平山滋

言語聴覚士の平山と申します。 これまで、急性期病院、回復期病院、クリニック(訪問リハビ…

平山滋

言語聴覚士の平山と申します。 これまで、急性期病院、回復期病院、クリニック(訪問リハビリ)で働いてきました。 私は、新人の頃なかなか言語聴覚士の仕事を覚える事が出来ず苦労しました。 どのようにリハビリを進めていけば良いか分からない新人STを対象とした記事を書いてみようと思います。

記事一覧

ギャッチアップ30°は本当に有効か?嚥下障害を簡単に㉑

今回は、食事中の姿勢について考えていきます。嚥下障害の方にはギャッチアップが有効であることが多いですが、必ずしも全ての方に適しているわけではありません。そこで、…

平山滋
3日前

食事摂取後の注意点⚠️嚥下障害を簡単に⑳

今回は、食事摂取後に確認すべきポイントについてお話しします。確認するのは、①口腔内の残渣、②咽頭ゴロ音、③湿性嗄声、④食後の姿勢の4つです。 ① 口腔内残渣 食後…

平山滋
10日前

嚥下障害を簡単に⑲食事介助編

今回は、食事介助の方法についてお話ししていきます。食事介助で注意すべきポイントを、①食物の認知、②一口量、③スプーン操作、④次の一口を入れる前の確認、の4つに分…

平山滋
2週間前

嚥下障害を簡単に⑱食事介助編

今回は、食事介助について書いていこうと思います。嚥下障害のリハビリでは、以前紹介した課題特異性の考え方のように、食事を食べることで食べる機能は向上します。そのた…

平山滋
3週間前
1

第30回日本摂食嚥下リハビリテーション学術集会に参加してきました

今年は福岡での開催で、私は最終日のみの参加でした。台風の影響もありましたが、多くの方々が発表されており、大変勉強になりました🤔 特に印象に残ったのは、「摂食・嚥…

平山滋
1か月前
2

嚥下障害を簡単に⑰気管切開編

気管切開をしている方の経口摂取について 今回は、気管切開をしている方の経口摂取について書いていこうと思います。 気管切開での経口摂取の進め方 1. 早期にカニュー…

平山滋
1か月前

嚥下障害を簡単に⑯気管切開編

スピーチカニューレの抜管について 今回は、遂に③スピーチカニューレの抜管についてお話しします😄 カニューレの抜管までにはさまざまな手順が必要でしたが、これで最後…

平山滋
1か月前

嚥下障害を簡単に⑮気管切開編

前回は、①カフ付きの側孔なしカニューレから②カフ付き二重管スピーチカニューレへの移行について書きました。今回は②カフ付き二重管スピーチカニューレから③スピーチカ…

平山滋
1か月前

嚥下障害を簡単に⑭気管切開編

前回は、気管カニューレの種類について書きましたが、今回はどの順番で気管カニューレが変更されていくかについて書いていきます😄 カニューレ変更の順番 1. カフ付きの…

平山滋
2か月前
1

嚥下障害を簡単に⑬気管切開編

初めて気管切開の患者さんを担当した時、どのように関われば良いか悩みました💦そこで、今まで気管切開の患者さんに関わった経験や自分で調べたことをまとめていこうと思い…

平山滋
2か月前

嚥下障害を簡単に⑫食物認知編

今回も食物認知について書いてみようと思います。前回は、食物認知の問題と思っていても実は嚥下機能の問題である可能性についてお話ししました🤔今回は、食物認知が問題で…

平山滋
2か月前

嚥下障害を簡単に⑪食物認知編

今回は、食物認知について書いていこうと思います。認知症などの影響で嚥下機能は良さそうでも、なかなか食べてくれない患者さんに出会うことも多いと思います。ここでは、…

平山滋
2か月前

嚥下障害を簡単に⑩訓練編

今回は、喉の訓練法についてご紹介します。声門が閉まりづらく誤嚥のリスクがある方に対して、声門を閉める訓練を中心に挙げてみました。以下に挙げる訓練法は、比較的導入…

平山滋
2か月前
2

嚥下障害を簡単に⑨訓練編

今回は、咽頭の訓練法についてご紹介します。以下に挙げる訓練法は、比較的導入しやすいものばかりですので、ぜひ患者さんに適した方法を試してみてください🙆 ①開口訓練…

平山滋
3か月前
1

嚥下障害を簡単に⑧訓練編

前回は、私が訓練する上で意識している①過負荷の原理、②課題特異性について書きました。今回から具体的な訓練について述べていきます。まずは、評価で問題が口にあると思…

平山滋
3か月前
1

嚥下障害を簡単に⑦訓練編

前回までで、嚥下障害の評価に関して一通り終わりました。今回から、訓練に関してです。具体的な訓練方法に入る前に、私が意識している①過負荷の原理、②課題特異性につい…

平山滋
3か月前

ギャッチアップ30°は本当に有効か?嚥下障害を簡単に㉑

今回は、食事中の姿勢について考えていきます。嚥下障害の方にはギャッチアップが有効であることが多いですが、必ずしも全ての方に適しているわけではありません。そこで、ギャッチアップの*メリットとデメリットについてまとめてみました。

メリット
①送り込みが容易になる
  舌の動きに障害があり、送り込みが難しい方には、重力を利用することで、食物の送り込みを助ける可能性があります。

②解剖学的に誤嚥しに

もっとみる
食事摂取後の注意点⚠️嚥下障害を簡単に⑳

食事摂取後の注意点⚠️嚥下障害を簡単に⑳

今回は、食事摂取後に確認すべきポイントについてお話しします。確認するのは、①口腔内の残渣、②咽頭ゴロ音、③湿性嗄声、④食後の姿勢の4つです。

① 口腔内残渣

食後に口腔内の残渣を確認することは非常に重要です。残渣がそのままになっていると、咽頭に流れ込んで誤嚥するリスクがあります。口の中は暗くて見えにくいので、可能であればペンライトを使用して確認しましょう。残渣が見つかった場合は、うがいやスポン

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑲食事介助編

嚥下障害を簡単に⑲食事介助編

今回は、食事介助の方法についてお話ししていきます。食事介助で注意すべきポイントを、①食物の認知、②一口量、③スプーン操作、④次の一口を入れる前の確認、の4つに分けてまとめてみました😊

①食物の認知
まず、何を食べているかを患者さんにしっかり認知してもらう必要があります。そのために、食べ物をよく見てもらったり、匂いを嗅いでもらうなど、五感を刺激することが大切です。

②一口量
嚥下障害がある方

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑱食事介助編

嚥下障害を簡単に⑱食事介助編

今回は、食事介助について書いていこうと思います。嚥下障害のリハビリでは、以前紹介した課題特異性の考え方のように、食事を食べることで食べる機能は向上します。そのため、適切な食事介助は非常に重要です🙆 まずは、食事を始める前の準備についてお話しします。

①食べる環境作り  
食事の時間になったら、いきなりベッドから起こすのではなく、少し前に起こして「これから食事の時間だ」ということを意識してもらう

もっとみる
第30回日本摂食嚥下リハビリテーション学術集会に参加してきました

第30回日本摂食嚥下リハビリテーション学術集会に参加してきました

今年は福岡での開催で、私は最終日のみの参加でした。台風の影響もありましたが、多くの方々が発表されており、大変勉強になりました🤔

特に印象に残ったのは、「摂食・嚥下障害を支える京のまちづくり」という講演です。講演ではまず、障害とは個人と環境のミスマッチであるという話があり、具体的にどのように環境を変えていくかについてお話しされました。

伝統のある料亭や酒造、お茶屋、大学などと連携し、飲み込み

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑰気管切開編

嚥下障害を簡単に⑰気管切開編

気管切開をしている方の経口摂取について

今回は、気管切開をしている方の経口摂取について書いていこうと思います。

気管切開での経口摂取の進め方

1. 早期にカニューレの抜管が見込まれる場合
  カニューレの刺激が分泌物を増加させている場合は、経口摂取に先行してカニューレの抜去を目指します。

2. カニューレの抜管が困難な場合
  一方向弁(スピーチバルブ装置)を使用して経口摂取を行います

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑯気管切開編

嚥下障害を簡単に⑯気管切開編

スピーチカニューレの抜管について

今回は、遂に③スピーチカニューレの抜管についてお話しします😄 カニューレの抜管までにはさまざまな手順が必要でしたが、これで最後になります。

抜管するための条件

スピーチカニューレの状態と比較して、抜管後は吸気も口や鼻から行う必要があります。そのため、抜管前に十分な準備と確認が求められます。

抜管する手順

私が勤めていた病院では、スピーチカニューレの状態

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑮気管切開編

嚥下障害を簡単に⑮気管切開編

前回は、①カフ付きの側孔なしカニューレから②カフ付き二重管スピーチカニューレへの移行について書きました。今回は②カフ付き二重管スピーチカニューレから③スピーチカニューレへの変更についてお話しします😄

変更するための条件

スピーチカニューレはカフがついていないため、唾液誤嚥がないこと、または誤嚥しても自己喀出ができることが必要です。唾液誤嚥の確認については、前回の記事でも説明したように、カフの

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑭気管切開編

嚥下障害を簡単に⑭気管切開編

前回は、気管カニューレの種類について書きましたが、今回はどの順番で気管カニューレが変更されていくかについて書いていきます😄

カニューレ変更の順番

1. カフ付きの側孔なしカニューレ
2. カフ付き二重管スピーチカニューレ
3. スピーチカニューレ
4. レティナカニューレ
5. 抜管

※レティナカニューレは使用されずに抜管される場合や、全ての手順を経ずに抜管される場合もあります。

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑬気管切開編

嚥下障害を簡単に⑬気管切開編

初めて気管切開の患者さんを担当した時、どのように関われば良いか悩みました💦そこで、今まで気管切開の患者さんに関わった経験や自分で調べたことをまとめていこうと思います。今回は、気管切開の種類について書いていきます。
※私が担当した患者さんが利用していたことが多いKOKENのカニューレについて解説します🙇

①カフ付きの側孔なしカニューレ
気管切開後の最初のカニューレとしてよく使用されます。吸気も

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑫食物認知編

嚥下障害を簡単に⑫食物認知編

今回も食物認知について書いてみようと思います。前回は、食物認知の問題と思っていても実は嚥下機能の問題である可能性についてお話ししました🤔今回は、食物認知が問題であった場合の対応について書いていきたいと思います🫡

①環境調整
環境調整の大切さについては、訪問リハビリを行うようになってから特に実感するようになりました。病院で食べなかった認知症の患者さんが、自宅に帰ると食べ始めるという経験を多くし

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑪食物認知編

嚥下障害を簡単に⑪食物認知編

今回は、食物認知について書いていこうと思います。認知症などの影響で嚥下機能は良さそうでも、なかなか食べてくれない患者さんに出会うことも多いと思います。ここでは、どのような時に食物認知ができていないと評価するかを考えてみます🫡

食物認知ができていないと考えられる場合

1. 食べ物を見ても口を開けない
2. 食べ物を口に入れたまま口が全く動かない
3. ずっと咀嚼していて、なかなか飲み込まない

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑩訓練編

嚥下障害を簡単に⑩訓練編

今回は、喉の訓練法についてご紹介します。声門が閉まりづらく誤嚥のリスクがある方に対して、声門を閉める訓練を中心に挙げてみました。以下に挙げる訓練法は、比較的導入しやすいものばかりですので、ぜひ患者さんに適した方法を試してみてください🫡

①プッシング・プリング訓練

壁を押したり、肘掛けを引っ張ったりしながら強く発声することで、声帯の内転を強化し誤嚥を防止する訓練です。やり過ぎると声帯を痛めてし

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑨訓練編

嚥下障害を簡単に⑨訓練編

今回は、咽頭の訓練法についてご紹介します。以下に挙げる訓練法は、比較的導入しやすいものばかりですので、ぜひ患者さんに適した方法を試してみてください🙆

①開口訓練
最大開口位で行う訓練です。(10秒の開口持続→10秒休息)を5回行い、これを2セット、4週間続けることで効果があると報告されています。簡単な指示しか入らない方でも実施できる場合が多い印象です。

②頭部挙上訓練
有名な訓練法ですが、原

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑧訓練編

嚥下障害を簡単に⑧訓練編

前回は、私が訓練する上で意識している①過負荷の原理、②課題特異性について書きました。今回から具体的な訓練について述べていきます。まずは、評価で問題が口にあると思うなった場合についてです。口の中でも、①唇、②舌、③下顎など特に問題の点が分かれば、そこを中心にアプローチしていきましょう。

①唇
「イー」と横に唇を引く、「ウー」と唇を突出する、「ンー」と唇を閉じる運動を行います。もし、中枢性の顔面神経

もっとみる
嚥下障害を簡単に⑦訓練編

嚥下障害を簡単に⑦訓練編

前回までで、嚥下障害の評価に関して一通り終わりました。今回から、訓練に関してです。具体的な訓練方法に入る前に、私が意識している①過負荷の原理、②課題特異性について述べていきます🫡

①過負荷の原理
筋トレをされている方は、詳しいと思いますが、日常生活活動よりも大きな負荷でトレーニングを行う事で効果が得られる事です。
ある書籍によれば、発声発語•嚥下関連筋に関しては、出来るだけ強いと感じる強度で5

もっとみる