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短歌まとめ
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#tanka

短歌《いつかのわたしたち》

短歌《いつかのわたしたち》

ミルク多めのカフェオレを飲みたいと優しさに飢えてるわたしたち

枯れかけの花束愛でるあのひとはきっと誰の死も愛してくれる

ぽつぽつと咲き始めてる桜見て散りゆくとこを想像してる

無意識に二人分の珈琲を淹れるくらいに君が好きだよ

誰もかも死んだ人には優しくて誰のための優しさなのか

みっちりと包まれている購買の惣菜パンの優しさを買う

まんまるのホットケーキにナイフ刺す世界を覗く切り込み入れる

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板チョコにそのままかぶりついて忘れてしまえ苦かった恋など

ごめんねの代わりにそっと手を握る体温伝って許されたくて

11月と12月の短歌

11月と12月の短歌

おつかいのついでに君が買ってきたホカホカ肉まん冬がきたね

誰かにココアをいれるその時は誰もが等しく優しくなれる

覗きこむきみの瞳にうつる僕 好きがだらしなく溢れていた

柴犬のくるっと巻いたしっぽだけ眺めていたい月曜の午後

ポケットに飴をしのばすあの人はきっと来世も人間だろう

この世は地獄なんだと歌う彼の声はひたすら優しかった

綿飴をくるくる綺麗につくるひと きっと何処かの天使と知り合い

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9月と10月の短歌

9月と10月の短歌

放課後のひとりぼっちの教室で眺める雷雨嫌いじゃないよ

あなたの幸せがわたしの幸せなワケねーだろふざけんなよ!

真っ暗な台所に灯ってるポットのランプ 冬がくるよ

ヨーグルトのその白さが眩しい 健康の塊みたいで

お互いの誕生日さえ知らないが君の口癖誰より知ってる

ゆびさきについたガムシロ舐める癖 知っているのは多分ぼくだけ

ゆっくりとミルクを注ぐ横顔は天国つくる神様みたい

笑顔しかみせな

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6月の短歌

6月の短歌

電線が街からすべて消えたとき空が途端につまらなくなった

金平糖かじるたびに一等星手に入れた気になった真夜中

野良猫を追いかけ迷う路地裏で君と出会った真夏の昼間

人混みは好きじゃないからこの夏も花火をベランダでひとりじめ

履歴書に書き連ねてるもうひとりの自分が生まれる不気味さ

地下鉄が地上にでてく瞬間がなぜだかすごく安心できた

離れてるほうが愛せる星空も君の寝顔も知らなくていい

真っ白

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4月の短歌

4月の短歌

自販機で迷った挙げ句綾鷹の冷たいの買う春が来ました

わたしたちパスタもうどんも啜るからいっそ一緒に暮らしませんか

いつまでも君と一緒にいたいから今年は梅酒をつくりませんか

靴擦れを我慢しながらきみの待つ一番線へかけあがってく

インスタの投稿全部削除して迎える社会人一年目

風邪のとき君が作ってくれるうどんで知った愛情の柔らかさ

君が焼くお砂糖入りのたまごやきの匂いで朝を迎えたい

ポテサ

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3月の短歌

3月の短歌

限定のパフェをほおばるあなたのその笑顔はわたし限定

不器用なあなたが焼いたパンケーキ ムラだらけの焦げ目も愛しい

新品の消しゴムの角削るとき心のなかでごめんって言う

この春は君は隣にいないけど桜は綺麗に咲いているよ

コンビニで桜餅買う君はちゃんと女の子していて可愛いね
(3/3の短歌)

ルミネのキャッチコピーほどわたしたち単純じゃないよと笑い合う

スーパーの特売品のカルピスの瓶を眺めて

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2月の短歌

2月の短歌

今日だけはあなたのために我慢する甘ったるいチョコレート捧ぐ

制服のリボンをきゅっと結んだら わたしは私に変身する

僕のことうつしていないその時の君の瞳がいちばん綺麗

人類が清く正しくあるために俺らの愛は汚されていく

お刺身を新鮮な死骸と言うきみ 僕はとてもカワイイと思う

恋人ができたら君も人間をみんな愛してしまうでしょうね

まだジャスコだけど君にはイオンまで行こうって言う思春期だから

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1月の短歌

1月の短歌

あなたから年賀状が届いてる 手書きの よろしく そっと撫でる

色白のあなたが吐いた白い息 ちゃんと生きてると安心する

ババ抜きのカードを選ぶ指先がわたしの心乱してくるの

読書する君の横顔が覗き見る世界を見守る天使のよう

ゆっくりと膨らんでいく切り餅を見つめながら頬を膨らませ

夢をみる あなたはいつも笑ってる 良かった むこうじゃたのしそうで

丁寧にフォークでケーキ崩してく ちょっぴり悪

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12月の短歌

12月の短歌

明日にも終わらないかなこの世界 笑いあいながら混ぜるココア

霜を踏む強い行為と裏腹に無邪気に笑う純粋な君

終末を見届けるのは地下にある喫茶店の薄型テレビ

迷わずにピザまん選ぶ横顔を再来年もみられますように

路地裏で仔猫みつけるあの人の前世はきっと天使一択

目の前のきみが笑えばその時が正解だったと安心する

バズっても顔をあげればなんもないワンルームには僕と猫だけ

わたしたち嘘つくことで

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10月の短歌

10月の短歌

読むのはわたしだけだから許される単行本の帯を栞に

靴下で隠れてしまうペディキュアは君だけが知る秘密の印

音姫で消してしまえば大丈夫 この恋だってなかったことに

マグカップなみなみ注ぐ珈琲とひとりで過ごす あなたは留守で

どんぐりを辿っていくと見えてくる丘のベンチで読書するきみ

死にたいとツイートのたび確実にわたしのなにかぷちっと弾け

死んでいる野良猫みつけ立ち止まるわたしじゃなくてごめ

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8月と9月の短歌

8月と9月の短歌

真夏日の入道雲に溺れたい夏と心中した気になって

眩しくて目深に被る麦藁帽 君の視線が熱すぎるせい

かき氷どれもおんなじ味だけど君と食べるといつも違うの

ゆらゆらとアスファルトからにじみでる熱のむこうに君を見つけた

甘ったるい金木犀の香りに迷子になったアナタと出逢う

似ているね金木犀とわたしたち姿みせずに惹かれ合ってる

寂しさを愛せるひとと落ち葉踏む無言で秋を愛せるように

なにもかも忘

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6月と7月の短歌

6月と7月の短歌

梅雨時はきっと世界が泣いている僕は傘さし知らん顔して

雨粒が頬にあたって思い出すいつかの君が溢した涙

世界からいなくなれない僕たちは線香花火見つめ続けて

いくら手をのばしてみても届かない飛行機雲と天国の君

永遠を願っている僕たちは今日も明日も消えたがってる

真夜中のブランコこいで瞳とじ輝く月にキスして願う

ひとりきり待つバス停で雨粒がトタンの屋根と音色奏でて

いないのかいるのかひどく

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