襾漫 敏彦(アマントシヒコ)

美術作品を見に行って、そこで会った作家さんに、襾漫 敏彦のペンネームで、評論の形式の感…

襾漫 敏彦(アマントシヒコ)

美術作品を見に行って、そこで会った作家さんに、襾漫 敏彦のペンネームで、評論の形式の感想作って渡してます。その一部を紹介していきます。画廊を訪ねて、絵を直接みて、作家さん達と話をすると豊かな世界が広がります。自分の見方を一緒に見つけていきましょう。

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固定された記事

襾漫敏彦と美術評論についてーー付)画廊探訪 索引

 自己紹介の前に、【画廊探訪】の索引をあげておきます。   襾漫敏彦というのは、美術関連の文章を書く時のペンネームです。  美術評論家の鷹見明彦氏は、2011年に震…

<新たな試み>:【アーティストと向き合う】その1

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表現再考:夏入、安居の始まり、旧暦四月十六日(5月23日)

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表現再考:小満(5月20日)

スーマングースの小満の始まりです。陰暦では、この小満の時期に満月が来るのが四月です。四月の満月は、新暦5月22日の今日です。  本朝の七十二候では、蚕起食桑(か…

表現再考:賀茂祭(葵祭)、旧暦四月一四日(卯月 中の酉)、(5月21日)

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表現再考:卯月、中の申の日、旧暦四月十三日(5月20日)

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展示紹介:林明日美 高橋岳人 展 5.24Fri. 〜6.2Sun. Gallery Face to FACE

Gallery Face to FACEで、林明日美、高橋岳人、二人展が開かれます。高橋さんはドローイング、林さんは版画の方です。 林明日美 高橋岳人 展 2024.5.24Fri. 〜6.2Sun. 5月…

画廊に行くようになって気がついたこと その49

 デジタルやAIに絡めて表現の身体性の話をしていましたが、デジタル技術の活用、パソコンのアプリを活用して、表現を行う際、あらわれる現象のひとつは、キリがなくなるこ…

展示紹介: 「空珠」田中玲子 個展、5.26〜6.1 SAN-AIギャラリー

見上げた空の記憶を、蜻蛉玉の中に封じるごとく象る田中玲子さんが、個展をされます。 田中玲子 個展 空珠 2024年5月26日(日) ~ 6月1日(土) 12:00~18:30 / 日曜 12:00…

展示紹介:コクテイル書房企画、世田谷ピンポンズ展『ポンチ!』5月9日から22日、・・5月18日、記念ライブ

コクテイル書房の本の長屋で、世田谷ピンポンズ展『ポンチ!』が開かれています。 世田谷ピンポンズさんは、フォークシンガーですが、彼の描くポンチ絵の展覧会です。まだ…

灌仏会、旧暦、四月八日(5月15日)

 お釈迦様が生まれた日は、旧暦四月八日と言われていますので、本来なら今日が、灌仏会にあたります。  灌仏会は、花祭りともいわれてますが、甘茶をお釈迦様の像にかけ…

【画廊探訪 No.172】わたしの中にあらわれるわたし――世田谷ピンポンズ絵画展『ポンチ!』に寄せて―― 

わたしの中にあらわれるわたし ――コクテイル書房企画『ポンチ!』世田谷ピンポンズ絵画に寄せて――  襾漫敏彦  むかし語りは「かの谷に、おのこありけり」という語…

表現再考:衣更

 中古、平安時代、宮中では、四月一日と十月一日を衣更の日としてきたそうです。 これは、旧暦のことですから、今年の旧暦、四月一日に当たるのは、5月8日です。ですから…

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山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」に行って来ました。  山内さんの作品は、子供の頃に住んでいた家が取り壊しになるということで、最後の姿を見に行ったことから…

画廊に行くようになって気がついたこと その48

 デジタル技術による製作は、作者の肉体や具材の物質性の影響の残渣のようなものが残らないと説明してきました。  作者が、イメージを創造するのですが、それを物質に固…

襾漫敏彦と美術評論についてーー付)画廊探訪 索引

襾漫敏彦と美術評論についてーー付)画廊探訪 索引

 自己紹介の前に、【画廊探訪】の索引をあげておきます。

  襾漫敏彦というのは、美術関連の文章を書く時のペンネームです。

 美術評論家の鷹見明彦氏は、2011年に震災の後、病で亡くなりました。
わたしは、彼ともうひとりの友人と1980年後半『砂洲』という同人を組みました。襾漫というのは、その頃、書こうとしていた詩の主人公の名前です。

鷹見さんは、画廊を廻り若い作家の話を聞きさまざま

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<新たな試み>:【アーティストと向き合う】その1

<新たな試み>:【アーティストと向き合う】その1

 僕らは芸術家、アーティストという存在に、作品というプリズムを通して接しています。

 当たり前のことですが、アーティストも僕らと同じ、この社会に生きるパーソンです。作品はある意味、結果でありますが、そこに至るまでの日々の営みがあります。

 個人的なことは社会的なことという社会学的なこと考え方もありますが、社会の中でどう生きるのか、社会にどう交わっていくのか、作品の向こうには、一人の人間としての

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表現再考:夏入、安居の始まり、旧暦四月十六日(5月23日)

表現再考:夏入、安居の始まり、旧暦四月十六日(5月23日)

 古典の世界では、夏安居(ゲアンゴ)というのがありますが、これは、四月十六日から、遊行していた僧侶が、外出せずに集まって修行することです。

 日にちだけで見ると、そうなんだという感じなんですが、旧暦で見ると夏至の前の月である四月の満月の翌日からということになります。

 昔は、腕時計やカレンダーなんかはなかったですから、坊さんは、夜の月を見ながらお寺や僧房へと向かったのでしょう。

 カラダで確

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表現再考:小満(5月20日)

表現再考:小満(5月20日)

スーマングースの小満の始まりです。陰暦では、この小満の時期に満月が来るのが四月です。四月の満月は、新暦5月22日の今日です。

 本朝の七十二候では、蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)、紅花栄(べにばなさかう)、麦秋至(むぎのときいたる)

 ですが、宣明暦では、苦菜秀 苦菜(にがながよく茂る)靡草死(薺(なずな)など田に生える草が枯れる)小暑至 (ようやく暑さが加わり始める)

 万物が次第に成

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表現再考:賀茂祭(葵祭)、旧暦四月一四日(卯月 中の酉)、(5月21日)

表現再考:賀茂祭(葵祭)、旧暦四月一四日(卯月 中の酉)、(5月21日)

 旧暦の頃、賀茂祭は、四月の中の酉の日に行われていました。

 古来続けられている祭のようにも思われがちですが、応仁の乱の後の文亀二年(1502年)に中絶し、元禄七年(1694年)に再興されています。

 日本の伝統を語る政治家は多いですが、戦乱こそが、伝統や歴史を途絶してしまうということを改めて考えてほしいものですね。

表現再考:卯月、中の申の日、旧暦四月十三日(5月20日)

表現再考:卯月、中の申の日、旧暦四月十三日(5月20日)

  日吉神社では山王祭りが行われますが、明治以前は、旧暦の四月の中の申の日に行われていました。日吉神社といえば、古来より日吉といえば猿といわれ、魔除けの象徴とされてきました。サルは勝るや魔が去るに通じ大変、縁起のいいものとされていたようです。

 日吉神社と猿といえば、豊臣秀吉の話が有名です。信長、秀吉、家康というと、信長は魔王、家康は狸親父と悪い評判は多いですが、信長が、焼き討ちした比叡山の再興

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展示紹介:林明日美 高橋岳人 展 5.24Fri. 〜6.2Sun. Gallery Face to FACE

展示紹介:林明日美 高橋岳人 展 5.24Fri. 〜6.2Sun. Gallery Face to FACE

Gallery Face to FACEで、林明日美、高橋岳人、二人展が開かれます。高橋さんはドローイング、林さんは版画の方です。

林明日美 高橋岳人 展
2024.5.24Fri. 〜6.2Sun.
5月28日火曜日・29日水曜日休廊
12:00 ~20:00
(最終日6/2は19:00まで)

どこか、北欧の風が吹くような予感のする展示になるのかもしれません。楽しみです。

林明日美さんへの

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画廊に行くようになって気がついたこと その49

画廊に行くようになって気がついたこと その49

 デジタルやAIに絡めて表現の身体性の話をしていましたが、デジタル技術の活用、パソコンのアプリを活用して、表現を行う際、あらわれる現象のひとつは、キリがなくなることのようです。

 原稿用紙に、手書きで文字をかいたり、手紙を書く場合、書き直すことはありますが、大きな間違いや問題がなければ、少々の見映えの悪さは目をつむって見きるものです。
 一人と書くか、ひとりと書くか、その部分だけ直すために全部を

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展示紹介: 「空珠」田中玲子 個展、5.26〜6.1 SAN-AIギャラリー

展示紹介: 「空珠」田中玲子 個展、5.26〜6.1 SAN-AIギャラリー

見上げた空の記憶を、蜻蛉玉の中に封じるごとく象る田中玲子さんが、個展をされます。

田中玲子 個展
空珠

2024年5月26日(日) ~ 6月1日(土)
12:00~18:30 / 日曜 12:00~18:00/月曜休 / 最終日〜17:00迄

SAN-AIギャラリー
〒101-0031
東京都千代田区東神田1-13-17 森ビル1F

展示紹介:コクテイル書房企画、世田谷ピンポンズ展『ポンチ!』5月9日から22日、・・5月18日、記念ライブ

展示紹介:コクテイル書房企画、世田谷ピンポンズ展『ポンチ!』5月9日から22日、・・5月18日、記念ライブ

コクテイル書房の本の長屋で、世田谷ピンポンズ展『ポンチ!』が開かれています。

世田谷ピンポンズさんは、フォークシンガーですが、彼の描くポンチ絵の展覧会です。まだ、日にちもありますので、高円寺にお寄りの際は是非。

5月18日には、記念ライブも開かれます。

5月18日(土)本の長屋『ポンチ!』
18時開場 18時半開演
投げ銭

御予約
setapon.boy.jp/?p=3441

画廊探訪も

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灌仏会、旧暦、四月八日(5月15日)

灌仏会、旧暦、四月八日(5月15日)

 お釈迦様が生まれた日は、旧暦四月八日と言われていますので、本来なら今日が、灌仏会にあたります。

 灌仏会は、花祭りともいわれてますが、甘茶をお釈迦様の像にかけますが、これは、天の神々が、香油をかけたことに由来するようです。

 アーユルヴェーダでは、油を使った治療があります。日本人には、油を日常的に使うのは刺激が多いとおもいますが、インドの風土には、しっくりくるものかもしれません。

 旧暦で

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【画廊探訪 No.172】わたしの中にあらわれるわたし――世田谷ピンポンズ絵画展『ポンチ!』に寄せて―― 

【画廊探訪 No.172】わたしの中にあらわれるわたし――世田谷ピンポンズ絵画展『ポンチ!』に寄せて―― 

わたしの中にあらわれるわたし
――コクテイル書房企画『ポンチ!』世田谷ピンポンズ絵画に寄せて―― 

襾漫敏彦

 むかし語りは「かの谷に、おのこありけり」という語りからよくはじまる。それは、そこにヌッと“おのこ”がでてくることだと、ある本に書いてあった。“ある”は存在をあらわすというが、その場にあらわれるという使い方もある。

 世田谷ピンポンズは、フォークシンガーである。彼は数年前から、細めの

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表現再考:衣更

表現再考:衣更

 中古、平安時代、宮中では、四月一日と十月一日を衣更の日としてきたそうです。
これは、旧暦のことですから、今年の旧暦、四月一日に当たるのは、5月8日です。ですから、衣替えというのは、立夏に応じた朔の日にあたります。

 衣更といっても、当時は、四季の衣装など無かったので、下着で調節していたそうで、室町以降に帷子をもちいたようです。
 ちなみに着物で、裏地のあるものが「袷(アワセ)」、一枚の布ででき

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展示感想: 山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」Gallery Face to Face その2

展示感想: 山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」Gallery Face to Face その2

Gallery Face to Face 、山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」感想その2です。

 河野志保さんは、DMの写真では、油絵かと想像していたのですが、基本的には、アクリル、油彩やミクストメディアを利用したコラージュの作家さんでした。

 様々な写像を、取り込んでは、自分のイメージを固めるように、デジタル機器を利用して組み合わせては作品の原型を作成していきます。そこから出力したも

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展示感想: 山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」その1

展示感想: 山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」その1

山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」に行って来ました。

 山内さんの作品は、子供の頃に住んでいた家が取り壊しになるということで、最後の姿を見に行ったことからインスパイアされた風景のシリーズです。

 

山内さんは、これまで、社会風刺や過去の名作をもとにした作品を作ってきました。

 それは、主観が投げ出された世界の表現でもありました。それは、作者の精神が作り出す風景画ともいえるでしょう。

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画廊に行くようになって気がついたこと その48

画廊に行くようになって気がついたこと その48

 デジタル技術による製作は、作者の肉体や具材の物質性の影響の残渣のようなものが残らないと説明してきました。

 作者が、イメージを創造するのですが、それを物質に固着する作業は、別のものが行うということです。

 建築士が、これから建てる家の設計図をつくるのですが、それを作っていくのは、大工さん達です。その作業における身体性は、大工さん達によるものになります。

 街路や地下道のタイルをみていると、

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