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ハナムラ タケ子
2022年11月20日 06:57
わたしの日常といったら、本当に冴えないものである。毎日時間が来たら会社へ行き、1日中パソコンの画面と向き合う。皆の様子を窺いながら、時間になればお昼休憩をとる。お昼休憩が終わったら、銀行の窓口が閉まる15時ごろまでに両替に行く。常に空調が効いてブラインドが下がった部屋の中は、暑いのか寒いのかもわからない。スイッチを切らない限り、LEDの煌々とした人工的な光のもとで働いているので、太陽がいつ沈む
2022年8月15日 06:24
自分の人生、全然進んでいないんじゃないのか。時々、そう思ってしまう。決まって仕事終わり、くたくたになった夜だ。考えることがなくなった、夜だ。これがあふれ出てしまうと良くないことがわかっているから、あわててその気持ちに蓋をしようとするのだけど、疲れがたまっているとうまく蓋ができない。そんな時に少しでも自分をごまかしたり、なだめたりするために入るのが、コンビニだ。わたしは夜のコンビニが
2022年5月8日 09:15
今日嫌なことがあった。誰かに愚痴を言いたい。共感してほしい。相談した。幼い頃の相談相手は親しかいなかった。「そんなんあんたが悪いねんやろ」というのが、いつも返ってくる答えだった。あぁ、そうか、集団でうまくできないわたしが悪いのか、と思った。勉強も運動も飛び抜けたものがなく、最後から数えたほうが早いわたしが悪いのか、と。なぜか、女子のコミュニケーションのなかのいざこざでやっ
2021年6月5日 14:29
じつをいうと、わたしは旅行をするのが得意ではない。それは準備にとても時間がかかる、変に心配性で荷物が重くなる、枕が変わると眠れない、団体行動が苦手など、ジコチュウなどうしようもない理由からだ。家族だとまだ理解してくれるところもあるのでいいけれど、他ではそうもいかない。ひとりで勝手に気を遣い、ひとりで勝手に疲れてしまうのである。気を遣うのであればひとりで行けばいいじゃん、と言われそうだけど、そういう
2021年2月7日 20:42
幼い頃から、両親や周りの人に、「あなたは恵まれているのよ」と言われて育った。確かに間違いではないと思う。お金持ちではなかったけれど、それなりに教育を受けさせてもらえたし、衣食住に不自由せずに育ったと思う。けれどもなんだろう、「恵まれている」という言葉に、正直時々苦しめられる時がある。見る人から見たら、わがままなのだと思う。贅沢なのだと思う。恵まれているのに、苦しむなんて。けれど、ある
2021年5月5日 08:24
職場の休憩室のテーブルに、ヘルメットが置かれている。子ども用の自転車のヘルメットだ。ごろっとまるっとしたフォルムのそれは、ピンク色で、とてもかわいらしい。鍵付きのロッカーとテーブルしか置いていない、殺風景な休憩室に、このヘルメットは場違いだ。けれど、なんだかちょっとくすっ、と場をなごませてくれる、そんな力を持っている。これは2月から産休明けで復帰した人のものだろう。時短で4時までの勤務。今は3
2020年10月20日 10:23
面倒くさいひとだ、と自分で自分のことをいつも思う。周りに合わせてふんふん、と言っておけば済むものを、笑っておけばいいものを、それが出来ない。他の女の子みたいに、「すご〜い!さすが!」なんて言っとけば、上司は機嫌良くしてくれるのに、それが出来ない。システムに従っておけばいいものを、それに対していちいち疑問を持つ。これはどういうことなのか、なんでこうなったのか、とひどいときには全ての理由と過程を聞いた
2020年8月25日 20:54
仕事をして、「ただいまあ」と家に帰ると、すでに部屋が涼しくて心地いい。ラジオをつけて、部屋着に着替える。「今日も疲れたあ」と急いでご飯の準備にとりかかる。といっても、今日はとてもらくちんご飯で、魚の南蛮漬けをすでに朝、作っていた。あとは、インスタントのお味噌汁と、ひじき煮。「いただきます」と言って手を合わせる。「おいしいねえ、いい感じ。また今度作ろうか」と言いながら、もぐもぐ食べ
2020年8月31日 22:31
日曜日。家で寝転びながら、青空にもくもくと浮かぶ白い入道雲を見て、あれにいちごとかメロンのシロップかけたら絶対おいしいやろなあ、とかぼんやり考えている。そういえば今年もかき氷、食べなかった。毎日のように素麺をすすり、時折スイカを食べたら、いつの間にかスーパーのお菓子は栗やらかぼちゃやらの限定商品に変わっていた。こんなに暑いのにと思ったけれど、蟬の声はもう聞こえないし、風が秋仕様になっているのを肌で
2020年10月8日 16:47
今日は仕事が休み。外は雨。冷たい風。ときたら、もう家にひきこもるしかないでしょう、と思って、この本を読んだ。毎日新聞でおよそ5年間にわたって掲載された「人生相談」から選り抜かれた本書。新聞の人生相談のコーナーってついつい読んでしまう。弱さや苦悩が見れるからだ、と言うと真剣に悩んでいるのになんだか趣味の悪い言い方になってしまうけれど、そうじゃなくて、皆「わたしは何もありません」みたいなフツー
2020年3月22日 20:17
『海の見える理髪店』(萩原浩著)を読み終えた。6つの短編集で、どれも読みごたえがあった。●海の見える理髪店●登場人物は店主と僕。店主の一人語りで物語は進んでいく。読み進めるうちに店主の送ってきた人生が紐解かれていくのだけど、衝撃の告白があったりで、けっこうどきどきする。●いつか来た道●他人事とは思えない話。母親がこのような状態になったとき、自分だったらどうやって接するんだろう、と思い