マガジンのカバー画像

✈️️️️⛅️

15
運営しているクリエイター

#エッセイ

10年、節目の片道切符

10年、節目の片道切符

アメリカに行く。大それた野望も、勝算も、企みも、あったわけじゃない。無鉄砲だった。ただ「何かを変えなければ」と焦りだけがあった。駆け抜けた20代の終わり。住み慣れた地元の街。積み重ねてきたものをすべて投げ出そうとするぐらいには追い立てられていた。

何から?それがうまく言えたらよかった。秘密を抱えた家族との会話とか、景色に染み付いた失恋の記憶とか、何を得ても褪せない飢餓感とか。私にしか、いや私にす

もっとみる
モアイに愛を込めて

モアイに愛を込めて

 今日も外はザァザァと雨が降っている。

 ここ最近、ずっと私が住んでいる場所では雨が降っていた。雨の音は好きだけど、実際に雨の中でどこかへ行こうと思うとなかなか辛いものがある。室内から雨が降り荒ぶ景色を見ていたら、はるか彼方へと遠ざかった昔の記憶が思い起こされた。

*

*

*

 私が小学校に入ったばかりの頃、世は第何次ブームになるかわからない空前のオカルトブームが到来していた。私が覚えて

もっとみる
早く行きたいなら1人で。遠くへ行きたいならみんなで。

早く行きたいなら1人で。遠くへ行きたいならみんなで。

 タイトルは、アフリカのことわざ。

 大好きな言葉。好きすぎて、自宅の窓ガラスに、白インクで描いた。

 5年前、同じタイトルのnoteも書いた(忘れてた)。けれど、今回はまったく違う視点で、この言葉をかみしめている。

 今年の春から、南へ行くことになった。鹿児島だ。北海道から、鹿児島へ、気候も伝統もまったくちがう土地で、またゼロから、新しい生活を始める。

 転職も引っ越しも、まったく想定し

もっとみる
生活をサボるな。とインド人に叱られた私が、世界一周を経て出した答え

生活をサボるな。とインド人に叱られた私が、世界一周を経て出した答え

「2019年を飾るnote20選」の1つに選んでいただいた、こちらの記事を書いてからもう少しで一年が経つ。

ワーカホリック。

炊事・洗濯・家事、面倒なことは全て外注したらいいと思っていた。

そんな私が、インド人のおじさんに「生活をサボるな」と叱られて「人生は仕事だけじゃない。生活にも目を向けて、ちゃんと自分の時間を生きたい」と思った。という話。

あのnoteを書いたのはちょうど去年の八月だ

もっとみる
女子高生はオーストラリアで寿司を握った。

女子高生はオーストラリアで寿司を握った。

娘が留学している。その自炊事情が面白いのでここに書きたい。

(トップ画像は留学中に美術の授業で彼女が描いたもの)

・・・・・・

留学先はオーストラリアだ。

娘は高校生なので、出発前に事務局から招集され親も一緒に説明を受けた。留学生を世話した経験が豊富な担当者に言わせればこうだ。

「日本ほど親が手厚い国はありません。海外で日本と同じ家庭生活が送れるとは思わないで下さい」

日本の親は過保護

もっとみる