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うだ すいか
2020年7月15日 22:45
命は死ぬ時に完成するのだ、ということをはじめて意識したのは、高校2年生の夏の終わりだった。同級生が死んだ。心底好きだったバイクの事故だった。誰もが泣いた。例に漏れず私も泣いた。善いひとだった。誰にとっても、寸分違わず、善いひとだった。彼は愛されていた。文化祭前の浮かれた空気に重く色がかかった。まだ風のあつい、夏服が肌に張り付く季節だった。すすり泣きと読経の中で思った。この光景が人生の評価だ。人生は
2020年7月9日 22:18
私は呪われている。沢山の呪いをかけられている。言葉と認識は鎖みたいだ。大人になれば無くなるはずだった鎖がずっと巻き付いて、無くなる所か増えて行って雁字搦めで動けなくて、段々と息が出来なくなる。歳を重ねる度に溺れていくみたいだ。思春期の特権だと思っていたのに。呪いは無意識の言葉で、意識的な言葉で、無意識の視線で、意識的な視線で、或いは名前さえ知らない人に、或いは近しい人に、或いは自身に受けた。20数
2020年7月8日 23:02
随分沢山のものを失くして来た。失くして来たと思う。何を失ったかも覚えていないくらい、或いは小さなものだったのかもしれない。両手の指の隙間からぽろぽろと零れ落ちる様に。最初から持ってなどいなかった、持っていると錯覚していたものかもしれない。純粋な心で見ていた世界はどんなに綺麗だっただろう。何も知らないでかき集めた楽しいは、どれほど透明だっただろう。忘れたくなかった。忘れたくなんてなかった。朝の陽だま
2020年7月7日 23:31
好きなものの話がしたい。好きなものの話だけをしたい。或いは少年少女ならドクターペッパーでも片手に、或いは大人ならアルコールでも。何だっていい。好きな物の話がしたい。紫色が好きです。お寿司が好きです。背脂のぶかぶか浮いたラーメンが好きです。高架橋が好きです。音楽が好きです。アイドルが好きです。ろくな青春も無かったくせに、青春を歌うバンドが好きです。宇宙が好きです。眠ることが好きです。派手な髪色が
2020年7月6日 20:25
才能を食べたい。ありとあらゆる才能を食べたい。才能に恵まれた人が憎い。こんなはずではなかった。絵を描く人は魔法使いみたいだ。歌声のうつくしい人は魔法使いみたいだ。ものを書く人も、勉強ができる人も、かしこい人も、顔の整った人も、すらりと洋服の似合う人も、おいしい料理を作る人も、仕事のできる人も、足の速い人も、運動が得意な人も、誰からも愛される人も、誰かを愛せる人も、お金がある人も、努力ができる人も、
2020年7月4日 17:08
梅雨の真っ只中だ。1週間の殆どを、青の傘マークが占める。蒸し蒸しと不快な外気、どこにも行かないなんて無理な話で、適当にシャツをひっかけて朝8時、外に出る。社員証、ぼろぼろのパンプス、ドンキホーテで適当に買った安物の香水。そんな週5日のルーティンワークを淡々とこなすことで、年齢を感じていた。地元を出て5年目の7月。湿気で畦る髪。夏草の匂いが鼻をつく。ああ。今年も夏が来る。夏はずっと苦手
2020年7月3日 07:04
ぱっと映える青色は鮮やかで、輝くくらいに眩しい。眩むくらいのそれだ。青色はうつくしい。それが、青春の色だ。特権的な若さの色だ。生涯でいちばん眩しくて、甘酸っぱくて、それでいてもう戻れない色だ。お酒を飲むようになりました。煙草を吸うようになりました。会社に所属して、ほんの僅かなお金を貰うようになりました。税金を納める側になりました。友達の友達が結婚していく様を見ました。私は大人になっ