- 運営しているクリエイター
#大学生活
エッセイ:大ちゃんは○○である⑳
大学の退学手続きは驚くほどあっさりしたものだった。
義務教育ではないとはいえ、おそらく高校で退学届を提出するとなったら
担任なり、学年主任なりに呼び出され
「どうしたんだ?何があったんだ?」
「考え直したらどうだ?」なんて言葉をかけられるんじゃないだろうかと思うのだが
退学届を大学の学生課に持っていった時
そこそこの緊張をしていた僕が
「すみません、退学を希望しますのでよろしくお願いいたします。」
エッセイ:大ちゃんは○○である⑲
「は…?えっ…?もしかして…トシか!?」
タケちゃんはびっくりした様子で紳士の名前を呼んだ。
トシと呼ばれた紳士もまた、びっくりした様子でタケちゃんを見つめていた。
そんな2人を見ながら僕も大層びっくりしたわけだが
まさかの2人が知り合いという現実にただただ驚くばかりだった。
『この2人が知り合いって、どんな繋がりなんだよ。まさか!タケちゃんも怖い人だったの!?』
そうとでも考えない限り、この強面
エッセイ:大ちゃんは○○である⑱
誰かを待ってる時のドキドキって普通は嬉しいものであるはずだし、そうであってほしい。
どんな顔して来るんだろうな?スキップしてきたりするのかな?はちきれんばかりの笑顔で駆け寄ってきてくれたら嬉しいな。
そんなことを考えながら到着を待ちたいものだが、今回ばかりはそんなことを考える余裕なんて微塵もない。
もしも、社長がスキップしながら現れたり、はちきれんばかりの笑顔で駆け寄ってきたとしたら……
いやいや
エッセイ:大ちゃんは○○である⑰
「親父ぃー、親父ぃー!大丈夫ですかー!?」
上下ジャージ男の大声が鼓膜を震わせ、僕はハッと我に帰った。
そうだった。もう一回火を点けてみろと言われて、つまみを回したら勢いよく火が立ち上ぼって
紳士のおでこ、前髪あたりを直撃したんだった。
これは現実なんだ。ほっぺたをつねるまでもない。
間違いなく僕は『やっちゃったんだ』と理解した。
「おい、こらぁ!お前どうしてくれんだぁー!」
上下ジャージ男は素早
エッセイ:大ちゃんは○○である⑯
ガスコンロのつまみに手をかけた。
火をつけるため、つまみを左に回す。
カチッっと音がしたが、火はつかなかった。
『あれ?』と思ったが、まあまあよくあることだ。
「すみません、失礼しました。」と伝え、
気を取り直し、もう一度つまみを左に回して点火を試みる。
しかし…またも火はつかなかった。
『なんでだ?なんで点かないんだ?』
焦りからか、脂汗が頬を伝い脇が湿りだす。
「おいおいおい、大丈夫かよ。しっ
エッセイ:大ちゃんは○○である⑮
「お待たせ致しました。ご注文お決まりでしょうか?」
3人が待つテーブルに到着した僕は落ち着いた声を意識して問いかけた。
「とりあえず生中が2つとレモンサワー1つ。それから肉は…」
上下ジャージ姿の男はメニュー表を見ながら次々と肉の種類を読み上げていく。
僕はオーダーをとりながら
『おいおいおいおい、まじかよ。。夜中にどんだけの量食べんのよ。。牛2頭食べる気かよ。』と思ってしまったが、もちろん表情に
エッセイ:大ちゃんは○○である⑭
「少々お待ちいただいてよろしいでしょうか?」
そう言って僕は厨房へと走った。
「店長!今お客様3人来店されたんですが、ちょっと高圧的な感じの方達でして、対応お願いしてもよろしいですか?」
短~い距離しか走ってないのに、少し息が切れていたと思う。
「そっか。分かった。じゃあ、とりあえず15番の席にご案内して。」
店長は言った。
『えっ、案内しちゃうの?店長行ってくれないの?』
と思ったが、あまりあの
エッセイ:大ちゃんは○○である⑪
『えっ…?ぼ、僕?なになになになに?怖いんですけど…』
ドクドクドクと鼓動を早め出す心臓。なぜにこの強面のお父様は僕を探しているのか?
まさか!?あれがバレたのか!?
いやいやいやいや、あれも何もやましいことなんて一切何もない。
さやかとももちろん何もない。お父様が僕を探す理由なんてあるはずがない。
人間、『分からない』ことというのは本当に怖いものだ。
意を決して、お父様に向かって歩を進めてみた。
エッセイ:大ちゃんは○○である⑨
大学生当時、アルバイトにも精を出した。
何せ、生活費やらサークルでの活動費やら交際費やらで、節約しても節約しても何かと出費はかさむものだ。
教科書が異常に高かった記憶もある。
『この講義を受けるのに、教授が書いたこの教科書を買って下さい。教科書に沿って講義は進んでいきますので。』なんて言われると買わないわけにはいかない。
それでまたその教科書というのが、大きな声では言えないがべらぼうに高いのだ。共
エッセイ:大ちゃんは○○である⑧
歌がうまい人の後に歌うというのは何とも嫌なものだ。
そんなに期待なんてされていないはずなのに、なぜだか勝手に自分でハードルを上げてしまう。
普段はバラードを歌うのが好きなので、バラード系でいこうかなと思ったが、
『いや、ちょっと待てよ。バラードなんてモロに実力分かっちゃうし、何より今のこの雰囲気に合ってないような気がする。』と思い、
12秒ほどの熟考の末、ここは一発ノリで乗り切ろうとブルーハーツの