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アイデアノート1 生きがいイノベーションとイニシアチブ理論 

今回は究極型パラダイムやCAIサイクルを考案するまでの過程で書いてきたアイデアノートを公開する。アイデアノートとして参考にしていただければ幸いだ。

生きがいイノベーションとイニシアチブ理論

産業革命中に次の産業革命を起こす
 生きがいイノベーションの出現

みんな宇宙旅行のことを考える。
でも火星に行く間、何をするかなんて考えもしない。
大事なものはそっちあるのに。

 考え方によっては、未だに世界は天動説である。地球が原点であるとするだけでいい。では、なぜ天動説が地動説に置き換わったのか?その答えは、計算しやすく、より多くを正確に説明できたたからである。科学も哲学も、より現実を説明しやすいほうが選ばれてきた。より上手くいく価値観が広まった。あらゆる商品、企業、活動、宗教もそうであった。
しかし、上手く行った後にどうなるか?どんな世界になるか?をほとんど誰も考えはしない。キュリー夫人やアインシュタインが原子爆弾の登場を予言しなかった。ケインズは百年後には、人々の労働時間はわずか3時間程度に減少し、むしろ働かず暇を持て余すと予想した。しかし、人々がほとんど働かなくなった未来に一体人々はどのようにその暇をもてあそぶのかを考えはしなかった。なぜかと言えば、遠い未来は予測できないと考えたからだ。それに時間を費やすくらいなら、今に着目した方がいいと誰もが思っていた。賢い人ほどできることに集中した。それでも、確実だと断言できる未来がある。これを考える時、確実だと断言できない科学技術ではなく、太古の過去から変わっていないことを考えることこそが役に立つ。今までも変わらず、これからも変わらないものは何かを考えることで、未来は予測できるのだ。

実力主義社会の限界

インターネットの普及とソーシャルメディアの発達が実力主義社会をもたらした。これにより、ごく一部が巨万の富を得て、大多数が稼げない社会となりつつある。巨万の富を得た者ですら、ビックバンイノベーションによって一夜にして立場を脅かされる。このため、CEOは両利きの経営でイノベーションを起こし続けることが求められるようになった。
99%の失敗を1%の成功で賄えるビックバンイノベーションを起こし、既存のビジネスでのビッククランチに備えている。この激動の中で、多くのマックジョブがコンピューターに置き換えられている。しかし、その分新たな雇用は生まれていない。こうして、巨万の富を得たわずかな者さえ淘汰される社会に変化しつつある。すでにアメリカと中国は深刻な状況にある。企業の入れ替わりは激しく、ついていけなければ貧困に陥る。中間層は無く、激しい格差に見舞われている。格差の拡大が治安の悪化を引き起こし、アメリカは犯罪大国となり、中国は監視システムがなければまともに国家運営ができない。こうして、ITで世界の覇権を争う二か国は貧困層にとって地獄のような国になりつつある。ヨーロッパや日本も例外ではない。ヨーロッパでは大量の失業を招き、大量の移民・難民がこれを更に悪化させた。これに歯向かうように完全実力主義の採用に遅れた日本では、長時間労働・低賃金が蔓延し、生産性上昇の長期停滞を起こしている。実力主義を蔓延させた第四次産業革命は始まって早々だが、行き先が良いものには見えない。これを解決するべく、第四次産業革命中に次の産業革命を起こすことを考えた。ではどうするのか?

ティール組織はソリューションになるのか?

ここで役に立つのがティール組織の研究である。この研究では、発達心理学の意識モデルが変化するたびに、組織構造と社会が次の段階へ移ることが示唆されている。承認欲求から自己実現欲求に変化することで、組織構造もグリーン型(多元型)からティール型(進化型)変化するのだ。するとマズローの五界説における、承認欲求から自己実現欲求にピラミッドの上へ推移したことになる。そしてこの段階を上がる速度は加速しているという。
無色型が原始時代、マゼンタ型が1万5000年あるいはもっと早い時期、レッド型が1万年前、社会的欲求のアンバー型が農耕時代、承認欲求のオレンジ型が2世紀前、グリーン型が一般的になったのは1960年代、ティール型が現れたのは二十一世紀に入ってからだ。このため、著書内でも生きている間にティール型から一個あるいは二個先の組織型までは現れるのではないかと予想している。組織型の変化が急激な社会の変化をもたらしたことから、組織が一気に前に進めば第五次産業革命を起こすこともできるであろう。
 

ティール型VS超実力主義社会

ティール組織はより実力主義社会を生き延びやすくした。対等な関係から全員のアイデアが尊重され、両利きの経営が非常にしやすくなった。ビックバンイノベーションも、ビッククランチからの脱出も得意になった。自らが労働時間と賃金を決める自己経営により、生産性も創造性も飛躍した。非常に長い目でみて物事を考えられるようになった。
しかし、実力主義社会の問題を根底から解決できなかった。承認欲求に支えられていた資本主義社会が、自己実現欲求によって実力主義社会に変化したのだから当然のことだった。夢を、自分らしさを求めるからこそ、実力が軸になってしまった。自由を手にしたからこそ、自らの身の程を受け入れることから目を逸らせなくなった。今まで言い訳ができていた結果の格差に、言い訳ができなくなってしまった。機会が、環境が手に入るからこそ、才能や、努力をする才能がないことを知る時がきてしまった。本当に自分にとって何が大切かという、大きな悩みを与えるようになってしまった。
それでも、ティール型に進めば機会の平等に近づくのだから、今のアメリカや中国よりは随分とまともになるだろう。
しかし、勝者と敗者がいて勝った者でさえ常に脅かされるデスゲームの根本を解決できない。
そこで、自己実現欲求の更に上の欲求があれば、ティール組織の上の段階にある組織を生み出し、ひいては社会構造を変えることにつながる。そして、1割が不確実な大勝利を手にして、9割がまともに富を得られなくなる極度の実力主義社会を解決する手がかりとなるだろう。

第一部組織の発達段階と生きがいイノベーション

組織の発達段階は歴史を通じて変化してきた。
レッド型では、力を中心とした上下関係で組織のモチベーションを保ってきた。これはオオカミの群れに例えられる。暴力組織などが現在でもこの段階を採用している。しかしこの段階は、力のみの関係から闘争が絶えないという致命的な問題を抱えていた。リーダーも常に下剋上に怯えなければならなかった。
アンバー型では組織をヒエラルキーによって厳格なルールと役職の固定を用いてモチベーションを保ってきた。これは組織を安定化させ王国の長期化に貢献した。しかし、固定された身分制度などへの反発から革命や戦争が絶えなかった。マイノリティは常に差別され続けた。
オレンジ型組織では能力によってヒエラルキーを上がれるようにすることで、モチベーションを保ってきた。産業革命後の実力によって評価される社会を築き、で人々のモチベーションを飛躍的に向上させた。日本も明治維新でこのパラダイムに移ったことで列強の仲間入りを果たした。利益を中心に考え、債務などの細かいルールを用いて、利益のための目標を定めるようになった。しかし、短期的な利益にどうしても目が奪われるので、イノベーションのジレンマに陥りがちであった。この結果、日本経済は長期停滞に見舞われた。
 グリーン型組織では、従業員を家族とみなし、戦略や利益よりも文化を重視するようになった。このおかげで、変化に対応できる組織が構築された。日本でも、グリーン型組織にシフトできた富士フイルムやSONY、任天堂などが持続的な成長を続けることができた。しかし、これらの組織は優れたリーダーに依存しており、リーダーなくして安定はなかった。経営者がやはり従業員の生活を支配していた。
 このためティール組織がでてきた。リーダーや上下関係を撤廃し、自主経営によって組織の指示命令系統を廃することに成功した。

次回は、このティール組織の更に次の段階を言及するものになる。ティール組織のその先にある組織の形態がどのようなものになるのかを説明する。

↓次回


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