平山滋

言語聴覚士の平山と申します。 これまで、急性期病院、回復期病院、クリニック(訪問リハビ…

平山滋

言語聴覚士の平山と申します。 これまで、急性期病院、回復期病院、クリニック(訪問リハビリ)で働いてきました。 私は、新人の頃なかなか言語聴覚士の仕事を覚える事が出来ず苦労しました。 どのようにリハビリを進めていけば良いか分からない新人STを対象とした記事を書いてみようと思います。

最近の記事

嚥下障害を簡単に⑰気管切開編

気管切開をしている方の経口摂取について 今回は、気管切開をしている方の経口摂取について書いていこうと思います。 気管切開での経口摂取の進め方 1. 早期にカニューレの抜管が見込まれる場合 カニューレの刺激が分泌物を増加させている場合は、経口摂取に先行してカニューレの抜去を目指します。 2. カニューレの抜管が困難な場合 一方向弁(スピーチバルブ装置)を使用して経口摂取を行います。 ※経口摂取を開始するには、唾液嚥下が可能であること、カフ上の吸引物が少ない

    • 嚥下障害を簡単に⑯気管切開編

      スピーチカニューレの抜管について 今回は、遂に③スピーチカニューレの抜管についてお話しします😄 カニューレの抜管までにはさまざまな手順が必要でしたが、これで最後になります。 抜管するための条件 スピーチカニューレの状態と比較して、抜管後は吸気も口や鼻から行う必要があります。そのため、抜管前に十分な準備と確認が求められます。 抜管する手順 私が勤めていた病院では、スピーチカニューレの状態で呼吸や痰の量などが安定していれば、医師の判断で抜管されることが多かったですが、こ

      • 嚥下障害を簡単に⑮気管切開編

        前回は、①カフ付きの側孔なしカニューレから②カフ付き二重管スピーチカニューレへの移行について書きました。今回は②カフ付き二重管スピーチカニューレから③スピーチカニューレへの変更についてお話しします😄 変更するための条件 スピーチカニューレはカフがついていないため、唾液誤嚥がないこと、または誤嚥しても自己喀出ができることが必要です。唾液誤嚥の確認については、前回の記事でも説明したように、カフの上に唾液が貯留しているかを確認します。 変更する手順 カフ付き二重管スピーチカ

        • 嚥下障害を簡単に⑭気管切開編

          前回は、気管カニューレの種類について書きましたが、今回はどの順番で気管カニューレが変更されていくかについて書いていきます😄 カニューレ変更の順番 1. カフ付きの側孔なしカニューレ 2. カフ付き二重管スピーチカニューレ 3. スピーチカニューレ 4. レティナカニューレ 5. 抜管 ※レティナカニューレは使用されずに抜管される場合や、全ての手順を経ずに抜管される場合もあります。 今回は、全ての手順を経た場合について説明する予定ですが、まずは①カフ付きの側孔

        嚥下障害を簡単に⑰気管切開編

          嚥下障害を簡単に⑬気管切開編

          初めて気管切開の患者さんを担当した時、どのように関われば良いか悩みました💦そこで、今まで気管切開の患者さんに関わった経験や自分で調べたことをまとめていこうと思います。今回は、気管切開の種類について書いていきます。 ※私が担当した患者さんが利用していたことが多いKOKENのカニューレについて解説します🙇 ①カフ付きの側孔なしカニューレ 気管切開後の最初のカニューレとしてよく使用されます。吸気も呼気も気切孔から行われます。また、カフがあり側孔がないため、唾液誤嚥がしにくい構造に

          嚥下障害を簡単に⑬気管切開編

          嚥下障害を簡単に⑫食物認知編

          今回も食物認知について書いてみようと思います。前回は、食物認知の問題と思っていても実は嚥下機能の問題である可能性についてお話ししました🤔今回は、食物認知が問題であった場合の対応について書いていきたいと思います🫡 ①環境調整 環境調整の大切さについては、訪問リハビリを行うようになってから特に実感するようになりました。病院で食べなかった認知症の患者さんが、自宅に帰ると食べ始めるという経験を多くしました。要因としては、部屋の雰囲気や介助者、料理、食器の種類などが考えられますが、元

          嚥下障害を簡単に⑫食物認知編

          嚥下障害を簡単に⑪食物認知編

          今回は、食物認知について書いていこうと思います。認知症などの影響で嚥下機能は良さそうでも、なかなか食べてくれない患者さんに出会うことも多いと思います。ここでは、どのような時に食物認知ができていないと評価するかを考えてみます🫡 食物認知ができていないと考えられる場合 1. 食べ物を見ても口を開けない 2. 食べ物を口に入れたまま口が全く動かない 3. ずっと咀嚼していて、なかなか飲み込まない 1と2の場合、食物認知ができていないと判断しやすいです。 3に関しては、悩むこ

          嚥下障害を簡単に⑪食物認知編

          嚥下障害を簡単に⑩訓練編

          今回は、喉の訓練法についてご紹介します。声門が閉まりづらく誤嚥のリスクがある方に対して、声門を閉める訓練を中心に挙げてみました。以下に挙げる訓練法は、比較的導入しやすいものばかりですので、ぜひ患者さんに適した方法を試してみてください🫡 ①プッシング・プリング訓練 壁を押したり、肘掛けを引っ張ったりしながら強く発声することで、声帯の内転を強化し誤嚥を防止する訓練です。やり過ぎると声帯を痛めてしまう可能性があるため、可能であれば内視鏡で正しい運動ができているか確認することをお

          嚥下障害を簡単に⑩訓練編

          嚥下障害を簡単に⑨訓練編

          今回は、咽頭の訓練法についてご紹介します。以下に挙げる訓練法は、比較的導入しやすいものばかりですので、ぜひ患者さんに適した方法を試してみてください🙆 ①開口訓練 最大開口位で行う訓練です。(10秒の開口持続→10秒休息)を5回行い、これを2セット、4週間続けることで効果があると報告されています。簡単な指示しか入らない方でも実施できる場合が多い印象です。 ②頭部挙上訓練 有名な訓練法ですが、原法は高負荷であるため、難しいと感じる方も多いでしょう。頭部挙上テストを行い、最大負

          嚥下障害を簡単に⑨訓練編

          嚥下障害を簡単に⑧訓練編

          前回は、私が訓練する上で意識している①過負荷の原理、②課題特異性について書きました。今回から具体的な訓練について述べていきます。まずは、評価で問題が口にあると思うなった場合についてです。口の中でも、①唇、②舌、③下顎など特に問題の点が分かれば、そこを中心にアプローチしていきましょう。 ①唇 「イー」と横に唇を引く、「ウー」と唇を突出する、「ンー」と唇を閉じる運動を行います。もし、中枢性の顔面神経麻痺であれば、健側を抑制し麻痺側のみ動かすCIセラピーが有効と思われます。(末梢

          嚥下障害を簡単に⑧訓練編

          嚥下障害を簡単に⑦訓練編

          前回までで、嚥下障害の評価に関して一通り終わりました。今回から、訓練に関してです。具体的な訓練方法に入る前に、私が意識している①過負荷の原理、②課題特異性について述べていきます🫡 ①過負荷の原理 筋トレをされている方は、詳しいと思いますが、日常生活活動よりも大きな負荷でトレーニングを行う事で効果が得られる事です。 ある書籍によれば、発声発語•嚥下関連筋に関しては、出来るだけ強いと感じる強度で5秒持続✖️5回✖️◯セットを推奨されており私も負荷量を考える上で参考にしています。

          嚥下障害を簡単に⑦訓練編

          嚥下障害を簡単に⑥喉編

          前回は経口摂取時の咽頭の評価について簡単なポイントを書きました。 今回は、喉の評価になります。具体的には①声、②咳を確認します。 ①声 会話や声を出してもらった際の声質を確認しましょう。気息性嗄声があれば、声門が開いている可能性があり誤嚥のリスクがあります。 ②咳 意図的に咳をしてもらっても良いですし、唾液や食事でムセた時に確認しても良いのですが、咳の強さを確認してみましょう。主観にはなりますが、咳の強さで声門をしっかり閉められるか予想できると思います。 以上のように①

          嚥下障害を簡単に⑥喉編

          嚥下障害を簡単に⑤咽頭編

          前回は咽頭の食べ物を用いない評価について書きました。今回は、経口摂取時の咽頭の評価について簡単なポイントを書いていきます。 経口摂取した際の①嚥下反射の有無、②湿性嗄声、③咽頭ゴロ音、④ムセの有無を確認します。評価のポイントは、前回書いた食品を用いない評価のポイントにも似ていますね。 ①嚥下反射の有無 食べた時に嚥下反射の有無は重要です。可能であれば喉に指をあてて、喉が挙上しているか確認しましょう。時々、口の中をみて、なければ飲み込んでいると思われる方もいますが、咽頭に流入

          嚥下障害を簡単に⑤咽頭編

          嚥下障害を簡単に④咽頭編

          前回は嚥下障害の口について評価を書きました。今回は咽頭について食べ物を用いない評価です。器具などを用いない簡単な評価を書いていこうと思います。 食品を用いないため、唾液や痰の状態で確認していきます。具体的には、①唾液嚥下の有無、②湿性嗄声、③咽頭ゴロ音、④唾液や痰でのムセの有無を確認します。また、これらの項目は、指示が入らない方や覚醒が低下している方にも適応すると思います。 ①唾液嚥下の有無 安静時に唾液嚥下が見られるか、または、スポンジブラシなどで、口腔ケア時に口腔を保湿

          嚥下障害を簡単に④咽頭編

          嚥下障害を簡単に③👄編

          前回は、「口」をみるポイントをお伝えしましたが、今回は物を食べる際の「口」をみるポイントをお伝えしたいと思います。 食べる際に口を使う動作は、①物を唇でとりこむ捕食、②歯で噛む咀嚼、そして③舌などを使って飲み込みやすい形にして、④舌で咽頭に送ります。 ①物を唇でとりこむ捕食 唇をとじて食べ物をとりこみますが、上手くいかないと食べこぼしがみられる事があります。 ②歯で噛む咀嚼 食べ物を歯で噛切ったり、すり潰したりして細かくしていきます。上手くいかないと、咀嚼した後も食べ物

          嚥下障害を簡単に③👄編

          嚥下障害を簡単に②👄編

          前回、嚥下障害を「口」、「咽頭」、「喉」のどに分けて考えるとわかりやすいのではないかと提案しました。 今回は、「口」の評価について書いてみます。評価と言っても、その場でできる簡単なものばかりです😊 ①顔をみる②発話をきく③口を動かすの順番でみていきましょう。 ①顔をみる 顔みると様々な情報が分かりますね。例えば口角下垂や鼻唇溝がなければ顔面神経麻痺の可能性、口が開いていれば、閉口する筋肉が弱い可能性(口呼吸になってるかもしれないですが...)を考えられます。 ②発話を

          嚥下障害を簡単に②👄編