土地の天気予報は、いつも外れる。 雨の匂いのする土地。 雨は止んだ。 けれど、薄ら暗いまま。 曇りなのは、変…

相地
10日前
6

怖い、と、寂しい、を、またいで

昨日も、一昨日も、引きこもっていた。 雨が降っていたから、なのは、嘘じゃない。 昨日は、一昨日ほどの、どしゃ降りではなかったけど。 不要不急じゃなくても、外出の…

相地
11日前
5

ずっと真夜中でいいのに、の真昼

暗い日だった。 雨がさんざんに降っていた。 嫌いじゃない。 ずっと、夕方から夜の間のように暗いから。 夜が長いみたいで、うれしい。 ときどき、目くらましのように…

相地
12日前
4

「苦しいことばかりじゃなくて、よかった」

自分で自分を見て、驚いた。 のが、1日に2回くらいあった。 3回もあったかもしれない。 顔を洗うとか、明確な意思を以って、洗面台の前に立ったのだけど。 どうしてな…

相地
13日前
7

本を読み終えた話と、少しだけ七夕の話

唐突に終わった。 ように思えた。 いや、本の終わり方としては、そこで終わって、申し分なかったのだ。 ただ、もう少し頁数があったから、後日談があるのだと思っていた…

相地
2週間前
7

「cider.」もしくは、その泡たち。(538字)

・僕相地。
もちろん、本名ではない。
「cider.」の語り手。

性別は、どっちつかず。
自称ライター。お仕事ください。

本と音楽が好き。
吉田篤弘さん、haruka nakamuraさんの作品をこよなく愛している。

憧れの人は、ロックバンド・女王蜂のアヴちゃん。

よく白湯をすすっている。

・パートナー伴侶。

コーヒーが好き。
メガネがよく似合う。

僕のありのままを受け止めてくれる、

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年中、「絶望と一緒にねている」けど、

年中、「絶望と一緒にねている」けど、

森茉莉は、この後、「夏の間は」と語っているのだけど、ぼくは、「夏の間」に限らないので、よくない。

でも、夏になると、絶望が一等深まる気がする。

ぼくは、8月が嫌いだ。

8月そのものが、というより、嫌なものが、たくさんつめ込まれているから。

まず、学生は夏休みなので、平日と土日祝に関係なく、どこへ行っても人ごみがひどくなる。

(すでに、夏休みが始まっているなら、なおさらだ。)

それに、盆

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目尻の小川と、ぼんやりする珈琲屋

目尻の小川と、ぼんやりする珈琲屋

目尻が汚れていた。

頬を伝ったような跡、ではなく。

眠っていたから、まるで、メガネのつるに沿うように。

もちろん、メガネはかけていなかったけど。

あくびの涙にしては、ずいぶんこびりついている。

眠っている最中に、泣いたとしか。

泣くような夢は、見ていないはずだけど。

それとも、覚えていないだけかな。

わからない。

昨日の朝のこと。

昨日の日中は、珈琲屋になっていた。

ぼくは、

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雨の檻の中の、数刻

雨の檻の中の、数刻

玄関の、外の方のドアノブには、虫除けがかかっている。

ので、よく、カタカタ鳴る。

風が強いと。

が、それがかき消されるほど、昨日は、雨音が強かった。

雨粒が、窓ガラスに叩き付けられる。頭に浮かぶ。浮かばせようとしなくても。

新しい家に住み始めて、一番強いんじゃないか。弱々しい家が、吹き飛ぶみたいだ。

吹き飛んでしまえばいい。

ぼくは丁度、翌日の、珈琲屋の出店準備を済ませたところだった

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健康になろうとしているぼくの、そこそこ健康な一日

健康になろうとしているぼくの、そこそこ健康な一日

二度寝しないコツは、パートナーを玄関先で見送ることなのだ。

たぶん。

よほど、具合を悪くしていなければ。

仕事へ出かけるパートナーに手をふって、それから、鉄瓶で白湯を沸かす。

すすりながら、何にもしない。

本を読むことはある。今は、『貧乏サヴァラン』が楽しくて仕方ない。

大抵は、ぼんやりしている。

ぼんやりするのに飽きると、朝食の用意をし始める。

朝食といっても、簡単なもの。

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ぼんやり、しすぎる朝は(今朝は、白湯)

ぼんやり、しすぎる朝は(今朝は、白湯)

ぼんやりしていた。

ぼんやりするのは、いつものことのはずだけど。

寝不足だったのは、昨日だったはずだけど。

夜ふかしをしたのは、一昨日だったはずだけど。

ぼくは、変わらず、懲りずに、ぼんやりしていた。

眠たいのかもしれない。

わからない。

アルネは、肩をすくめて、呆れたような顔を見せた。

ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。

ぼんやりと、ふらふらとしながら、台所へ。

五徳の上

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サヴァラン、あと、自分について

サヴァラン、あと、自分について

『貧乏サヴァラン』の「サヴァラン」は、あの、洋酒を染み込ませたケーキのことだと思っていた。

いや、書き出しが、「マリアは貧乏な、ブリア・サヴァランである。」なのだから、人名と考えるべきだったのだけど。

食のエッセイであるのと、「ブリア」と頭に付いたサヴァランがあるものだと、なぜか思い込んでいた。

でも、くり返し、マリアこと森茉莉は、『貧乏サヴァラン』であると自称するのだから、菓子の方ではなく

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常に、ぼくの中は、渦巻いている

常に、ぼくの中は、渦巻いている

ピッ、ピッ、ピッ。

「今、行くよ」

思わず、返事をした。

満水になった除湿機に。

洗濯物を片付けている最中だった。

ちゃんと早起きできた日だった。

朝食も食べた。

(その後、昼食も食べた。)

虫垂炎の疑いをかけられてから、特に悪化はしていない。

食事をする度に、おなかを壊してはいるけど。

治ってもいない。

注文していたコーヒーの生豆が届くから、自宅にいた方がよかった。

から

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企んだり、苛まれたりする日

企んだり、苛まれたりする日

どれが梅雨なのか、わからなくなってきた。

あれも梅雨だし、これも梅雨。

あのときの梅雨は取り下げて、今が梅雨です、とかならないんだろうか。

低気圧による頭痛は、夕方にやってきて、遅かったな、と思いながら、ぼくはEVEを飲んだ。

一日中、引きこもっていようと思っていた日だった。

が、近くの書店(自宅から4kmはある)に、パートナーが欲しがっていた本があるのを知った。

ネット通販をしないパ

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ひさしぶりに、めずらしく、の話

ひさしぶりに、めずらしく、の話

昨日のボランティアは、ぼくだけだった。

自由参加のゆるいボランティアではあるけど、3回か4回は行けていなかったので(週末は、体調を崩しやすい。)ばつが悪かった。

が、どうやら、他の人も、あまり参加していないらしかった。

ボランティア後の感想ノートを見るに、ぼくが参加できなかった日は、せいぜい1人か、誰もいないときもあった。

そういうものなのか。

ぼくも、体調が万全じゃないとはいえ(1日前

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頭が錆びついた感覚が、離れない

頭が錆びついた感覚が、離れない

引っ越しして、3ヶ月。

手持ちの診察券が、増えた。

主に、この1ヶ月で。

先月は、火傷したり、手首をひねったり、深夜に背中に激痛が走ったり。

で、今度は、一昨日に(省略)があって、昨日、消化器内科を受診した。

血液検査では、少々の炎症反応があるくらいで、大きな問題はなかったけど。

症状が悪化するなら、虫垂炎の疑いがあるらしい。

……。

たぶん、さっと数えてみても、増えた診察券は4枚

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夜の味がする朝に(今朝は、ホットコーヒー)

夜の味がする朝に(今朝は、ホットコーヒー)

ようやく、雨が止んだ。

と思う。

わからない。

この土地の天気予報は、いつも外れる。

雨の匂いのする土地。

雨は止んだ。

けれど、薄ら暗いまま。

曇りなのは、変わらず。

日差しにうなじを焼かれるよりは、いいのかな。

頭痛がしなくなれば、なんでもいい。

ぼくの、生気のない返事に、アルネは肩をすくめた。

ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。

まあ、朝でも昼でも、飲むときは飲む

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怖い、と、寂しい、を、またいで

怖い、と、寂しい、を、またいで

昨日も、一昨日も、引きこもっていた。

雨が降っていたから、なのは、嘘じゃない。

昨日は、一昨日ほどの、どしゃ降りではなかったけど。

不要不急じゃなくても、外出の予定はなかった、一昨日のぼく。

一日中、珈琲豆の焙煎をしていた。

休んだり、途中で勉強したりもしたけど。

一日中、元気だったから。

だから、翌日はきっと、元気じゃないんだろうな、と思った。

経験上。

予想通り、昨日のぼくは

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ずっと真夜中でいいのに、の真昼

ずっと真夜中でいいのに、の真昼

暗い日だった。

雨がさんざんに降っていた。

嫌いじゃない。

ずっと、夕方から夜の間のように暗いから。

夜が長いみたいで、うれしい。

ときどき、目くらましのように、光って。

たぶん、結構近くに落ちている雷。

どしゃ降りが、すごくどしゃ降りになったりする。

ぼくは、怖いと思っただろうか。

少しでも。

つくみず氏の『シメジ シミュレーション』で、そう応えたキャラクターがいた。

その

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「苦しいことばかりじゃなくて、よかった」

「苦しいことばかりじゃなくて、よかった」

自分で自分を見て、驚いた。

のが、1日に2回くらいあった。

3回もあったかもしれない。

顔を洗うとか、明確な意思を以って、洗面台の前に立ったのだけど。

どうしてなのか、驚いてしまった。

自分で思うより、隈が濃くなっていた。

1ヶ月前に比べたら、ずいぶん眠れているはずなのだけど。

隈は、寝不足だけが原因ではないらしいけど。

原因がなんであれ、疲弊していることを、物語っているようだった

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本を読み終えた話と、少しだけ七夕の話

本を読み終えた話と、少しだけ七夕の話

唐突に終わった。

ように思えた。

いや、本の終わり方としては、そこで終わって、申し分なかったのだ。

ただ、もう少し頁数があったから、後日談があるのだと思っていた。

なので、次の頁をめくって、引用文献一覧を目にしたとき、頭がなかなか切り替わらなかった。

一覧は見開き2頁で、あとは訳者のあとがきだった。

よくあることでは、あるんだけど。

なんというか、油断していた。

……。

油断、で

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