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東南アジア紀行

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一秒でもズレていたら出会えなかった人々と、東の島国のちっぽけなひとりとの物語。 ほんの少し、目線を変えれば、ほら、世界はこんなにも新しい。
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トイレができれば旅はできる!

トイレができれば旅はできる!

旅にいちばん大切なものは何?と聞かれることがたまにある。
それは英語力でも行動力でもなく、

トイレをする技術である。
大切なことなのでもう一度言う。トイレをする技術である。

お食事中の方、どうぞUターンでバックをお願いいたします。あとでまた来てください!!

日本の治水事情があまりにも整備されているために、海外でのトイレ事情のカルチャーショックはありすぎるほど海外あるあるのひとつだと思う。 

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おっちゃんはなぜ私を騙さなかったのだろう

おっちゃんはなぜ私を騙さなかったのだろう

あのおっちゃんはなぜ、私を騙さなかったのだろうか。

ベトナムの、湯冷ましのようなぬるい風の中に置いてきた、ひとつの「?」の話をしたいと思う。

その前に。
ベトナムはホーチミン市を訪れたら、ぜひ行ってほしい場所がある。戦争証跡博物館という。

戦争証跡博物館ベトナム戦争は一般的には1955年から20年間も続いた戦争と言われている。

主な内容としてはアメリカが介入した南ベトナム軍と、ソ連と中国が

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ありがとう、のない国

ありがとう、のない国

機体を一歩踏み出すと、じわりとあったかくて安心するような湿度の、ひとの体温と熱気に満ちた空気が広がった。

乗り込む前に最後に吸い込んだ空気は氷水のような冷たい冬の空気だった。

その温度の違いは、私に何よりも早く旅の始まりを教えてくれた。とうとう、やってきたのだ。

はじまりの国、ベトナム出発点はベトナム、ホーチミン。タンソンニャット空港。
ホーチミンはベトナム最大の都市である。

本当に大丈夫

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冒険の始まりの音

冒険の始まりの音

なにかに呼ばれる。
そんなものごとのはじまりが、確かにあると思っている。

なにかが、「今だよ」と囁く。
今回の旅の音は、一冊の本の中から聞こえてきた。

今回の旅もそうだったのだ。もちろん、行く前はそんなことを思ってはいなかった。
今になって振り返ってみて、ひしひしとそう感じている。

きっかけは一冊の本。メジャーなものではなくて、東京西荻窪の手作り作家さんが集まるお店だけに置いてある、自費出版

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そして私は旅をやめない

そして私は旅をやめない

初めて私が「沈没」した町が、タイにある。
ラオスをメコン川の向こうにのぞむ北部の町で、チェンコーンという。
窓どころかドアまで開けっぱなしにひた走るローカルバスに3時間揺られた先にある小さな町だ。

私はそのときベトナム・カンボジア・タイ・ラオスを巡る旅の途中。チェンコーンへの滞在は予定では一泊で、翌日には次の町へ向かうはずだった。
なのになぜだろう。バスを降りた瞬間から、「あぁ、私、ここにしばら

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