マガジンのカバー画像

小説

42
各種、コンテストに応募したものもあります
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

鈍色の街 (掌編小説)

鈍色の街 (掌編小説)

彼が住んでいた街を通り過ぎる。
ハンドルを握る手が強ばる。
もう二度と来ることはないと思っていた。
来たくもなかった。だが、どうしても外せない用事があった為、仕方なかった。

スッキリとした秋晴れだ。
それなのに車窓から見える街は、どこかボヤけて
久美の目に映る。
湖に沈んだ街、とでも表現したらいいのか。
それは恐らく、もうここに彼、和也がいないから
以前とは違ってそう見えるのかもしれない。
街が

もっとみる