英語を学習中の方へ:分詞構文よりも動名詞と過去分詞の理解がスキル向上の鍵
以前より生徒の躓きの石となってしまっている「分詞構文」について、本投稿で私なりの解釈と説明を展開してみたいと思います。展開の手順は一般的な「分詞構文」についての理解を説明し、その上でYouWorld流の理解を解説していきたいと思います。それでは、まずは一般的な「分詞構文」に関する理解を以下にまとめます。
一般的な「分詞構文」
一般的な分詞構文に関してはいくつかのサイトを参考に以下のようにまとめます。
分詞構文とは?
分詞構文とは「動詞+ing」「動詞+ed」などの分詞を使い、メインの文(主節)を修飾する構文です。2つとも分詞構文のなかで使うことができますが、基本的には現在分詞を使用します。過去分詞ではじまる場合も、「現在分詞のBeingが省略されている」と覚えておくことで、意味が掴みやすくなるでしょう。
分詞構文を使う目的は、効果的に用いることで情報量を維持したまま単語数を減らすことができ、コンパクトな英文を作成できることです。ただし分詞構文は日常会話で用いられることはほとんどなく、一般的には、新聞・書籍・論文などのフォーマルな文章で使われ、一般的な人間関係における英語のコミュニケーションでは使うシーンは少ないと考えてよいでしょう。
なお少し理解が複雑になる説明になりますが、接続詞で繋がれた二つの文章の主語が同じ場合、接続詞が従える文章、すなわち主節では無い方の文章の動詞を分詞構文に置き換え、主語を省略することで文章全体をコンパクトにする事が可能になります。このような説明も分詞構文の説明として存在するので本ドキュメントに記載しておきます。
分詞構文で使用される分詞は、文頭に配置されることが多いものの、場合によっては文中に置かれる場合もあります。文頭に分詞が配置されると文の切れ目に「,(コンマ)」が入りますが、文中に置かれると「,(コンマ)」が入らないため、句や節のまとまりがわかりづらくなります。
分詞を使い主節を修飾する方法は以下の6通りとなります。
分詞構文の特殊な使い方を次の通りに紹介します。
以上となりますが、学校で教わった内容と比べて相違はありませんか?
分詞構文についてのポイントは、文章をコンパクトにする為に、分詞と呼ばれる「動名詞」及び「過去分詞」を使用するというテクニックという事です。一方で、分詞構文が「一般的な表現」ではなく、新聞や記事、契約書類などのフォーマルな書類で使われる表現だということも覚えておきましょう。
YouWorldが考える「修飾としての動詞ing及び過去分詞」
分詞構文が持つ修飾としてのニュアンス
では、【1.一般的な「分詞構文」】において一般的な分詞構文を理解したところで、以下はYouWorld流の解釈を説明していきます。
まずYouWorldが展開する英文法は、大西泰斗先生とポール・マクベイ先生が共同で著作した「一億人の英文法」を参考にしています。本書籍は英文法を「文型」と「修飾」という大きく2つのグループに分け、YouWorldもこの英文法をこの2つのグループに分け英文法の指導を行ってきました。
それでは早速「修飾」について掘り下げていきましょう。本説明は「分詞構文」をYouWrold的に説明することを目的としています。
英語の修飾は大きく2つに属性が分かれます。「前から修飾」と「後から修飾」です。これらのニュアンスはそれぞれ「前から限定」と「後から説明」となります。この修飾の方向性が持つニュアンスは分詞構文で使用される「動名詞」及び「過去分詞」のみならず、副詞、形容詞、さらには修飾文にも適応されるニュアンスとなります。従って、このニュアンスの理解がないままでは、英語の修飾を理解することはおろか、正しい英文理解も正しい英文作成もできないのです。
上述した【1.一般的な「分詞構文」】において、「文頭に配置されることが多いものの、」という下りがありましたが、文頭に置かれている分詞は主節の状況や意味合いを「限定する」働きを持つことになります。なお、YouWorldの指導経験では、「文頭に配置されることが多いものの、」という説明には少し疑問があり、むしろ「文末に配置されることの方が多い」という印象を受けています。
上述した次の例文でそのニュアンスを確認していきましょう。
では次に後から説明を加える分詞構文を同じように例文を使い紐解いていきましょう。また、分詞構文は次の6通りの訳(時「~とき」、理由「~だから」、結果「~して」、付帯状況「しながら」、条件「もし~すれば」、譲歩「~だが」)があるという説明が冒頭でありましたが、後から説明の場合は次の3通りの訳(理由「~だから」、結果「~して」、付帯状況「しながら」)が説明を加えるニュアンスに沿った訳となるでしょう。また、【時「~とき」】は条件設定というニュアンスを含む為、【理由「~だから」】とほぼ同じようなニュアンスになります。
分詞を使って修飾は全て分詞構文であり、接続詞で繋がれた二つの文章の主語が同じ場合に分詞を使ってコンパクトにしたもの?
あくまでも推測ですが、分詞を使った修飾を全て分詞構文の理解になぞらえ、「もともとは接続詞を使って二つの文章が結ばれていた文章を主語が同じだからということで分詞を使ってコンパクトにしたものである」と考えることが分詞構文を複雑にし、さらには動名詞と過去分詞を使った修飾の理解を混乱させる要因になっているのではないでしょうか?
YouWorldでは分詞構文を元々は二つの文章がコンパクトになっていると考えるのは英語の修飾を難しく考えすぎていると考えます。特に過去分詞を使った分詞構文はそのように感じます。なぜならば、動名詞や過去分詞は分詞構文であるかないかに関わらず英語では名詞を修飾する際に多用される修飾方法であり、むしろ動名詞と過去分詞が文章(主節)を名詞と同じように修飾しているだけと考えたほうが解釈が包括的であり、英語の修飾全体を通じて一貫性を持つと考えるからです。
この解釈を具体的に説明する為、次の例文を見てみましょう。例えば、いわゆる分詞構文の6通りの訳である【時「~とき」、理由「~だから」、結果「~して」、付帯状況「しながら」、条件「もし~すれば」、譲歩「~だが」】には該当しない過去分詞を使い名詞を直接修飾している例文を見てみましょう。
This city, known for its vibrant nightlife, never sleeps.
Her dedication to learning, shown through her numerous awards, is inspiring.
The mountains, covered in snow during the winter, offer breathtaking views.
これらの文章は全て過去分詞で直前の名詞及び名詞句に後から説明を加えている過去分詞の修飾になります。たしかにこれらの修飾を分詞が文中に配置されている分詞構文ととらえて文章を読み解くことも可能でしょう。しかしながら、もしそうした場合、これら6通りの訳【時「~とき」、理由「~だから」、結果「~して」、付帯状況「しながら」、条件「もし~すれば」、譲歩「~だが」】のどれに該当するか判断するできません。なぜならば、これらの過去分詞が分詞構文としての修飾ではなく、過去分詞による「~された〇〇」という修飾になっているからです。
次に動名詞を使った修飾も見てみましょう。
The river, flowing through the valley, creates a picturesque landscape.
The musician, playing the guitar with passion, captivated the audience.
The technology, constantly evolving in today's world, shapes our daily lives.
動名詞を使って名詞を修飾する場合は「~している〇〇」という修飾になり、名詞のやっている事を補足説明しています。
これらも分詞が文中に配置されている分詞構文ととらえて文章を読み解くことも可能でしょう。しかしながら、先ほどと同様に、これら6通りの訳【時「~とき」、理由「~だから」、結果「~して」、付帯状況「しながら」、条件「もし~すれば」、譲歩「~だが」】のどれに該当するか判断するできません。付帯状況「しながら」が近いニュアンスになりますが、やはり「~している〇〇」というニュアンスが正しいので、「~しながら」と訳してしまうと英文そのものが誤訳になってしまいます。
このように動名詞と過去分詞が修飾で使われている修飾を全て分詞構文の理解を通して解釈しようとすると正しい訳に辿り着けない迷路に入り込んでしまうのです。
また、そもそもの説明で「ただし分詞構文は日常会話で用いられることはほとんどなく、」という一般的な分詞構文の説明にもあったように、やはり分詞構文は特例でありレアであるということなので、文法理解の優先順位としては下位になり、一般的な名詞を修飾する動名詞と過去分詞の理解を優先させた上で、動名詞と過去分詞を使った特殊な修飾方法として主節を修飾しうると考えたほうが理にかなていると考えるのです。
今回は例文を使って一般的な分詞構文の理解を掘り下げた上で、YouWorld流の理解を解説してみましたが、如何でしたでしょうか?
分詞構文ありきの動名詞と過去分詞の修飾という理解の仕方ではなく、動名詞と過去分詞の一般的な修飾方法を理解の土台とし、特例として主節を修飾する動名詞と過去分詞があり、それらを分詞構文と読んでいるという理解を持ってもらう事が理にかなった、現実的な英文法理解であり、英文法の理解が迷路に迷い込むことなく前進すると考えています。
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