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エッセイ:大ちゃんは○○である⑮

「お待たせ致しました。ご注文お決まりでしょうか?」
3人が待つテーブルに到着した僕は落ち着いた声を意識して問いかけた。
「とりあえず生中が2つとレモンサワー1つ。それから肉は…」
上下ジャージ姿の男はメニュー表を見ながら次々と肉の種類を読み上げていく。
僕はオーダーをとりながら
『おいおいおいおい、まじかよ。。夜中にどんだけの量食べんのよ。。牛2頭食べる気かよ。』と思ってしまったが、もちろん表情になんて出すことはせず
あくまで冷静に淡々と丁寧に注文を書いていった。
全てのオーダーをとり終わり、復唱して確認をした僕は
「それでは、少々お待ちくださいませ。失礼致します。」
と言って、厨房へと戻った。
厨房に戻ると本日の最後のお客様になるはずだったお客様がちょうど会計を済ませたところで
出入口に向かって歩いているところだった。
「ありがとうございましたー。」
大きな声でそう言いながら、出入口まで駆けていき再度
「ありがとうございましたー。」とお辞儀をして、お客様を見送った。
そして、すぐに厨房にいる2人に今しがたとった長州と藤波が食べるぐらいの量のオーダーを読み上げていく。
「そんなに!?」
さすがの量に店長とマコさんも驚いていたが、すぐに準備に取りかかり始めた。
僕は飲み物の準備をする為グラスを出して、レモンサワーを作りサーバーからビールを注いでいく。
「先に飲み物行きます!」
「あいよ!」
慌てず急いで慎重に小走りで、飲み物を運ぶ。
「お待たせ致しました。生中2つとレモンサワーになります。あっ、ただいま火の方つけさせていただきますのでよろしいでしょうか?」
こう言って、火をつけようとしたわけだが
これが恐怖の幕開けになろうとは、その時の僕は知る由もなかった。

つづく

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