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大学の話

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2020年7月の記事一覧

民族と民俗(アンソロポロジーとは) その二

民族と民俗(アンソロポロジーとは) その二

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「アンソロポロジーとは」シリーズの第二回です。こんなタイトルをつけると、それを見ただけでもう縁のない話だと思われる方がいらっしゃると思いますが、実はそうでもありません。民族学、民俗学、人類学の専門家ではない人びとに読んでもらおうと思って書いているのがこの文章です。

自分もそんな学問においては門外漢ですから

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こじらせた井蛙にはどんな声も届かない

 井の中の蛙大海を知らず、誰でも知っている。大学教員を何年もしていれば、学生さんが「井の中の蛙」だなぁと思う事もある。でも、これまでずっとそれでいいのだと思ってきた。自分だってそうだ。この年になっても研究者なんぞやっているのだから私も「井の中の蛙」の一匹だ。世間知らずで、自分の研究分野にばかり性を出して、こんなコロナで大変な時も、面白い論文を見つけてしまえば講義の準備と会議資料の作成をすっ飛ばして

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Liberal Arts についての雑駁な思考

仕事柄、教養教育を扱っているものだから「教養」ってなんなのかをずっと考えていて。
別ラインで人生哲学として「詩」のことをずっと考えていて。

そうしているうちに、大学の自由七科がなぜ自由七科なのか、なぜ自由なのか、なぜあの七科なのか、ぽろっとわかったような気がした今日。
そういうことか、と思うけれど、うまく説明はできない。勘違いかもしれない。
ちょっとしばらくもぐもぐしたい。「これ」をしばらくどう

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脆弱性を守れるか

まったくなんともならないこと、簡単には行かないこと、というのはあるものだ。

たとえばハラスメント系の問題。
一般的な職場としてよくある対処方法としては、所属替えをして当事者たちを引き離すとか、仕事を外す、などだと思うが、大学だとその難易度が一気に上がる。
科目はその教員本人とその教員を含めた人員ありきで組まれているので、人を外してもその人を置く先がないし、外した穴を埋める人もいない。
代替教員で

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詩と大学と私、そのorigin

高校のころ、私にはやりたい学問があった。

大まかに言うと、ある文化圏の古典の詩について。どういうことを意識して過去の人は詩を作っていたのか。「いい詩」というのがあるとすれば、それはなんなのか。そういうことに興味があった。
私が、いいな、好きだな、と思ったことの必然性というか、理由みたいなのを確かめたかった。

きっかけはとある外国映画で、物語の核として詩の朗読シーンがあった。吹替版でもたしかそこ

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