記事一覧
ショートショート「青い南京錠」
私は、電化製品会社に勤めている。
加湿器の新商品開発プロジェクトのリーダーを任されているものの、なかなか上手く進まない。
チームの団結もイマイチ、新商品のアイデアも良い案が出ないために、他社との連携もとれない。
今日も会議は膠着状態。何も進まないまま一日が終わり、暗い夜道を1人でとぼとぼと帰っていた。
下を向いて歩いていると、何かにぶつかった。
「あっ、すみません。」
「…いえいえ、ご心配
僕はヒーローになれない。
僕はヒーローになれない。そう気づいたのはいつだったろうか。
僕は小さい頃、漠然とヒーローに憧れていた。人並みに戦隊モノや仮面ライダーを見て、悪を倒したいという幼稚な正義感を養った。健全な少年だった。
誰かのヒーローになりたい。僕は漠然とそんな思いを抱いていた。ヒーローになりたくて、人に優しくするようになった。悩んでいる顔を見ているのが辛かったし、なんとか笑顔にできたらいいといろいろ力になろうと