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ずっと真夜中でいいのに、の真昼

暗い日だった。


雨がさんざんに降っていた。


嫌いじゃない。


ずっと、夕方から夜の間のように暗いから。


夜が長いみたいで、うれしい。


ときどき、目くらましのように、光って。


たぶん、結構近くに落ちている雷。


どしゃ降りが、すごくどしゃ降りになったりする。


ぼくは、怖いと思っただろうか。


少しでも。

「しめじちゃんは平気なの?」
「ここで死ぬならそれはそれで」

つくみず『シメジ シミュレーション 01』より

つくみず氏の『シメジ シミュレーション』で、そう応えたキャラクターがいた。


その台詞を見てから、しなないとは思うけど、万が一のことがあったらしぬかもしれない、という状況で、ぼくも同じことを思うようになった。


できれば、長生きはしたい、と思うけど。


それはそれとして、「ここで死ぬならそれはそれで」という気持ちもある。


苦痛がいつまでも続く、とか、そういうのは、嫌だけど。


パッと終わるのなら、「それはそれで」。


低気圧は低気圧なので、頭痛の予兆がした。


EVEを飲んだ。


調子がよくなった。


天気は崩れに崩れ、外出できない状況なのに、ぼくは元気だった。


いつもなら、一日でも引きこもると、具合が悪くなるのに。


ずっと真夜中、のような状況が、ぼくを安心させていたのかもしれない。


それに、他に何も聞こえないくらいの雨音と、雷鳴と。


世界の、なにか怖いものから、隔絶されている気がした。


SNSを開く。


おそらく、ぼくが住んでいるところからほど遠い土地にいる人の、「暑すぎる」の一言。


本当に、自分だけ違う世界にいるみたいだ。


そんなことはなく、同じ地域に住んでいる人の投稿は、大体大雨に関するもの。


それでも、自分が絶対安全な場所にいる気がしてならなかった。


精神が安定するなら、気がするだけでもいい。と思う。


調子がいい内に、珈琲豆の焙煎をした。


朝なのか昼なのかわからない時間に、朝食兼昼食を摂った。


YouTubeで焙煎の動画を探したり、参考書を読んだりして、勉強した。


もう一回くらいしようかな、と思っていると、足に力が入らないのに気付いた。


横になる。眠れない。


たぶん、エネルギー切れなのだ、と思う。


昼食も兼用していたとはいえ、一食しか食べていない。


ぼくに食欲がなくても、ぼくの体は、三食摂った方がいいらしかった。


野菜ジュースを飲んで、また焙煎した。上手く焼けた。


雨は止んでいた。


もう降らないような空だった。


と思ったけど、一時間もしない内に、またどしゃ降り。


ぼくは、なぜか元気。


そのとき、ぼくは、


翌日は、元気じゃなくなっているんだろうな、と思っている。


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