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君が望むなら、僕は。

僕の心は秋の空。もうすぐ冬になる。


君の心は嵐のよう。

強い風を巻き起こしながら、色とりどりの葉っぱを踊らせて。



『きれいだなぁ…。』

身体から熱が逃げていく感覚が、僕の思考を停止させる。



君の劈くような泣き声が聴こえてくる。

君の心も身体も、何が言いたいのか?

僕は分かっている。



だから、泣かないで。

『だいじょうぶ、だいじょうぶ。』



君が自分を分からないなら、僕が君について、分かっていることを教えてあげるよ。

だから、泣かないで。



お腹が空いたんでしょう?
おやつがあるよ。

少し、眠たいんだよね?
お家に帰ってお昼寝しよう。

自分でやりたかったよね?
たくさん自分で出来ることが増えたんだもんね。



君は僕より速いスピードで、どんどんどんどん、成長していく。
ほら、もう僕より「人間」みたい。



「人間」に近づいていく君には、ありのままの「僕」じゃ敵わない。僕ではない「ナニカ」にならないと戦えない。

いつもニコニコ、優しい「ママ」。
時には厳しく、諭す「母」。
「家庭」っていう名前の、小さな社会のルールを教える「先生」。

のんびり、沈む夕陽。

風に運ばれる色とりどりの葉っぱに『そんなに急いでどこに行くの?』なんて空想するような「僕」じゃなくて。



君が望むなら、何にだってなるよ。

笑ったり、怒ったり。顔に色んな皺を刻みながら。
君が一人前の「人間」になって、僕の元から離れていく日まで。



だから。

『だいじょうぶ、だいじょうぶ。』




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Q_nine
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