ほんのしょうかい:水谷雅彦『共に在ること――会話と社交の倫理学』〈『思想の科学研究会 年報 やまびこ』より〉
水谷雅彦『共に在ること――会話と社交の倫理学』(岩波書店、2022年)
本書は、(著者も述べているように)「人間的コミュニケーションの基底と実相を倫理学という観点から論じようとするもの」といえるだろう。テーマとしては、(副題にもあるように)「会話と社交」である。そして、本書で最も強く打ち出されているのは、(本書のタイトルでもある)「共に在ること」=「共在」(さらには、「共在感覚」)であろう。以下、本書の内容を要約することは別に譲り(たとえば、オンライン上でも読める工藤和男